②
お昼休み、休憩室の隅でお弁当を食べていると、後輩たちが恋話で盛り上がっていた。
恋話には特に興味はないが、その中で「三ノ宮さん」と出て来てしまったので、自ずと会話が耳に入って来てしまった。
いや、聞きたくて聞いたわけではない。
盛り上がって大きな声で話すから聞こえてしまったわけで……。
「三ノ宮さん、彼女と別れたらしいよ」
どこの情報だ、と思うが、後輩の中に情報通の子がいた。本当にどこから話しを拾ってくるのだろうか不思議でたまらない。
「でも三ノ宮さんていつも長続きしないんでしょ?」
ああそれは聞いたことある。
長くても半年とか。短いとひと月とか。
「飽きやすいってこと?」
「本気にならないってことでしょ」
「遊び?」
「かる〜い!」
三ノ宮さんはそんな人じゃないよ!
付き合ったことないから、……知らないけどさ……。
「ちょっと誰か三ノ宮さんと付き合ってみてよ。そしたら真相分かるじゃん」
「その発言もサイテーだけどね〜。でも興味はある〜」
やめて、三ノ宮さんを弄ぶようなこと!
そんなことするくらいなら私が付き合ってみたいよ!!
「おためしで?」
「いいじゃん、ひと月くらい!」
「思い出くらい出来るかも?」
――おためし、ひと月、思い出。
全部自分に言われてるような気がしてきた。
1ヶ月半後にはもう会うこともない人と、最後に思い出が出来るなら……。
この気持ちを伝えてもいいのかもしれない。
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