第9話 色々と渋滞してます

 ドアを開けて待つ早良さんの横を、目を合わせないように通り過ぎる。


 くっ女子なら惚れてるぜ…と思ったところでクラスの女子が、イケメンランキングがどうとかで盛り上がってたのを思い出した。


 うわマジで今まで忘れてたけど、宇島うのしまさんと猪国いのくにさんはサワラーだとか聞こえて来たのさわらが好きなのか~とか思ってたけど、ひょっとして早良さん推しって事か!


 新たなる発見に愕然とする俺を追い越して、相変わらずスマートに通路を先導する早良さん。


 まさか女子中学生にサワラーとか言ってるファンがいるとは知らないだろうな。


「こちらがステータス獲得のための部屋になります」


 ぼんやり考えてる内に目的地に到着したようで、スライド式ドア横のパネルに早良さんが掌をかざすと音もなく開いた。


「早良さん、お疲れ様です。実は明日…」


 何だか嬉しそうな声がして、中にいた職員らしき男性フツメンが立ち上がる。


古保里こおざとさん、こちらの八女様のステータス獲得をしたいのですが」


 男性が何か言いかける前に、早良さんが話しを遮る様に要件を伝える。


「あっ失礼しました。ステータス獲得ですね。こちらへどうぞ」


 俺に気付いてなかったのか、身内話しでもしかけたのを遮ったのかな。


「ああ、手続きは私がするから、君はこちらの確認をお願いします」


 古保里さんが隣の部屋へ案内しようとしたのを断って、早良さんが持っていた書類バインダーを渡す。


 ううん早良さんの出来る男オーラがパネェっす。


 部屋の奥にあるドアを開けて待つ早良さんは、もうエスコートキングと呼んでも良いんじゃないかな。


 その場所は部屋と言うより、岩壁をコンクリートで囲っただけの小さなスペースだった。


 煌々とライトで照らされていて、なんとなく洞窟とか山っぽい岩壁が、人口物との対比でものすごく違和感を感じる。


 その岩壁の目線の高さに、不自然なくらいの光沢を放つ30cm程のプレートが嵌め込まれている。


 あれがステータスプレートだろう。


 さてようやく待ちに待ったステータス獲得だな!


 多分ギルドを出て10分も経ってないと思うけど、すごく長時間かかった気がする。

 主に早良さん情報が渋滞してたので。

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