Part 2: 旋風の惑星
アストラルオデッセイ号が宇宙を切り裂いて航行していく様子は、まるで古代の帆船が荒波を越えるかのようだった。
しかし、ビクトールとその仲間たちは今、嵐の惑星ゼファーの引力に囚われ、その危機に直面している。
「砂が機械の隙間に入り込んでくる!」
ミコが悲鳴を上げた。
彼女はいつも通りの冷静さをわずかに失いながらも、パネルに頭を突っ込んで修理を続けていた。
「この風速だと、船体の保護シールドが持たないかもしれないな……」
ビクトールが計器を見つめながら呟くと、イライラが返答した。
「心配すんな、小僧。俺たちは強いんだ。この嵐ごときに負けるわけにはいかねえよ!」 セリアはほとんど喋らないが、彼女の目は常に情報を集め、分析をしていた。彼女の手がパネルのあるシンボルに触れた時、そのシンボルが光り始めた。それはまるで彼女の触れることで機能が活性化されるかのようだった。
ビクトールは操縦席から立ち上がり、ミコを持ち場から引き離した。
「ミコ、外装を強化するための特殊装備をもってこい。今がその時だ!」
ミコはにっこり笑って答えた。
「待ってました!」
彼女が取り出したのは彼女の自慢の改造キットであり、銀色の箱からは未来的な光沢をもって装置が出てきた。
「セリア、手伝ってくれるか?」
ビクトールが彼女を見た時、彼女は無言で頷いた。この危機的な状況にあって、その揺るぎのない動作一つ取っても、彼女が何千年もの時間を生きてきたかのような落ち着きを持っているのがわかった。
セリアとミコが装備を車両に取り付ける間、ビクトールは副船長の席に座り、イライラと共に船を制御する計画を練った。
「君の直感に頼ることになる。今までの経験が全てここで試されるぞ」
イライラはグローブをきつく握りしめながら、ビクトールに信頼を置くような視線を送った。
「ああ、任せろ、小僧。昔、海賊船を操っていた時の感覚が戻ってきたようだわい!」
嵐の中を航行している間、アストラルオデッセイ号は過酷な状況下でのその耐久性を試されることとなる。だが、仲間が互いに支え合い励まし合う様子は、この度重なる困難にも気落ちしない強い絆を彼らが持っていることをまさに示している。
「自動操縦システムからマニュアルに切り替えよう。吹き荒れる風に立ち向かうのは、まさに今だ!」
「気軽に言うな、小僧! 操縦するのはわしじゃぞい!」
「だからだよ、イライラ」
ビクトールは笑いながらイライラに向かってサムズアップした。
ビクトールが宣言した瞬間、ミコはすぐに対応を開始した。
船は激しく揺れたが、揺れを乗り越えるたびにアストラルオデッセイ号の強さが証明された。そして、その果敢な航海の中で、ビクトールの目はモニターに映る古代文明の遺跡をとらえた。
「あれだ! セリア、確かめてくれ!」
彼が指を差した先には、嵐の中心で珍しく静けさを保つエリアがあった。
セリアは一言も発せず、ただその遺跡をじっと見つめていた。
ここからは、彼女の目が物語る、語られざる歴史の知識が、今この瞬間にビクトールたちにとっての新たな足がかりとなる。そしてアストラルオデッセイ号は、嵐を乗り越えて、未知の秘宝へと再び舵を取ったのだった。
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