第22話 ユニークは愉快じゃない

「そう言えば八女様の称号は"新規ユニークスキル獲得者"となっているので、スキルの中にユニークスキルがあると言う事ですよね。でもユニークスキルの項目はないので、複数あるスキルの内のどれがユニークスキルかは今のところ断定は出来ませんね」


 どゆこと?

 聞いた事のないスキルはガチャしかないと思うんだけど…と俺が指摘すると。


「八女様には新しい項目が追加されてますから、今までのスキル名と同じでも使える効果がユニークなのかもしれませんし、ユニークスキルが複数あるのかもしれないと言う事です」


「早良さんはGPの項目なかったんですか?」


「はい。私もすぐにステータスを確認したのですが、残念ながらありませんでした。ですので八女様のスキルを全て確認しないと、確定出来ないと思われます」


 思わず聞いちゃったけど、ステータスの事を聞くのは失礼になる場合があるから、怒られなくて良かった。


 それに何故か伏せ字の称号について触れないんだけど、もしかして俺にしか見えてないとか?それなら黙ってよ。

 沈黙は金だよ。


 確かに普通なら珍しいスキルがユニークスキルだと思うけど、他のスキルがユニークスキルかどうかの判断は現状では出来ない事になるのか。


 でもそれを言うと、今後も称号にユニークスキル獲得者が現れても、どのスキルかわからない事になるような?


 ん~考えても解らないから、その辺はギルドに任せるしかない。


「まぁ可能性は低いのですが、今は考えても仕方ありませんね。ではスキルの検証を行いましょうか」


 早良さんも同じ結論に至ったのか、ようやくお楽しみのスキル検証だ!


「ちょっと待って!朱鷺君を今からダンジョンに連れてくの?」


 今まで完全に空気になってたサブギルマスが慌てて止めて来る。

 ええ?!サブギルマスは聞いてなかったの?

 普通は上司が許可して指示するんじゃないの?


「私と副支部長が居れば条件は満たしますから、連れて行く事に問題ありませんよ」


「いや、それはそうかも知れないけど、まだ講習も受けてないし、万が一の事でもあればっ」


「私が居ても万が一があるなら、どのタイミングで行こうが同じ事ですよ。それに講習にも実習はありますから、どちらにせよ講習を受けるより先に確認する必要はあります」


 サブギルマスの言葉を遮る様に、早良さんがヒンヤリMAXの笑顔で言うと、サブギルマスは諦めたように頷いた。


「わかったよ。君がそう言うのなら、朱鷺君は何があっても守るのと、絶対に無茶をさせないでね」


 早良さんの自信満々な発言もそうだけど、サブギルマスが納得する実力ってどれくらいなんだろう。


 何か突然シリアスになってるけど、試すのって【ガチャ】だよね?

 俺の常識の範囲に危険なガチャとか無かったんだけど、ガチャってそんなに危険な認識なの?


 どんなスキルでも、ほとんど読んで字のごとくの効果だと言われていて、たまに名前に色んな意味がある場合に、思わぬ効果が出る事はあっても、その意味を知ってる人からは納得の結果になる。


 だから大抵のスキルでは危険なイメージがない限り、危険な効果にならないのが常識のはずなんだけど…


 カプセルから何かアイテムがポンって出るイメージの、俺の常識がおかしいのかな?


 危険スキルならわかるよ?

 自爆系とか、毒物系とか、呪い系とかね。


 あ、でも思わぬ効果のスキルがあったわ。

 お笑い系とかね。


 お笑い系は馬鹿に出来ないぞ。

 つまらないギャグでも効果範囲内で聞いてしまったら、強制的に1分間笑いが止まらなくなる、行動阻害系のデバフとかあるんだからな。

 "布団がふっとんだ"で1分間笑い続けるとか…何て恐ろしいスキルなんだ…


 そういう感じで二人共、これから戦場に向かうような雰囲気なんですけど、俺は無事に帰れるんだろうか…

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