第19話 影が薄いよサブギルマス
「契約も終わりましたし、少し休憩にしましょうか?」
おかわりも出来ますよと聞かれて、コーラが飲みたくて自販機あるなら自分で買いに行きますと聞いてみたら、ギルドでご用意しますと。
ついでにトイレも行きたいし、ちょっと一人になりたいから外に出たかったんだけどな。
「そうですね10時15分までドアの鍵を開けておきますので、部屋を出て右手に行くとトイレがあるのですが、その少し先にある赤いドアの休憩室で休んでいただいても構いません」
俺がどうしようか考えてたら、トイレの位置を案内すると同時にさりげなく休憩室の位置も教えてくれる。
会議に何人も参加する場合に、出入りする度に鍵を持つ職員が開けるのは非効率と言う事で、鍵をしてない状態なら誰でも掌かざすだけで開けれるそうな。
つか読心術のスキルとかないよね?
なんだかピンポイントで先回りの説明をされてる気がする…
休憩室にはテレビもございますからと言いながら、またもや然り気無くドアを開けてくれる。
そう言えばサブギルマスはと思い出して振り返ると、何かプルプルしながら両手を胸の前でくんで早良さんを見てたけど、うん何も見なかった事にしよ。
とりあえずトイレ行きたい。
早良さんは私はこちらに用がありますのでと、グラスを回収したトレーを持って反対側に歩き去った。
いつ回収したかも気付かせない動きは、もはや万能執事だよ。
トイレも休憩室も誰もいなくて、なんだかんだで疲れてたため、ゆっくりさせて貰った後で時間ギリギリに戻ると、入れ替わりでサブギルマスが早足で出ていった。
後で知ったのだが、ここのドアは鍵を開けてても無人になると自動で鍵がかかるため、サブギルマスが残って俺が入れる様にしてくれてたそうな。
自分が出て戻る前に俺が戻ると困るだろうと、ずっと待っててくれてたみたい。
ギリギリまで休憩しちゃってご免なさい。
戻る時に掃除の札が出てたけど、出て行った理由がトイレじゃない事を、とりあえず祈っておこう。
こう言う場合は早良さんが先に戻ってると思ってたのに、サブギルマスが出て行った後に戻って来た。
「お待たせ致しました」
「俺も今戻ったところなんで」
と言った後に、恐ろしい可能性に気付いた。
まさか俺に合わせたタイミングで戻って来た?
「氷が溶けると、せっかくのコーラが水くさくなりますから、時間通りに戻ったのですよ」
おぉぅ
やっぱりピンポイントに説明されるのは、きっと出きる男だからだよ。
ジュル~と勢い良くストローでコーラを啜って心を落ち着ける。
「そろそろ次の手続きを始めましょうか」
サブギルマスがいないのに進めちゃって良いのと思いながら、この人に逆らってはイケナイと
「八女様は特例法により自動的に探索者として登録されます。スキルを検証するのがダンジョン内になるためです」
それは想像の範囲内だったから、頷く。
元々ダンジョン以外でのスキルの使用は許可があるものだけに限られる。
他人を傷付ける事のないものや、回復魔法、鍛冶など有用なスキルは許可が出やすい。
まあ禁止されてても使ってしまう人は一定数出て来るので、危険スキルは最初から封印魔法や契約魔法で制限したりする。
パッシブスキルの幸運や強運は、スキルを持つ人は持たない人の
元々そういう運なのかスキル効果なのか判断が難いからな。
幸運を持ってるからと言って毎回レアドロップにはならないし、持ってなくても全くレアドロップが出ないなんて事はないと証明されてるからね。
「それではギルド登録証の発行を致します。これが終わりましたらダンジョンに入れる様になりますので、八女様さえ良ければ、この後スキル検証をしてみますか?」
「ええっマジで?!」
思ってもみない申し出にタメ口で叫んでしまう。
すみませんと慌て謝ると、驚かせちゃいましたかとイタズラっぽいスマイルを炸裂させる。
お~新しいバージョンだよ。レアスマイル戴きました。
すぐにスキルを試せるなら、やるの一択だよな。
A級探索者の早良さんの実力も見られるかもだし。
うお~テンション上がってキター!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます