第92話 判決はギルティ

 サブマスの痴漢疑惑はおいといて、一角ウサギに変身した時の事についてだが、黒い靄に包まれたら身体が温かくなって、気付いたら目線が下になってたらしい。


 痛いとか苦しいとかは全くない。

 自分では喋ってるつもりなのに鳴き声になる。

 俺達の言葉は理解出来る。


 前に進もうと思うと、勝手に跳び跳ねて進む。

 サブマスの手を払うつもりが、噛みつきや蹴りになった。


 時間が来る少し前に、もうすぐ変身が解けそうってわかる。


 こんな感じだった。


 意識はノリノリだけど、動きはウサギなのかな?


 後は変身師になってみるかどうか。

 ちなみに長押しの結果は次の通りだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

職業:変身師 ★★★★

備考:スキルメタモルフォーゼを

   獲得する。

   あらゆる生き物に変身する。

   自身の可能性が拡がる職業。

【変更する】【閉じる】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 最上位職だから性能は期待出来るが、実際はどうなるやら。


「では職業を変身師に変えて下さい」


「はーい…変えました」


「何か身体に変化はありますか?」


「う~ん。特に何も変わらないみたい」


 まぁ変身しなきゃ、ステータスに変化がないんだろう。


「では、このMPポーションを飲んでから、一角ウサギに変身して下さい」


 うわぁ…そこまでするんだ?


「美味し~リンゴジュースみたい!」


 そうなんだよ、MPポーションは色は紫なんだけどリンゴ味なんだよ。

 たぶん材料に魔力の実と言う、見た目がリンゴの紫色の果実が使われるからだ。


 それで変身して貰ったけど、さっきより少し小さくなったか?


 ガチャミに聞いてみた。


『職業の効果で~大きさは6割から1.7倍まで変わるよ~時間も8分に伸びたよ~』


 ほほう…レベル1で効果がこれだけ違うなら、レベルアップすると、かなり有効だな。


 小さくなる方が負担が大きいのか?


「では、スキルを試してみましょう」


「先ずは念話は出来ますか?」


『うぅん?こうかな?』


「出来ましたね」


『やった!これでパパに文句が言えるよ!』


 ピョンコピョンコ跳ねて喜ぶウサギ。


 サブマスがウサギの前に出る。

 手がワキワキしてるが、父娘でもセクハラは犯罪だよ?


「では次に、変態に攻撃スキルを使って貰えますか?」


 どうやらスキルを試すから、サブマスが前に出ただけか…

 気のせいか、のニュアンスが違って聞こえたけど。


『パパの変態~!』


 頭突き…いや額の角突き攻撃だ!

 ノーガードのサブマスはノーダメージ!


 でも精神的にはクリティカルヒットだ!

 涙目のサブマスは項垂れた!


『痛っ!』


 ウサギにダメージが入った!

 コロンとひっくり返ってジタバタしている!


 周りがシーンと静まり返った!


 ステータスを開いたままだったから、確認するとHPが1減っていた。


「では、他のスキルも使ってみて下さい」


 早良さんの冷静な指示は、何事もなかったかのようだ。



『ちょっと!怪我した私に酷くない?』


「HP1くらいでは、大した傷ではありませんよ?」


 ヒール草すら必要ありませんって。


「さ、時間もありませんから、サクサク行きましょう」


「そうだよヒノリ。早く終わらせた方が良いよ?」


 ジタバタしているウサギを、嬉しそうに抱き起こしているサブマスだけは、別の思惑がありそうだが…


 二つの意味で兎に角、次の蹴りスキルを試す。


 結果は同じノーダメージで、今度はひっくり返らず蹴った勢いで、でんぐり返しをしていた。


 ある意味器用なヤツだ。

 慣れてないから、上手く身体が動かないとか、言い訳乙。


 一角ウサギのスキルは2つだけらしいので、後は時間前に変身を解除して終わった。


 変身する時と同じ靄に包まれると、元に戻ってた。

 解除をすると思うだけで出来たってさ。


 意識がなかった時と違って、寝起きみたいにはならなかった。


 解除した後もHPは減ったままだったよ。


 傷は額が赤くなってるだけで、ヒール草を食べるか貼るかと言ったら、ポーションにしろとか一悶着あったが、ヒール草を貼ってた。


 ヒール草なら無料提供だが、不必要なポーション代は自腹って言われたからな。


 苦いの苦手って、そこは同意する。


 まぁパパ変態が貼ってあげるとか言ってるのは、皆がGの付くヤツゴキ&ゴブを見る目をしてたけど…


「ではヒノリさんのスキル検証は、ここまでにして、次は実習をします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る