⑤
「そ、そんな軽いからすぐに恋人に振られちゃうんですよ。それに三ノ宮さんは、私と付き合ってもメリットないじゃないですか」
「メリット? メリットあると思うけどな」
「何ですか?」
「黒田なら、好きな大きさが違うとか怒らなさそう」
普通の女の子じゃないのでね。
「それに、『好きだ』って寄って来る女の子と違って黒田はドライで一歩引いてる感じが一緒にいて楽だよね」
めっちゃ必死に隠してるだけですけどね。
多分本心知ったらめっちゃ引きますよ?
マジで気持ち悪いレベルですから。
「それに俺、黒田の手作り弁当一度食べてみたかったし」
つっ、作りませんけどね……。
「なんか、良い付き合いができるヴィジョンが見えた気がする!」
見えませんけど。でもその笑顔はそのままでお願いします。がっつり網膜に焼き付けるんで!
だけどそのあとは会社の話しになり、二人で今のシステムは古いとか、こうすればもっと良くなると意気投合し、話しが盛り上がった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろお開きにしていい時間となる。
「そろそろ帰るか。明日も仕事だしな。じゃ気を付けて帰れよ」
三ノ宮さんは通常モード。
彼氏の話しは、ただ会話の流れなだけで本気でそう言ったのではないのだろう。
夜道を一人で歩いていると、風が酔いを覚ましていく。
「はあ。二人で飲み会。良い思い出できたな。絶対に忘れない」
彼氏に立候補とか冗談だったとしても、とても嬉しかった。一瞬だけ見れた夢に頬を存分に緩めながら帰路に着く。
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