第60話 3日後の男子に刮目せよ
「あ、そうだ。今はこんなものしか持ってないけど、結構使えるからあげるよ。誕プレね!」
鞄から何やら取り出して渡された物を見ると、シンプルな指輪だった。
告白…な訳はなく、ホントに思いつきでくれただけで、特に他意はないんだろうけど、他の男にやると誤解されるぞ?
「力の指輪だよ!ちょっと力が強くなるから、探索者をするなら持ってなよ!」
これからパーティーの皆と待ち合わせて食事だからもう行くけど、
ホントに二十歳になっても落ち着きがないなぁ。
貰った指輪は攻撃力が上がる効果の物だと思うけど、これでも買えば5万円くらいするから、中学生の誕生日プレゼントとしては高価だよね。
今日の検証で感じた範囲では、ステータス値が2~3上がると、今の俺なら3~5割上がるくらいの効果がある。
鉄の棒が攻撃力が3上がるから、持ってみた体感だけなんだけど、そんな感じだった。
指輪なら刀を握るのに邪魔になりそうだけど、なぜか着けてる感覚もなくなるフィット感で邪魔しない不思議仕様。
メリケンサックみたいな武器じゃなければ、併用出来る万能アイテムだよ。
シンプルな銀色のリングに、小さな黒い石が1個だけ嵌め込まれてるデザインだから、フツメンでも使えるのもポイント高いね。
ありがたく使わせて貰おう。
左の中指に嵌めるとピッタリに調整された。
それじゃあ今度こそ帰ろう。
─── ─ ─
「ただいま~」
玄関を開けて挨拶すると、台所から良い匂いがしてくる。
ヤッフ~!今日はカレーだ。
まぁ土曜日はカレー率高いけど、好物だから無問題。
「お帰りなさい。手を洗ってきてね」
キッチンを覗くと、母さんがお玉片手に振り返る。
わかったと返事をして洗面所に向かいながら、父さん達は帰ってないなとリビングを横目に通り過ぎる。
手とついでに顔も洗ってサッパリする。
冷たい水に気合いが入るね。
契約魔法があるとは言え、秘密を知られないようにしないと。
特に
父さんの直感力や、爺ちゃんの観察力は誤魔化せないと思うから、何か言い訳を考えとかないとな…
まぁ、何だかんだで家族に弱い人達だから、言えないって言うだけで何とかなりそうな気もするけど…
家族に弱いだけで甘くはないから、どうしたもんかな?
ま、
部屋で着替えてリビングに行くと、爺ちゃんが帰ってた。
「爺ちゃん、お帰り」
「おお、ただいま朱鷺。ステータス獲得はどうだった?」
「二度手間になるから、皆が揃ってから言うよ」
「そうか。その指輪はどうしたんな」
「偶々、マス姉にギルドの前で会ってさ、誕生日プレゼントでくれたんだよ」
じっと指輪を見て、良いもん貰ったなと笑う。
爺ちゃんと父さんのプレゼントには負けるけどね。
2人から
探索者になるならコレを使うのは覚悟をしてるけど、パンツのタイプがビキニなのが恥ずかしかったんだよ!
ピッタリしてないと、戦闘の時にブラブラするからって真面目な顔で言うし。
ピッタリするならボクサータイプでも良いじゃないかと思う。
フィット感について延々と語られたくなかったから、黙って受け取ったけどさ…
どうせなら普通の結界型トイレをくれたら良かったのに。
どこかずれてるんだよね。
2人には探索者の心得とか、訓練と称して
ダンジョン攻略中に、食料がなくなっても生き残るためだとか言ってさ。
それで倒れて母さんが怒っちゃったから、断食だけは1度で済んだけど。
姉ちゃんの時は断食も1日だけで、本人もけろっとしてたから、俺ならもっと出来るって3日にするとか鬼だよね。
スポーツドリンクだけ渡されて3日だよ?
お腹と背中がくっつくところだったわ。
成長期の子供に断食ダメ絶対。
でも精神的には成長したよ。
俺が川の向こうで婆ちゃんに会ったよって言ったら、爺ちゃん達が凄い顔をしてたな。
死んだら殺されるとか、矛盾した事を言いながら、仏壇に手を合わせてた。
爺ちゃん達をガクブルさせる事が出来るのは、婆ちゃんだけだよね。
あれからムチャ振りはされなくなったから良かったよ。フフフ。
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