第10話 謎の男VSシヴァ

『乾坤一擲』


「な、なんですか?この能力は…」


「まぁこれは結界みたいなものだ。この中では能力や魔法は発動できない。それは俺も然りだ。」


それに俺の能力がバレるとめんどくさそうだからな…ここは能力を封印しておくのが吉か


「ということは格闘戦ですか?この私と?」


「お前が誰だか知らないがそういうことだな」


「私も舐められたものですね〜」


そして謎の男が構える。なるほど、口が達者なだけあって結構やり手なようだ。


俺は一切構えない。どこからでもかかってこいと言う挑発だ


「ほんとに舐められたものですね!」


そう言って謎の男が地を蹴る


男が眼の前に迫ってくる…が


遅いな…


こうやって思考を巡らせることができるぐらいには遅い。


これが支配者インベーダー?そんなわけがない


「お前はほんとに支配者インベーダーか?」


「そう言ってるでしょう!」


そして男から左右の連打が繰り返される。


支配者インベーダーを舐めるな。こんなに遅い訳がないだろう?」


「減らない口ですね〜」


すると男の連打が一瞬変わった気がした…次本気の一撃が来るな


「見せてやろう。本当の"疾さ"というものを」


「早く沈んでくださいね!」


そして男は渾身の一撃を繰り出す


「っ!」


どうやら気づいたようだ


「あ、あなたは本当に何なんですか?」


その後も男は渾身の連撃を続けるが…俺には当たらない


「そこにいるのにそこにいない、当たっているのに当たらない…まるで森羅万象を相手にしているようだ…」


「わかるか?」


「そりゃぁ嫌でもわかりますよ…脳の意識されないところに入り込むような動き……一切脳が警戒しない動き…恐ろしいですね」


「ほぉ、支配者インベーダーを名乗るだけあってわかるんだな」


「それにあなた、妙な力を使いますね」


「…」


「その様子だとバレるとは思ってなかった、という感じですね」


「…そのとおりだ」


男が言う通り俺は魔力でも能力でもない力を使っている


俺が使っている力は『気』だ。


これならば自身で使っている『乾坤一擲けんこんいってき』で無効化されない、唯一の力だ。


気を練り上げることで防御や攻撃、身体強化に使うことができる。


魔力や能力を封じられたときに使える便利な力だ。ただこの世界では気が使えるのは俺だけだろう。なので『乾坤一擲けんこんいってき』と非常に相性がいいのでだいぶ愛用している。


「それにあなた、どれだけの戦闘経験を積んできたんですか?とてもこの年齢の戦闘歴とは思えない歴戦の猛者と相対しているようです」


「気の所為なんじゃないか?自分の臆病さがそういう妄想を招く」


「ふふふ、そうなのかもしれませんね、それよりあなたからはせめて来られないのですか?私が一方的に戦ってる形ですけど」


「遠慮はいらない。これが俺の限界だ」


「それはこっちのセリフですよ、だいぶ遠慮していませんか?」


「さぁ?買いかぶりですよ」


「謙遜はよろしいですよ」


「いえ、これが限界ですね」


お互い腹のさぐりあいをしながら殴り合いを続ける


その時…


「シヴァくん!」


どうやらガイズとアリスが到着したみたいだ


「結界に入るな、リールを見守ってあげろ」


そう2人に伝え男と戦い続けようとした、が


「流石に人が集まってくるとまずいですね〜」


「逃げるのか?」


「そうなりますね」


「逃がすと思っているのか?」


「捕まえられると思っているんですか?」


「簡単だ」


俺は『乾坤一擲』の結界を解いて


『天命 "帰"』


「流石に慣れましたよ」


男はそう言って


『飛翔飛燕 急急如律令』


「また会いましょう、楽しみにしていますよ」


「逃げられたか…」


飛んでいく男を俺は眺めるしか無い


「シヴァくん!大丈夫?」


「あぁ、大丈夫だ」


また会いましょう…か…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る