第83話 母は強し

 驚く2人に、斯々然々と昨夜の出来事を説明する。


「勝負師にそのような効果が…しかも新たな称号まで出たとなると…ではガチャミを呼び出して貰えますか?」


 何かガチャミに確認したいのかな?


 ガチャミの部屋を見ると、寝てやがる。

 ご丁寧に吹き出しにZZz…とか出てるし。

 朝御飯を食べた後にすぐ寝たのか?


 三次元にしてガシリと掴んでブンブンまでが、ルーティンになりそうだな。


『ふぎゃ~?!なに?!なに~?

 !』


『お前こそ何だ?食べてすぐ寝るとか豚になるぞ。いやこれは豚に失礼だな。ほら、早良さんが聞きたい事があるって言ってるから、ちゃんと答えてくれよ』


 ポイっと離す。


『もう~レディに対して失礼よ~妖精は繊細なんだよ~!それに妖精は太らないもん~』


 どこがレディだ。

 繊細なヤツがヘソ天で爆睡するか。

 それに太らないからって、食っちゃ寝していい事にはならないぞ。


「ではガチャミに聞きたいのですが、今までに勝負師の職業で、勝負をして勝てばリザルトが貰える事を聞いた事がないのですが、初めからそうだったんですか?」


『う~ん~?それはね~朱鷺だけだよ~?』


 な、なんだって?


『ほら~ガチャの効果で~他のスキルに影響するって言ったでしょ~』


 言ってた気がする…


『これまでの勝負師は~勝負に勝てば少しだけ経験値が入って~負けたら少し下がってたんだよ~』


 なるほど?

 俺の場合はガチャの影響で、するかしないかも選べて、リザルトも目に見える形になったんだ?


 まぁ勝負勘で勝てそうな勝負をしてれば、少しとは言え経験値を貰えるなら、今までのも良い職業と言えるかも?


「それでは称号の事ですが、妖精の主とは何ですか?」


『それは言えないよ~』


 まぁ称号は言えないって昨日も言ってたしな。


「では職業の妖精の主になる条件と、どんな効果がありますか?」


『条件は~言えないよ~効果は~妖精のオヤツが作れるよ~あとキラキラの魔力が出るよ~』


 それはスキルのオヤツと妖精の粉だろ!


「妖精のオヤツとは何ですか?」


『美味しいヤツだよ~凄い元気になるよ~』


「妖精の粉とは何ですか?」


『キラキラするよ~幸せになるよ~』


「朱鷺君に、認識阻害が効かなかった原因は判りますか?」


『ん~?たぶん~キラキラのせいかな~?』


「わかりました。今は時間もないので、これくらいにしておきます」


 それで何かわかったの?

 とりあえずガチャミは二次元にしておく。


「では朱鷺君はヒノリさんに、なるべくステータスの事を話さないようにして下さい。副支部長も娘だからと、甘い対応はしないで下さいね」


 わ~ヒンヤリ笑顔にサブマスが引きつっているよ。


「もちろん、わかってるよ。これでも副支部長だからね」


 結界を解いてドアを開けると、ヒノリがドアの前に膨れっ面で待っていた。


「もう、遅いよ!」


 は~何だろう…ダンジョンに行く前に疲れたよ。


「こら、ヒノリ!そう言うのは駄目だよ?さっきも言ったけど、朱鷺君の方が、わざわざ来てくれてるんだから、ヒノリが待つのが当たり前なんだよ?」


「ヒノリ…」


 舞菜香さんが、とっても怖い顔になってます。


「ま、ママ?」


 ビクッと振り返ったヒノリが青ざめる。


「お父さんの言う事が聞けないのなら、探索者になるのは許可しません。今日はもうダンジョンに行くのも禁止します」


「ママ!?やだ、ちゃんとパパの言う事を聞くから、お願い許して!」


 おおう、この家族も母親が一番の権力者なのか。


「なら、ちゃんと朱鷺君に謝りなさい」


 うぐっと美少女にあるまじき声を出してるヒノリに、今度から何かあったら舞菜香さんの名前を出そうと決心した。

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