第49話 我が道を行く乙女
私の名前は
21歳のイケてる女子大生であって決して「朝臭いよ」じゃないからそこんとこよろしく。
子供の頃は男子からよくからかわれたけど、そんな奴らには倍返ししてやったわ。主に腕力で。
私は嫌なことをされたら即報復する性質なの。
黙ってやり過ごすなんてあり得ないわ。
やられたらやり返す。それも徹底的に、が私のモットーよ。
そんなことはどうでもいいわね。
実は目指している職業柄あまりよろしくないのだけど。
石川県育ちで都会暮らしがしてみたくて大阪の大学を受験したわ。
東京方面はなんとなくパス。
寮に入れてそのまま今は箕面船場寮の寮長をしているわ。
聞き分けの悪い寮生を屈服させることに生き甲斐を感じているのは公然の秘密よ。
今は2022年11月8日、20時30分ぐらい。
世間では皆既月食と天王星食が重なるとかで騒いでるようだけど、私はどれだけ稀少なことだろうが天体観測にはそれほど興味がないわね。
とは言え、部屋の窓から皆既月食が見えてはいるのでぼーっと眺めてはいたのよ。
『ダンジョンを初期設定しました。変更はメニューから実施可能です。』
何か声が聞こえたわ。
何勝手なことしてくれてんのよ。
どんな設定になってるっていうのよ。
アホな設定になってたら許さないわよ。
ちょっと確認させなさいよ。
よく分からないけど心の中で文句を言ったら目の前に何か表示されたわ。
・設定変更
・拠点詳細
・眷属詳細
・ポイント交換
どういうことよ。
ちゃっちゃと設定内容見せなさいよ。
移動設定:外出不可
行動設定:攻守バランス型
何よ、意味が分からないわ。
外出不可って何よ。
うちは門限もないし、外泊もOKよ。
基本的に決められている規則さえ守っていれば後はフリーダムよ。
ただし、規則を破った時には私から与えられる厳しい罰則が待っているから注意することね。
ほら、ちゃっちゃと変更しなさい。
攻守バランス型ってのも納得いかないわね。
基本的に攻撃あるのみよ。
防御になんて気を取られちゃだめよ。
相手に攻撃させる隙も与えずに徹底的に叩きのめせば何の問題もないわ。
ほら、こっちもちゃっちゃと変えなさい。
移動設定:私が正義
行動設定:徹底攻撃
やればできるじゃない。
これからもちゃんと意図を汲み取るようにしなさい。
『スキルを獲得しています。ステータスを表示します。』
そうそう、待ってるんじゃなくて能動的にすることもできるんじゃない。
何か表示されたけど意味が分からないからどうでもいいわ。
ちょっとむかついたわ。
ラウンジにでも行って憂さ晴らしでもしようかしら。
「あ、伊代せんぱーい。皆既月食と天王星食見ましたー?」
声を掛けてきたのは
須奈乃はフルネームだと「ノーミスなの」なのにちょっと失敗が多くて掴みどころのない可愛い後輩だ。
「月食が視界に入ってきた程度かな、」
「えー、あんなに神秘的だったのに。生きてるうちにもう二度と見られないですよ。」
「誰がそんなこと決めたのよ。別に見たくないけど見られないなら見られるようにするまでよ。」
「また伊代先輩ってば。でも伊代先輩ならやっちゃうかもって思えちゃうからなんかやだ。」
「ま、私だから。誉めても何もあげないわよ。」
「別に誉めてませんよ。」
「なにおぉ。そんなことを言うやつにはこうだ。こちょこちょ~。」
「や、やめて〜。それはらめぇ〜。」
「ほれほれ~。ここがええのか。ええのんか。でもなんで擽る時ってこちょこちょ~って言っちゃうんだろうね。」
「そんなの…あん…知らない…けど…やん…なんで胸…揉んでるんですか…。」
「あんた、またおっぱい大きくなったんじゃないの。けしからんな。ちっちゃいくせに乳ばっかり大きくなって栄養の使い方間違えてるんじゃないの。」
「ひどいです。先輩のばかぁ~。」
「短い腕振り回したって当たるわけないわね。ふふん。」
「頭抑えるなぁ~。」
ちょうどいいわ。須奈乃に聞いてみようかしら。
目の前の半透明なわけわからんものが羅列されているものを指さす。
「ところで、これって何?」
「これって何ですか?」
「これはこれよ。」
「どれがこれですか。」
まさか目の前にあるこれが見えないっていうのかしら。
「先輩、なんか見えちゃいけないものが見えてる、とか?怖いからあっち行ってください。」
「あんた、失礼ね。」
とりあえずこめかみをグリグリしてやる。
「先輩、痛いですぅ。」
「そう言えばステイタスがどうのこうの。今さら私の社会的地位が何だって言うのよ。人からどう思われようが私には関係ないわね。私は私の生きたいように生きるだけよ。」
「わー、とっても先輩らしくて素敵です。でも、もしかしてステータス画面みたいなものが見えてるとかって話ですか?そんなVRゴーグル着けてるわけじゃあるまいし厨二病みたいなこと誰も信じるわけないじゃないですか。ステータスオープンって誰も……ってなにこれ?先輩がダンマスってどういうことですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます