Part 3: 宇宙海賊の襲撃
ゼファーの惑星上空をアストラルオデッセイ号は再び平穏な星間航行を続けていた。
ほっとしたのも束の間、予期せぬ危機がビクトールたちに迫っていた。
警報システムが突如として激しくラームを鳴らし、ミコが慌ただしくスクリーンを確認する。
「なんだ、これは……! なにかが船の周りを取り囲んでいる……」
その識別信号からして、たちまち全員が理解した。
彼らを取り巻くのは恐るべき宇宙海賊たちだった。
イライラの眉間に深い皺が刻まれた。
「くそ、こいつらの気配は感じてはいたんだ」
ビクトールは堅い口調で命令を下した。
「防御システムを最大限に稼働させろ、ミコ。イライラ、これは君の領域だ。どう対処する?」
船長としての冷静さと戦略的思考が彼の声に滲み出る。
イライラは歯を食いしばりながら応じる。
「まかせろ、小僧! 船を隠れ星の影に置いて……ちょっとしたサプライズを用意してやろうか」
セリアは何かを察知したかのように静かに一歩前に出た。
「過去の因縁は、時に新しい道を開く。この試練は群れ星の理(ことわり)に則った流れかもしれない……」
イライラが鋭い視線を送る。
「セリア、お前はいつもそういう曖昧でうさんくさいことを言うな。フン、でもこれは俺たちが生き抜くための"流れ"だ」
船の外では、ピッチブラックの宇宙に紛れた海賊船が接近してくる。その中で最も威厳を放つ一隻が近づいてきた。驚くことにそれはイライラかつて乗っていた船であった。
海賊の大声が響く。
「おい、イライラ! さっさと出てこい! お前のきたねえ面を拝みに来てやったぞ!!」
その声は、無情にも宇宙空間に殺されつつ、船内のコムに無作法に侵入してきた。
イライラはコムに向かって静かに応じた。
「久しぶりだな、ラゼン。俺はお前らと袂をわかったことをまったく後悔はしていない! 何度も言っただろう、俺の新しいクルーはお前たちとは一線を画す」
ビクトールはその場にいた全員に向かって言った。
「イライラはもう海賊じゃない。彼はアストラルオデッセイ号の一員だ。さあ、海賊ども、どう出る?」
一方、ミコは自分の特技を活かしたいと船内を飛び回りながらトラップを作成していた。
「ふふん、このブラックホールボムで泡を吹かせてあげるわ!」
数秒後、ラゼンの声が再び響いた。
「わかったぜ、イライラ。じゃあ、お前たちの力を試してやろうじゃないか!」
宇宙海賊とアストラルオデッセイ号の緊迫したにらみ合いが始まると、セリアの静かな囁きが響く。
「星の流れは、すでに決まっている……」
かくして激しい宇宙戦が始まった。科学と機械の芸術であるミコのトラップが宇宙空間に設置され、イライラの巧みな操縦がアストラルオデッセイ号を修羅場を巧みに逃れさせる。
一方ビクトールは、その全てを見据え、冷静に次の一手を練る。彼らのまわりを飛び交うレーザーの光線と共に、新しい絆が確かなものとして形作られていた。
彼らの勝利は約束されていた。
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