マナミ39歳 ミナコ39歳

結婚なんてしなければよかった。子供なんて産まなければよかった。私は、だれ?妻で嫁で母で。私はいつも誰かの何かで居なきゃならない。私は、私だったはずなのに。いつからか頭痛もおさまらない。

仲の良かった友達の中には、独身の人も居る。彼女たちのなんて幸せそうな事か。年齢が年齢なだけに、体に良いことをたくさんしている。ヨガにサウナに日光浴。月1の美容院に、休日のカフェ。うらやましい。自分のために生きたい。このまま消費されるだけの人生なんて嫌。朝からお弁当作り、洗濯に掃除。毛玉のついた下着をつけて。フリマアプリで400円だったジーンズを履いて。高校生の娘のお下がりのパーカーを着る。美容院にはもうずっと行ってない。こうやって、嫌だ嫌だといいながら、洗濯機のボタンを押す。



私、今まで何をしていたんだろう。同級生で仲の良かった友達の多くは、結婚をして、子供の居る人も多い。会うたびに友達の子供はどんどん大きくなる。大変よーと言いながら、旦那や子供の愚痴を言いながら、愛に溢れた毎日を過ごしているのが分かる。誰かのために作る料理、家族分の洗濯物が風に揺れる風景、いってらっしゃい、おかえりが当たり前にある日常。誰かに頼りにされる毎日。うらやましい。朝から人の波を縫って通勤、ヘトヘトになって暗い部屋に帰って、一人で夕飯の準備をしてテレビの前で無言で食事。たまのヨガにはどんどんついて行けなくなる。サウナも体力の消耗が激しい。白髪染めだけは怠らないようにしないと。それでも美容師との会話はそこそこ苦痛だ。

愛されて生きたい。ずっとそばに居てくれる誰かがほしい。そんな事を思いながら、また明日の目覚ましをかける。

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