第67話 逆らえない人が多すぎる
時間が来ましたのでと立ち上がる3人に、まだ質問をしたい記者が叫んでるけど、これからギルドでの対応がありますのでと、さっさと去っていく背中に会見は終わった。
映像が切り替わり、記者会見の映像が再生されて、アナウンサーが所見を述べているのを聴きながら、俺も今聞いた事を考える。
モンスターの職業については言わなかったな。
まぁ、ゴブリンのスキルを覚えるとか言ったら、余計パニックになるか?
俺も衝撃だったからな…
「朱鷺の言ってた通りだったね!明日もダンジョンに行くから、早目に申告しなきゃ入れないって事だよね!皆もテレビ見てたと思うけど、連絡しておかなきゃ!」
おおい、俺の話を信じてなかったのかよ!
てか、マシンガントークで言いたいだけ言ったら、アプリで早速トークしてるとか、絶対に猪突猛進スキルあるだろ!?
「うむ、ワシも明日になったらギルドに連絡を入れておくか。今は連絡したら迷惑じゃろ」
「俺も明日にするよ。たぶんB級以上は別対応となるからな」
「ああ。普通の職員では対応出来んじゃろな」
「爺ちゃん達、そんなに凄い職業あるの?もしかして称号もあった?」
爺ちゃんと父さんの話が聞こえて、好奇心が抑えられないよ。
俺がついつい称号の事まで聞いてしまったら、2人は顔を見合わせている。
「うむ。ワシは職業が多すぎて、よく解らんのもあるからな。称号はあったぞ。多分15年前のアレのせいじゃろなぁ」
「俺も職業が多くて、意味がわからないのもあるが、称号はないぞ」
おおぅ流石は伝説の探索者!
爺ちゃんに称号が出るかもとは思ってたけど、実際に聞くと衝撃だね!
だって俺と違って、実力で世界に影響を与えたって事だよ!
2人とも職業が多いのは、早良さんやサブマスのを見て確信してたけど。
父さんは称号なかったのか…
称号も謎だよな。
爺ちゃんならドラゴンの職業がありそう…
前に黒いドラゴンを倒した事があるって言ってたし。
父さんもケルベロスを倒した事があるって言ってたから、その種族とか出てそう。
あ、これは職業を見せてもらうチャンスでは?
「朱鷺は、明日はギルドに行くの?」
俺が爺ちゃん達に頼もうと思った瞬間に、母さんから先に話かけられた。
「あ、うん。講習を申し込んでるから行くよ。明日行かなきゃ来月まで中止だし」
「なら宿題は終わってるの?学業を疎かにしたら、ダンジョンは行かせないって、ママとの約束は覚えてるわよね?」
「昨日の内に終わってるよ。母さんとの約束を忘れる訳ないじゃん」
我が家のルールは母さんだからね。
逆らってはならない筆頭だよ!
「…朱鷺。明日は俺もギルドに付いて行く」
母さんの圧を華麗に躱した俺に、父さんが突然の発言。
「えっ?今日も1人で行けたから、大丈夫だよ?」
スキルの件がバレたらヤバいし。
まぁバレたらバレたで、父さんなら立会人になれるだろうけど。
「いや。付いて行けと勘が言っている」
これは断れないヤツだ。
「わかった。ならお願いするよ。車で行くの?」
「そうだな…車が良いな。親父も一緒に行くか?」
「うん?ワシも行く方が良いのか?」
「そこまで明確じゃないが、一緒の方が良いことがありそうな気がする」
父さんの良いことがありそうは、ホントに良いことがあるんだよ?
嫌な事がある方が強く勘に働くんだけど、良いことは無くても困らない程度なら、勘は曖昧なんだって。
でも言われた通りにすると、8割くらいは嬉しい事が起こるんだよね。
「なら、ワシも一緒に行くか。ついでに申告の事も聞けばいいじゃろ」
「皆が行くなら、ママも行きたいな」
「いや、桜は家に居てくれる方が良い」
母さんまで付いて来るかと思ったら、父さんが家にって言うなら、その方が良いんだろう。
母さんは残念そうだったけどね。
「それじゃ、明日のお昼は皆いらないのね?」
「俺は講習の後に実習だから、外で食べるよ」
「俺達も終わる時間がわからないから、外で食べるよ」
「あ、ママ!私はママのお弁当がいい!ダンジョンで食べるから、簡単に手で食べれるようなヤツ!」
「あらあら。ならサンドイッチにしましょうか。バゲットもあるから、バゲットサンドもね」
それは旨そうだ…
父さん達も心惹かれているみたい。
俺はサワラーとして、早良さんとのランチを優先するけどね!
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