第14話
夏の日差しと空気。
目覚める、心地よさ。
朝。
布団は惨憺たる有様。
失禁した水分と匂い。
土や草に汚れた布は
何かに切り裂かれた様相で。
ベッドも
切りつけたような傷が
幾つも見つかった。
助かった。
生きてた。
左手に握られた枝。
先端に
麻に似た繊維が巻き付いている。
見覚えのない
文様が刻まれていた
ベッドや布団同様、
切り裂かれ本来の形を
確認することは出来ない。
どんなに探しても
ビールの缶は
部屋の中になかった。
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