第9話




霧か雲か。

風の轟音と共に

流れる光景を見ながら

別の音が重なって聞こえる。



何かを引きずるような音。



原生林の中に

横たわる我が身。


靴は履いていない。


ベッドで寝転んだままの、

そのまま寝落ちた時の

恰好のまま

原生林に横たわっている。

宿にあった寝間着が

地面の湿気を吸って

じっとりとしているのが判る。



部屋の窓から見えた星空が広がる。

今、目に映る月ー

窓からは見えなかった

月の輝きが妙にえていた。




引きずるような音が

近づいて来る。


どんどん音が

迫ってくる。


この時の感覚は

どう伝えればいいんだろう。



夢とは思えない現実感の中。

どうしても

起き上がることが出来なかった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る