第33話 消えたのに消えてなくて消えたままでない

広域連携っていうと複数の地方自治体が行政サービスとかを効率よく運営するために共同でやりましょう、みたいなことだよね。

ダンジョンがなんでそんな設定になっているんでしょうか。

まさか、平成の大合併よろしく、ダンジョンが合体して大きくなろうとしているなんてことが…あるのか。


ちなみに明治21年に71,314あった市町村の数は政治やいろんな都合でどんどん合併を繰り返して、昭和36年には3,472にまで減っている。

その後、高度経済成長を経て国民の生活も大きく変容したが、それから約40年近く市町村数はほとんど変化していなかった。

やがて、人手が減ってきた地方では満足な公共サービスを行うための負荷が増大してきてさあどうしましょう、というところで平成11年以来、全国的に市町村合併が積極的に推進されることになる。

この平成の合併推進の結果、市町村数は平成26年には1,718まで減ったのだった。

あー、ただしこの数字には北方領土の6村の分は含まれていないので、それを足すと1,724。

そして、この合併に合わせて市町村議員数も平成11年の63,140人から令和3年の32,021人までほぼ半減している。


方や、国会議員数は減らす減らすと言いながら、最高時の昭和61年の衆議院512人、参議院252人から衆議院は平成29年に465人に減り、参議院は平成12年に242人まで下がったものの平成30年には248人に増えている。

自分の懐を肥やすことに奔走するような無駄な議員こそ減らしてほしいものだが、穴だらけの政治資金規正法しか作れないような人たちには期待することはできないだろう。


そんなに金儲けがしたいなら起業すればいいのにと思うが、他人の金を我が物顔で使うことはできても財を生む才はきっとないのだろうね。

またそういう人に限って、何故か態度がおかしかったりする。

自分のことを「偉い」と勘違いしている国会議員のなんと多いことか。

誰に対して偉いと思っているのか、その錯誤に唖然としてしまうよ。

素晴らしい行いをして多くは後の世で評価されて偉人となるのに、生きている間に自分で自分を偉いと思うなんて甚だ信じられない。

会社で社長やってるような人にも似たような人が多い気がする。

そりゃ、自分の会社では平社員よりは「偉い」んだろうけど、関係ない社外の人から見れば偉くもなんともないよね。

金持ちが偉いと思ってるなら、その人たち同士で総資産が判る装置でも着けて上下を競い合えばいい。

「総資産が…たったの1億か…ゴミめ。」とかね。


ダンジョンが大きくなろうとする理由については不明だが、大きくなろうとしているのはどうやら事実のようだ。

地下二階の壁があちこち凹んでいるのだ。

見た感じだと、その凹んでいる方に向かって拡がろうとしていたんじゃないかと思える。

その方向のひとつはというと、ここに来る時に見たもうひとつの建物が消えていた場所の方角のようだ。

本当にさっきの所と繋がろうとしていたのだろうか。

とりあえず、防衛設定を変更して「専守防衛」にしておいた。

他は攻撃的なものもあったし、これが一番無難だと思えたのだ。


さてと、検証を進めないとね。

さっき収納送りにした死体を取り出してみると、以前と同様に出した途端に死体は消えてしまった。


『敵性勢力眷属の素体を獲得しました。』


この場で得られた素体だからリスポーンするかもと思ったがそんなことはなかったようだ。

リスポーンするなら今はできないかもだけど、いつか怪物ではない元の姿に戻せるかもなんて思ったのは偽善だろうか。

リスポーンしないなら仕方ない。

全ての死体を取り出して駒になってもらうと、改めてこのダンジョンの中を確認する。


この空間にはここから更に下に行く階段はない。

元々、地上にあった時の取り壊し中の建物も二階だったことから、このダンジョンも地下二階止まりってことなのだろうか。

てっきり、ある程度は地上にあった建物の状態を保ちながら地下にダンジョンを形成していると思ったのだが、壁も何の仕切りもない打ち抜きの空間しかなくて今のところは階層数以外は面影もない。

一応、異次元収納の容量に関わるということなので手放すつもりもないが(逆にどうすれば手放すことができるのかという話もある)、こんな何もない空間だけ押し付けられてもなという気持ちもある。

それにしても上にあった建物は一体どこに行ってしまったのだろうか。

その痕跡がないかともう一度見て回ったのだが、何も発見することはできなかった。


仕方なく地上に戻ると、呆気に取られてしまうものがそこにはあった。

取り壊し中だったはずでボロボロだったはずのアパートがそれなりな状態でそこにあるんだもの。

おい、足場とかは何処に行った。

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