第23話 ●ッキーマ●スマーチが聞こえる
父さんが前に見てた古い映画の、真っ黒に汚れた兵隊が横並びで●ッキーマ●スマーチを歌いながら戦場を進むシーンを何故か思い出してしまった。
小さかったからストーリーは全く思い出せないのに、そのシーンだけ覚えてるんだよな。
「それじゃあパーティー登録をしておきましょう」
俺が頭の中でミッ●ーマウ●マーチを奏でている間に、イケメンとオッサンの話し合いは終わったみたいだ。
早良さんが爽やか笑顔に戻って声をかけてきた。
「パーティー登録ですか?」
スキルの検証するだけなのに必要なの?
「スキルの効果範囲がパーティー単位のものがありますし、何かあった時にパーティーを組んでいた方が対処しやすいんです」
なるほど、バフをかける時とかも個人とパーティーがあったり、階層スキップの転移陣もパーティー単位だし、一緒に行くならパーティー登録するのが普通だもんね。
「ではパーティー申請をします」
早良さんの宣言で、目の前に半透明のウインドウが開く。
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早良光成のパーティーに入りますか?
Yes / No
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Yesをタップすると、頭の中にピロンと音がしてウインドウがパーティーメニューに変わった。
サブギルマスは既にパーティーメンバーになってたみたいで、3人の名前が並んでいる。
おおぅ、B級以上の探索者のレベルは流石に高いね。
燦然と輝くレベルの中に一際目立つ俺のレベル1。
パーティー組むとレベルだけ見れるのも謎仕様だよ。
職業やHP等は見えないのに、システムに個人情報の概念でもあるんだろうか?
いや、パーティー申請の時に名前が出るから個人情報は関係ないか。
そして何と言ってもパーティー名がギルド名なのが、とことんお役所なのね。
って言うか早良さんがリーダーで良いの?
リーダーと言ってもパーティー申請が出来るってだけで、他に特典があるとかじゃないけど、決定権を持つ人がやる事が多い。
まぁリーダー以外が勝手にメンバーを増やしたりしたら問題になるから、これはこれで理にかなっているんだけど。
パーティーメンバーが増減した時は
パーティーメニューは、パーティーを組むとステータスにパーティーの項目が追加されるので、タップすれば内容を確認出来る。
「では行きましょうか」
部屋を出て早良さん、俺、サブギルマスの並びで通路を進むと、突き当たりに頑丈そうな扉がある。
これも来るときに見たのと同じ魔道具なんだろうな…こっちは閉まってるけど。
両開きになってて、向こうにあった扉より小さいから、魔力はそんなに要らないのかも。
早良さんが扉の横のパネルに掌を押し当てるとガコンと音がした。
重そうな扉の右側を、片手で易々と押し開けた早良さんに続いて入ると、その先には少し広めの部屋があり、奥に洞窟のような入口があった。
ここがダンジョンの入口か……
コンクリートで囲まれた部屋はダンジョンの入口に向かって左側が広く、右側は入口ギリギリに壁があるため、横に長い形になっている。
右側はステータスプレートがある部屋なんだろう。
左側にも分厚い扉があって、通常はそちらから入るとのこと。
今入って来た扉はギルド専用で、担当職員しか開けられない様になってるそうな。
探索者は左の扉の向こうにある受付で申請すると、ギルドカードをかざしたら出入り出来る様になる。
入口に近付くと洞穴の上に『Rank E』のプレートがはまっている。
これはギルドが設置した訳じゃなくて、ダンジョンが出現した時からあるそうだ。妙なとこが親切設計だよ。
ここは別名″初心者ダンジョン″と言われ、F級の講習にピッタリだからギルドが近くに作られたのだとか。
「では今からダンジョンに入りますが、必ず私の指示に従って下さい。私から離れないで許可をするまではスキルの使用は絶対にしないで下さい。モンスターの対応も私達がしますので、ご自分で倒そうとしないで下さい。副支部長が後ろの警戒をしてくれますから、ご安心下さい」
「わかりました。よろしくお願いします」
B級以上が二人でランクEダンジョンとか過剰戦力だから。
初ダンジョンにワクワクしてるのもあって、全く恐怖は感じない。
俺の冒険はこれから始まるのだー!
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