第75話 負ける勝負はしない

 食べ終えたガチャミに、口を拭けとティッシュを渡す。


 普通のサイズのバーガーを完食するとは、妖精の胃袋はどうなってるんだろう。


 身体の3分の2くらいのサイズだぞ?


 お腹もポッコリしてないし、ホントに妖精変な生き物だよね。


 さて今朝のガチャカプセルを確認するか。


 F3、E3、D4、C3、B3、A1だったよ。


 10連チャンと端数とデイリーで17個ゲットだね。

 まぁまぁかな。

 何かS以外の結果は、麻痺してきてるかも。


 さてと、では見ない振りしてたスキルを見るか。


 増えたスキルは【餌付け】だった。


 餌付けって何だよ!?


 ガチャミ説明しろ。


【餌付け】は、調教するか食べ物を与えて懐かせると出る、餌を与えるとテイムや調教の効果が上がる、極めれば最適な餌が解る。


 ガチャミに夜食オヤツを与えたからか。

 食べ物なら何でもよさそうだから、最適な餌とかじゃなくても適当でいいだろ。


 なんかワクワクした顔で見てるが、朝御飯を食べたんだから、何も出さないぞ?


『朱鷺~オヤツは~』


『朝からオヤツなんか出すか。あんだけ食べといて図々しいな。昼まで我慢しろ』


『オヤツは別腹なの~妖精はオヤツで出来てるの~』


 オヤツはどきに食べるからオヤツなんだよ。

 面倒だから一口チョコを1個与えて、二次元にする。


 なんだかんだで与えてしまってる気もするが、太ったペットの動画とかも、きっとこの繰り返しで出来上がるんだろうな…


 そろそろ準備をしてリビングに行っておくかな。

 歯磨きをしておこうと、洗面所に行くと姉ちゃんとすれ違う。


「あ、朱鷺、おはよう!」


「おはよう、姉ちゃん。もう出るの?」


「うん。今日は自転車で行くからね。お母さんお弁当ありがとう!行ってきます!」


「ふふ、どういたしまして。行ってらっしゃい」


「いってら~」


 歯磨きを終えてリビングに行くと誰もいない。

 父さん達は部屋かな?


 ソファーに座ってテレビを見る。

 ニュースでは昨日の記者会見が流され、コメンテーターが意見を述べている。


 まぁワールドアナウンスもあったし、落ち着いた内容だな。


 何故か常識として刷り込まれると、反発した意見を言ってた人も納得するんだよね。

 だって皆の常識だから。


 よく考えると怖いシステムだけど、そんな感情は一瞬で消えて、そんなもんかと思ってしまう。


「それじゃあ行くぞ」


 リビングに来た父さんに声をかけられて立ち上がる。


「わかった。母さん、行ってきます!」


「行ってらっしゃい。気をつけてね」


 キッチンで洗い物をしてる母さんに言うと、返事をしながら手を振ってくる。


 不思議と水滴が飛ばないよね。


 爺ちゃんは既に、三列シートの真ん中に乗っている。

 ちょっと迷って助手席に座る。


 いつもは、姉ちゃんと一緒の後部座席だから、たまには助手席に乗る事にする。


「シートベルトはしたな?」


「うん」


 日曜日の朝だけど、ギルドに向かう道はそこそこ混んでいる。

 申告を早くしないと、ダンジョンに入れないからな。


 父さん達と講習の内容や、昨日のダンジョンについて話したりしている内に、ギルドの前まで来た。


 正面の駐車場に入るレーンは車がズラッと並んでいる。


 A級になるとギルドから凄い優遇されるんだけど、専用の駐車場もあるから、停める場所がないなんて心配がないのは良いよね。


 満車状態の一般駐車場を横目に、警備員のいるゲートの方に進む。

 父さんがギルドカードを機械に通して、開いたゲートをくぐって地下駐車場に進む。


 地下からの直通エレベーターに父さんがカードを翳して乗り込む。


 1階と3階のボタンを押す。


 直通エレベーターは、B級以上か職員しか使わないんだよね。


「じゃあ行ってくるね」


 俺は1階で降りて、総合案内へ向かう。

 受付カウンターの裏側に出るから、総合案内に行って戻って来るのは二度手間だが、しょうがない。


 横を通る時にチラリと職員がこちらを見るが、特に何も言われなかった。

 早良さんはまだ来ていないのかな?


 総合案内には並んでる人がいたが、受付が4人に増えてるので、列はスムーズに進んでいる。


 今日もお姉さんの胸部装甲を、チラリと見てしまった事に敗北を感じながら、受付をしてステータス課へ番号札を持って行く。


 次のイケメンスマイルには負けないぞ。


 と、そこに勝負しますか?と画面が開いたが、すかさずNoを選択。


 俺の勘が負けると言っていた。

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