第82話 ノリノリ♪ノリノリ♪

 やっぱりね!

 でも、何も言えないから知らないフリをしなきゃ。


「ええ?読めない称号ですか?」


「そうなんです。しかし私の目には何も見えないので、証明する事は出来ないのです。ですから彼女の称号は無いと言う事にしています」


「そうなんですか」


 何か探られてます?

 そんなの俺に言う必要なさそうなのに…

 やはり心を読まれているのか?


「ユニークスキルであれば良かったんですが、それも違うようですね。ギルド加盟国以外でスキルを得た人がいたのかもしれません」


「なるほど?」


「朱鷺君のスキルはユニークスキルなの?」


 いきなり会話に入ってくるとは、やはりコミュ力お化けは凄いね。


「いきなりスキルやステータスの事を聞くのはマナー違反になりますから、私の説明が終わるまで待って頂けますか」


 おおう、早良さん何かいつもより冷たいね?


「あっ、ごめんなさい。久しぶりに会ったから、つい懐かしくて」


 んん?久しぶりに会った?

 え、こんな美少女なら覚えてると思うけど…


「俺と会った事あるの?」


「もう朱鷺君たら、酷いよ!忘れたの?ヒノリだよ!さっきも初めましてとか言うから、ヒノリ悲しかったよ」


 自分を名前で呼ぶ女子は苦手だな。

 絶対、その方が可愛いとか思ってるんだろ。


「悪いけど、全く思い出せない」


「朱鷺君が5~6歳の頃に何回か会っただけだから、覚えてなくてもしょうがないだろう?」


 サブマスのフォローで記憶に引っ掛かる。


 5~6歳って事はツルピーが連れて来たって事だろ?

 ツルピーとヒノリ?ひのり…ひノリ…ノリノリ…


「まさかと思うがノリノリか?」


「やっと思い出した?もうノリノリとか変なアダ名は止めてよね!」


 あ~アイツか。

 いや、アイツ男じゃなかったのか…

 ここは男と思ってた事は黙っておこう。


 しかし、ノリノリか…

 ヒノリだよ!とか言うキャラじゃなかったと思うが。


 馬になったツルピーの頭をペシペシ叩きながら、早く走れとか言ってた気がする。


 そういや何かワガママなヤツだった気がする…

 あれ?何か思い出しかけたけど…出てこないな。


 しかも1人称がボクだったから、男と思ってたが…

 うん、どうせなら僕っ娘を貫いていれば良かったのに。


「では、後はダンジョンへ行ってからにしましょう」


 俺が僕っ娘萌えについて考えている内に、話は進んでいたようだ。


「朱鷺君、話聞いてなかったでしょ?」


 なんだ急に、幼馴染み気取りか?

 あんな小さい時に何回か会っただけで、ホントに困るな。


「早良さん、ちょっとサブマスと2人に先に言っておきたい事があるんですけど」


 無視して、用事を済ませておく。


「それじゃあ、こっちの部屋で話そう」


 サブマスがリビングの横にあるドアへ向かう。


「ここで言えばいいじゃない?どうせ契約魔法があるんだから」


 アホかコイツ。

 契約魔法があっても、全てを話す必要はないだろうが。

 その為に過度に知ろうとするなの項目があったのに、契約内容を見てないのか?


「ヒノリさん。今回は特例法で、このような対応になっていますが、本来はステータスを他人に話す必要はないんです。スキル検証に必要な情報以外は、秘匿する権利があるんです」


 早良さんに言われて不貞腐れているノリノリ。


「ヒノリのステータスは教えてるのに?」


「ヒノリ、早良君の言う通りだよ。朱鷺君の方はヒノリと一緒にする必要はない所を、検証のための必要な情報を出して、お願いしてパーティーを組んで貰ってるんだよ。何でも知ろうとしちゃいけないよ」


 同じような事を言ってるのに、全く印象が違うね。

 言葉って難しい。


 そうだよ。俺はお前と一緒なんて迷惑なくらいだ、コミュ力的に。


「わかったよパパ」


 パパはやめれ。笑わす気か。


 そんなこんながあったが、隣の部屋へ行く。

 爺ちゃん達は、空気を読める大人なので、こんな時は余計な口出しをしないよ。


 サブマスが結界を張ると、話しても良いと言われたので、手っ取り早くステータスを見せる。

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