第93話 レアかレアじゃないか、それが問題だ
漸くメインイベントだ。
これを終えないと、本当の探索者になれないからな!
さて、トイレ行っとこ。
コソッと貯まったGPでガチャもしておく。
レベルアップしたらGPが勿体無いからな。
皆がスッキリした所で、改めて注意事項を早良さんから説明された。
絶対に指示に従う事。
勝手に攻撃しない事。
音はなるべく立てない事。
ドロップは折半する事。
※ただし俺のスキルによるものは除く。
何かトラブルがあれば中止になる事。
まぁ普通の注意だけど、ドロップに関係する俺のスキルって何とか聞いて来るから、ホントに空気読まないよね。
早良さんのヒンヤリ笑顔で、トラブルで中止になりますよ?と言われて撃沈してたけどな!
安全地帯を出て、今度は早良さん、サブマス、俺、ノリノリ、父さん、爺ちゃんの順で進む。
「ワクワクするね?」
そんな笑顔で言われても、ダンジョンなんだから静かにしろよ。
「ヒノリ、黙って進もうね?」
ほら、
早良さんが何か見つけたみたい。
手で合図をしてるよ。
座学で教えられた基本的なハンドサインだね。
独自のサインとかもあるから、これが絶対ではないけど、今回は座学で聞いたヤツを使う。
止まれでグーを上げる。
敵が1体で指1本を立てる。
つまり敵が1体その先にいるみたいだね。
手招きで呼ばれて2人で前に行く。
指を差した先をみるとスライムだ。
プニッとしたイメージ通りの青い塊だ。
頭は尖ってないから水饅頭みたい。
今までは姿を見ることなく倒されてたから、何気にリアルでは初対面だな。
ノリノリに行けと指差しの指示が出た。
やたら嬉しそうに前に出たけど、大丈夫か?
見守っていると、スライムも近付くノリノリに気付いたようで、上下に揺れる威嚇行動をとっている。
「やあっ!」
メイスを力一杯振り下ろす。
バカだなアイツ。
ビシャアと広がるスライムの残骸。
「きゃあ」
太もも辺りまでスライム液がかかったノリノリが叫ぶ。
「あのさ、アイツは座学を受けてないの?」
「いいえ?朱鷺君と同じ会場に居ましたよ?」
え?あの場にいたの?
思わずサブマスを見ると、目をそらす。
「もう、最悪!せっかくの新しい装備が台無しだよ!」
黙っていられないのか?
「ヒノリさん、他のモンスターが寄ってくるので、静かにして下さい」
ヒッとか聞こえたけど、自業自得だよ。
「ヒノリ、講習で説明があったよね?スライムは動きも遅いし、攻撃範囲が狭いから、慌てず中心のコアをゆっくり潰せば良かったんだよ?」
漫画みたいに素早くコアを動かして避けるなんて、上位種のスライムだけだよ。
ランクEなら酸を吐き出すとかもしないし、せいぜい体当たりか、触手を30cmほど伸ばして足を攻撃するくらいだよ?
長靴なら汚れず踏み潰せるレベルだ。
モンスターは倒すとドロップを残して消えるけど、本体が消える前に出た体液とかは、すぐに消えないから気を付けなきゃ。
今回はドロップはなかった…と見せかけてDガチャチケット[E]が出たよ。
「それでは進みましょう」
また隊列を戻して進む。
「キキキ」
モンスターの声を合図に止まる。
ノリノリだけサブマスにぶつかりかけてる。
早良さんの合図に前に行くと、ビッグモールだな。
今度は俺に攻撃の指示だ。
もちろんYesだ。
木刀を抜いて、ゆっくり近付く。
気付かれない範囲のギリギリから、一気に距離を詰めて叩く。
地面まで叩かないように止めるのがコツだ。
地面の穴に引っ込む前に叩こうと、力一杯振り下ろすのはバカのする事だ。
「キギッ」
断末魔の悲鳴?を上げて消えるモグラ。
そして、モグラの穴も消える不思議。
残ったのはモグラの爪だった。
あ、レアドロップか…買取不可の不要品。
幸運よ、ここはレアじゃなかったよ。
『ビッグモールの爪は~錬金術スキルがあると合成とかが出来るよ~』
なんそれ?!
『おい、ガチャミはドロップの使い道も知ってるのか?』
『ううん~?知らないよ~?出た時に教えてくれたよ~』
誰が教えてくれたんだよ?
言えない~ってまたか!
「朱鷺君?どうかしましたか?」
これは教えていいのか、悩むな。
「いえ、レアドロップなのに売れないアイテムだったから、ガッカリしただけです」
「じゃあ私に頂戴よ!」
「いや、初討伐記念に貰っておくよ」
爪を拾い上げる。
お知らせ来ました。
初レアドロップでDガチャチケット[S]1枚だってさ。
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