第8話 雪だるま執事
朝起きたら街は一面の銀世界だった。雪だるまを作り、西の良い魔女さんにお願いして雪だるまに魂を入れて貰った。これを雪野と名付け自分の執事に任命した。
雪野は雪だるま。寒さにはとにかく強かった。だから丈夫な身体を作る為に朝から外で上半身裸で乾布摩擦から始まった。
「雪野?寒いよ」
「これしきの気温など暖かいものですぞ」
雪野はまるで取り合わない。
昼は残った雪で雪像作りだ。この時半袖短パンを用意され、それに着替えて行うのだから質が悪い。
寒い!ひたすら寒い。しかし雪だるまの雪野にはその日の気温すら暖かいようで、文句には一切取り合わない。
夜の夜間行軍だけは勘弁して貰った。
相変わらず短パン半袖で出されそうになるのだから。
さて雪だるま執事の雪野だが、ここの地域はそもそも常春と呼ばれる地域だ。
雪野がいつまでも居るには気温が高すぎた。
雪野はどんどん小さな姿になり、その最後を迎えた。
「雪野は楽しかったですぞ」
そう言い残して最後の一欠片が溶けて雪野は居なくなった。
ごめんね雪野。ただでさえ短い雪の結晶に命を吹き込んで。
雪だるま執事雪野との暮らしは大変だったけど、その分印象に残った。
僕は思わず雪野の為に涙をポロリと溢してしまった。
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