第3話 世界ダンジョン探索者協会

 ダンジョンに関する法整備が行われ、ダンジョン関連の用語も確立した頃、民間人にもステータスを獲得させてダンジョン攻略を進める方向に各国も舵を切りはじめていた。


 中でも真っ先にアメリカはフロンティアスピリットに溢れる人々が働きかけ、各州知事は次々と民間探索者を承認し、大統領も世界に向けてダンジョンは全人類が一丸となって取り組むべきだと宣言して、「世界ダンジョン探索者協会」の設立を提唱した。


 アメリカにイニシアチブを取られてはならじと、ロシア、中国、イギリス、EU加盟国等も次々と民間探索者を認める法律を制定し出資を申し出て、あっという間に「世界ダンジョン探索者協会」は設立されたのである。


 とは言え民主主義ではないロシアや中国などでは、民間人と言う名の国の息がかかった団体による不平等法でしかなかった。


 その他にも独裁政治の国では、民間人がスキルを得て反逆でも起こされてはと、ステータス獲得そのものを許さなかった。


 勝手にステータスを得た者は収監され、有益なスキルを得た者は労働を強制させ、危険なスキル保有者は冤罪で死刑にしたりと、モンスターが溢れようがお構い無しで国力を下げている事にも気付いていなかった。


 日本もアメリカに追従し加盟したは良いが、いざ法律をどうするかとなれば、与党と野党が無駄に対立して各党の出す法案はどうでもよい部分の揚げ足の取り合いで支持率は軒並み下がり続けていた。


 グダグダになりながらも世論やアメリカの突き上げで、ようやく法律が出来た頃には、ダンジョンが出来て1年以上が経っていた。


 その頃には世界でモンスターによる被害は実に4億人を超えていた。


 モンスターが溢れる現象はモンスターハザードと呼ばれ、モンスターハザードで滅んだ国も出てきていた。


 周辺国は自国にもモンスターが押し寄せて被害を及ぼす可能性もあり、国境にバリケードを築くが、難民が押し掛けてバリケードを破壊する騒ぎも起きた。


 しかし不思議な事にモンスターは国境を越える事はなく、国境付近に押し掛けていた難民がいなくなると引き返して行くのだった。


 ダンジョンの所属する国からはモンスターが出ない事が判明し、自国のダンジョンで手一杯の周辺国は滅んだ国を放置する事にした。


 だが強欲な国が滅んだ国を自国の領土だと宣言した途端に、モンスターはその国の国境を超えて襲いかかったのだった。


 また国境を接していない国が占有すると宣言した時には、滅んだ国のモンスターが消えたと思ったら宣言した国にモンスターハザードが起きたのだった。


 それは攻略をしていたはずのダンジョンからでも溢れ出すと言う、前代未聞の出来事で、世界中を震撼させた。


 これにより更に滅んだ国や、世界ダンジョン探索者協会に所属する国に借りを作りながらも助けて貰えた国もあり、以降は協会に加盟する国が激増した。

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