第42話 ギリギリの食レポ

 モグモグ…

 唐揚げウマウマ。

 うんジューシーです。


 食欲湧くかとか言ってたけど、十代男子は腹ペコ属性なんだよ。


 さっきガチャミが土下座して泣いてた辺りで、早良さんがお茶を持って来たからね。


 相変わらず執事のように、お茶を配ってくれたよ。

 お手拭きもちゃんと用意してくれて、至れり尽くせりです。


 俺は唐揚げは初めの1個は何もつけず食べる派だ。

 味見してレモンなんかの量を調整する。

 今日のは片栗粉を使ってカリッと揚げてるから、むしろレモンは違うな。


 醤油と大蒜(にんにく)が効いてて隠し味に蜂蜜が使われてるのか?

 コクがあって肉も柔らかい。

 このままで味がしっかりしてるから、何もつけなくても良いかも。


 どうせならマヨネーズよりタルタルソースなら、味が引き立つかもしれない。

 何故お弁当はマヨネーズとレモンの組み合わせなんだ。

 もしや、マヨネーズにレモンで酸味を加えて、タルタルソースと同じ効果を狙っているのか?


 だが、いっそのことハーブ塩と言うのも有りだ。

 お弁当にハーブ塩がついてないのが本当に残念だ。


 なんて独り食レポみたいに考えてたら、ガチャミが恨めしそうに見ている。


 ん?食べたいの?てか食べれるの?


 コクコク頷くから、少し迷って唐揚げを箸で挟んで差し出す。


 両手で唐揚げを持って嬉しそうに食べるガチャミに、どう見えるか早良さん達に聞いてみた。


 唐揚げはいきなり箸から消えた様に見えたそうな。

 ガチャミが持つと消えるって事か…

 食べた分が消える様に見えると思ったが、予想が外れたな。


 しかし、顔の半分くらいの大きさの唐揚げに、手掴みでかぶりつく妖精って如何なものかな?


 ガチャミを認識出来るのが俺だけと言うことは、俺が唐揚げを食ってるガチャミは居ないものとすれば、ガチャミはそこに居ないのだ。

 うん哲学。


 お茶を飲んで一息つく。


 さて、口の中の油分をリセットしたところで、付け合わせのポテサラに行くかナポリタンに行くか迷うな。


 よし、ポテサラ→ナポリタンのコンボだ。


 小さなカップに納められた、チラリと色味野菜を魅せる白い丘陵を崩す様に挟み込む。

 淫らに潰れた白い肌じゃがいもの先にある赤い粒ニンジンは、舌先に程よい弾力を伝える。

 秘められた奥を暴けば、柔らかな瑞々しさの中にシャキリとした感触キュウリがやってきて、魅惑の響きを奏でる。

 最後に隠れていた甘い粒コーンを発見し、驚きと喜びを感じながら、その甘さを堪能する。


 さらに艶かしい曲線を描く赤く染まる肌スパゲッティを絡め取り、うねる身体を押さえ込む。

 押さえ込んだ乱暴さとは裏腹に、優しく掬い上げ、ベッドの上へ運び入れる。

 滴る甘酸っぱい蜜ケチャップを溢さないよう咀嚼(そしゃく)し、赤い肉ソーセージに優しく歯を立てる。

 苦い青春ピーマンの味を噛みしめて後悔を覚え、甘く溶けた白濁タマネギに愛の味を知り、舌先で転がしながら最後の余韻に浸る。


 エロ小説風の食レポに挑戦してみたよ!


 その後はネタ切れなので普通に食べました。


 ご馳走さまでした。

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