第14話 BとLも都市伝説※

「八女様どうぞ、こちらにおかけ下さい」


 B会議室とか言ってた通り、会議室のイメージ通りの磨かれた楕円形のテーブルの周りに、等間隔で椅子が配置されている奥側の真ん中辺りに誘導される。


 逃がさないとかじゃないよね?

 上座だからお客様には奥に座ってもらうだけだよね?


 若干ビビりながらも座って周りを見渡す。


「お飲み物をお持ちしますので、何かご希望はございますか」


 俺の緊張に気付いているのか、ふんわりとした笑顔で聞いてくるイケメンエリート。


 おぅふ。BとLな展開なら恋が始まっているところだぜ。

 そんな事にはならないけど……ならないったらならないよ?


「冷たい緑茶をお願いします」


 俺はハッキリ言える日本人現代っ子だから、喉が乾いたので遠慮なくリクエストをする。


 でも用意出来そうな飲み物にしてしまうのは、空気の読める日本人チキンハートだからだ。


 ここで蓮茶ロータス ティーとか言って出てきたら、それはそれでビックリするけど。


 かしこまりましたと部屋から出ていった早良さんを見送り、スマホを取り出して父さんにメッセージを送る。


 さっきはタイミングがなくて送れなかったからな。


 何か早良さんて背中にも目があるんじゃってくらい俺の歩くスピードに合わせて進むし、歩きスマホとかしたら一瞬でバレそうだったからね。


『ヘルプミー』とアプリでメッセージを送るとネットワークエラーで送れない。


 あれ?とアンテナを見たら圏外だった。

 そう言えばダンジョンでは電子機器は使えないって言うけど、近くでもダメだったっけ?


 左右にスマホを振ってアンテナが立つか試しても、何の変化もない。

 これは自力で頑張るしかないか。


 は~~と長いタメ息を吐き出して机に身体を預ける。


 心の中でステータスオープンと念じると頭の中にステータスが浮かび上がる。


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名前 八女 朱鷺

性別 男

年齢 15歳

職業 中学生

レベル 1

HP 12/12 MP 7/7 GP 20/20

スキル 【ガチャ】【幸運】【刀術】


称号 【新規ユニークスキル獲得者】【※※※※※※※※※】        ▶

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 しかし想定外だよな、こんなこと。


 ユニークスキルは都市伝説的にまことしやかに囁かれてて、伝説の探索者ビトーの『千変万化』だとか、ピアニストのコーネリアの超絶技巧な指使いはユニークスキルのおかげだとかね。


 探索者以外の人は普通はスキルを公開しないし、ビトーは本人が既に他界してるから|なので真偽は闇の中だけど。


 時々自称する人も現れるけど、そもそもステータスにはユニークスキルの項目がないのだ。


 でも称号にユニークスキル獲得者って書いてあるから、ユニークスキルは存在するって事だろうし。


 ユニークスキルは元々あったけど、称号システムがなかったから表示されてなかったとか?


 称号も俺がステータスを確認した時には既に入ってたのに、早良さんが確認した途端にワールドアナウンスが流れたから、ステータス獲得が引き金で称号システムが出来た訳じゃないんだよな。


 だから想像でしかないけど、称号を持つ人は実は存在してて、ギルドが秘匿してたとか?

 それで今回で称号を知る人数がシステムの発動条件を満たしたから、称号システムが追加されたとか?


 でもギルドや国がユニークスキルまたは称号の存在を把握してたとして、秘匿してもいずれはワールドアナウンスによって知られてしまうのだから、あまり意味がないと思うのだけど。


 後はこの伏せ字みたいな称号も謎だし…

 この称号だけ何で伏せ字なのかも、世界にどんな影響を与えたのかも不明だし…


 結局1人で考えてもわからないし、迂闊うかつな事を言わないようにするしかないか。

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