第7話 属性てんこ盛り

 さて気を取り直して、通路を進むとギルドのエントランスくらいの空間にベンチ型の椅子が三列ずつ柱を挟んで左右に並んだ場所に出てきた。


 正面とカフェの裏側に当たる部分にL字型にカウンターがブースごとに仕切られ、その内側には机が4~6席ずつ島になって置かれている。


 複数のスタッフが電話を取ったりパソコンに向かって作業をしていて、カウンターでも何人かが応対している音がざわめきとして聞こえてきた。


 うん完全に役所の待合室だよ。

 どこまでもギルド感出さないよね。


 気を取り直して、左端にあるステータス課と書かれた表示板のブースへ進む。


 ベンチに座っていた二十歳はたちくらいの人がチラリとこちらを見たが、もちろん絡んできたりしない。


 まぁステータス保持者は厳罰化されてから、こんな公の場所で絡む探索者テンプレバカはいないんだけどね。


 カウンターの前に行くと一番手前に座っていた男性が立ち上がって爽やかに微笑む。


 ここで美男枠イケメンキター!


 受付美女でなく受付美男て誰得なんだよ。


 あ女子中学生J C得ですね、解ります。


 あと、お姉さんとかお嬢さんとか。


 カウンターの右隣にいた受付嬢がガン見してましたわ。


 この人はちゃんとお姉さんホンモノですね。


 ゾクッ。

 悪寒を感じて横目で見ると、カウンターの右端にいたお姉さん美魔女と内側で作業してたお嬢さん魔女から殺気のこもった目が…


 素早く目線を前に戻して何も見なかったフリをする。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」


 イケメンは更にイケボ属性まで装備していました。


 冷や汗をかく俺とお姉さんズの攻防に気付かなかったのか、テンプレセリフで攻撃NPCしてきた。


「あ、す、ステータス獲得に来ました」


「ステータス獲得ですね。番号札を確認します」


 ちょっとどもってしまったが、受付美男イケメンイケボは爽やかな笑顔をキープしながら流してくれた。


 やだイケメン過ぎる、とお姉さんズと一緒にガン見しそうになりながら番号札を渡す。


「予約の確認が取れました。それでは手続きをしますので、お掛けになって下さい」


 イケメンの手元で何か確認が取れたようで、俺がカウンターの椅子に座るとイケメンも座る。


「本日、担当させて頂きます私は早良さわらと申します。よろしくお願い致します」


 イケメン改め早良さんが首に掛けた身分証を見せて、さらりと前髪を揺らしながらお辞儀するのに慌てて、よろしくお願いしますとお辞儀を返した。


「まずは念のためお名前をフルネームでお願いします」


「八女朱鷺です」


「では八女様、ステータス獲得通知書と身分証明書を出して下さい」


 両方を渡すと、素早く通知書と身分証明書をチェックしていく。


「それではいくつか確認させて頂きます」


 A4サイズの用紙をカウンターに置き、真剣な顔になる早良さんが通知書と一緒に送られてきた注意事項と同じ内容を確認していく。


 ステータス獲得したら厳罰化の対象になる、スキルは必ずギルドに登録される、新しいスキルを得たらギルドに報告する、探索者になる場合は探索者登録が別に必要、未成年は保護者の同意書が必要、探索者になればダンジョンへ入る事が出来る、ダンジョンでは怪我や死亡する危険があるが自己責任になる、未成年の探索者は例外を除きランクDダンジョンまでしか入れない、ダンジョンで得たアイテム等の獲得物は必ずギルドに提出する、勝手に売買や譲渡したら罰則があり探索者資格の抹消もある等を読み上げて、確認しましたの欄にチェックを入れて行く。


 もっと細々あったけど覚えてられないよ。

 とりあえず重要そうな所だけ押さえておけば、後は臨機応変で良いのさ。


 最後に署名欄に日付とサインを記入した用紙は複写になっていたようで、控えは必ず保管しておくようにと渡された。


「では、これで手続きは完了しました。次はステータス獲得のための部屋へご案内致します」


 やっと本日のメインイベントだ~!


 説明の間の早良さんイケメンイケボへの視線が被弾して突き刺り、必要以上に感じた心の疲れが吹き飛んだよ。


 この視線の中で表情の変わらない早良さんて…鈍感主人公ゆうしゃ属性?

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