第21話 イケメンはヒンヤリする
「遅くなって、すまない」
「探索者登録と登録証の説明が終わったところですので、大丈夫です」
ハンカチで汗を吹きながら入って来たけど、やはりトイレが使えず遠い所まで行っていたのだろうか。
俺が掃除が始まる前に使用出来たのは、やはり幸運のおかげかも?
地味にいい仕事してますねぇ。
「副支部長が来ましたので、もう1つの問題を話しておきましょう」
もう1つの問題?
何だっけと首を傾げる。
「えと早良君、もう1つって何だっけ?」
俺と同じ疑問を口にするオッサン。
ってサブギルマスェ。
「称号ですよ。副支部長もワールドアナウンスはお聞きになったでしょう?」
またもやヒンヤリとした空気が漂う。
何でわからないんだと言いたげな目線ですが、この二人の
称号の事だね、そうそう先に言わなきゃねと、完全に忘れてた感じのサブギルマスに呆れる。
あ~あ、今まで全く称号について触れないから、ワールドアナウンス前に出てた称号は見えてない方に賭けてたんだけどな。
「八女様」
「はいっ」
何を言われるのか緊張して勢いよく返事すると、早良さんは苦笑を浮かべる。
「緊張されるのも無理はありませんが、そう難しく考えなくて大丈夫ですよ」
そう言うと、国の法律とギルドの規則を簡単に説明してくれたのは、次のような事だった。
まず称号と言うものが今まで無かったので、法律も規則もない事。
ただしステータスに関する事柄は法律に則ってギルドが解決に当たる事となってるので、ギルドとしては特例法に準ずる形で対応するとのこと。
先程の契約魔法にステータスの情報についても含まれていたので、新たな契約が必要ないのは良かったのやら。
「つまり称号の事は法律や規則が出来るまで、誰にも知られないようにしてくれれば良いと言う事です。これはワールドアナウンスに称号は何の効果もないとあるからなんですけど。もし称号に効果があれば検証も制限もしなければなりませんでした」
最後に付け足された内容に、下手したら拘束される時間が半端ない事になるとこだったと…
それに、他にも称号が表示される人が表れるかもしれませんから、称号がある事は知られても問題ないかもしれないが、称号の内容は絶対に知られないようにして下さい、って言ってる早良さんがサブギルマスの方を見てヒンヤリしてるような……うっかりしてそうだもんなぁ…
既にギルドからは公式ホームページや窓口に、称号を得た人は無闇に公表せず、ステータス課へ連絡するよう掲示しているそうな。
仕事が早い。
まぁ30年間に何度も新しい発見やワールドアナウンスが起きたから、こういう対処に慣れてるんだろう。
それにしても称号効果がなかった事に感謝だよ。
文字化け称号は何かが起きても称号のせいか判らないじゃないか。
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