【3-21】成長馬車のお披露目回
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【7日目――――10連ガチャチケット】
色々と慌ただしかったベッチホストへの遠征、10連ガチャチケットを貰った事などすっかり忘れていた。
そんな俺はヴェラとラリーザ、そしてクロエと共にベッチホストから王都へと戻ってきた。
本当に色々あったが、色々と収穫もあった遠征だった。厄災に殺されかけたりダンジョンに驚いたりしたが、イネッサと出会えたしメダルも手に入れられたし、ついでにデートも出来た。
まぁ一番の収穫はやはり踏破メダル。俺は王都に戻って早々、商業ギルドへ向かい踏破メダルの売却を行った。
王都の方が売却額は高いんじゃね? なんて思ってベッチホストでは売らなかったのだが、そんな上手くはいかずに売却額はほぼ同じだった。
その額、280万ゴルド。手持ちの金も合わせれば300万を超えるため、ついに成長馬車を購入するだけの資金が集まった訳だ。
数十枚の白金貨を持って歩くのは不安だったので、即座にインベントリに入金を行う。手元から白金貨が消えた時は発狂しそうになったが、もう現金化はできない。
そんな俺は次の日の朝早くから、クロエを連れて王都の外へと飛び出した。
成長馬車は昨晩の内に購入済み、今日はついに馬車のお披露目だ。
「じゃあ行くぞ、インベントリから成長馬車を選択、具現化……!」
そう念じると即座に大きな馬車が現れた。それはとてもとても立派で……とてもカッコいい…………なんだこのみすぼらしい荷馬車は。
この荷馬車が三百万? ふざけんな、こんな小汚ねぇ荷馬車なんか百万でも買わねぇよ。
というかなんで新品なのに泥が付いてんだよ? 中古車か? いや中古車でも洗車くらいしてから売れや。
具現化した馬車は、人が乗る馬車というよりは荷物を運ぶといった感じの馬車だった。乗り降り口なんていうのはなく、屋根もない。
更に人が座れるとしたら精々四人程度で狭い。座席という感じではないし、扉や天幕すらもないから乗客は吹き曝しとなる。
バドスの馬車と比べると天と地ほどの差があるが、成長するって話だし……なにより俺の愛車となるのだ、文句はここまでにしようか。
「……クロエ、まずは洗車するぞ」
「畏まりました」
「流石に傷はないようだが……ったく、なんで泥だらけなんだよ」
「ヨルヤ、護衛も呼んだ方が捗るかと」
クロエに言われた通り護衛を一体召喚し、三人で馬車の洗車に取り掛かった。
まさか最初にする事が洗車になるとは思ってもいなかったが、自分の車だと思うと苦ではないのが不思議だ。
程なくして洗車は終わり、俺の馬車は一応見られる形となった。
さてお次は、この馬車の真価を見せるときである。
「じゃあ行くぞ……馬車改造!」
【具現化状態の馬車には使用できません】
「…………チッ」
成長馬車をインベントリ内に収納し、アイテム欄から成長馬車を選択。その中にあった馬車改造という項目を選択する。
するとクロエを作った時のキャラクリ画面に似たようなものが現れた。ここで成長馬車を改造していくらしい。
【成長馬車Lv1】
【成長馬車素材――――1020】
【耐久性】【防音性】【断熱性】【緩衝性】【―――】
【座席】【装備】【収納】【外観】【――】
【車両追加】【特殊車両】【――――】
【配置変更】【損傷修理】【完全洗浄】【――――】
沢山の項目が表示された。成長馬車にもレベルという概念があるらしいが、説明書きを読むとレベルに応じて性能のアップ、座席や装備の追加が可能になっていくっぽい。
まずは最初の項目。耐久性や防音性など、馬車の性能に関する項目のようだ。
成長馬車素材を使用して、耐久性などの数値を上げられる事を確認した。
性能なら速度や快適性とかもありそうだが、それらは俺の御者ギフトや従馬のギフトレベルが影響するのだろう。あくまで馬車自体の性能アップという事か。
「ここで一番重要なのは防音性ですね」
「あぁ確かに、寝る時に外の音が煩いと眠れないとか苦情が来そうだしな」
「いいえ。夜の大運動会を行うために防音性は必要です」
「へぇ意外、クロエなら聞かれてもいいとか言いそうなのに」
「ヨルヤはクロエの嬌声が他者に聞こえてもよいと?」
「……なるほどな、流石は一途設定」
気を取り直して次。座席や装備などといった項目を確認してみた。
こちらも成長馬車素材を使用して、座席数を増やしたり装備の追加や変更などが行えるようだ。
装備の中に乗り降り口や天幕、屋根などがあった。一先ずこられを優先して取得していった方がいいかもしれないな。
収納はまんま収納力のアップか。外観は凄いな、結構な成長馬車素材を使用するが、見た目を荷馬車から貴族馬車にアップグレードさせる事が出来るようだ。
「今のままでもオープンカーみたいでカッコいいです」
「オープン馬車……馬車って英語でなんて言うんだ? とりあえず、ダサいだろ」
あぜ道や泥道を走る事もあるのだ。整備されていない道を走るのにオープンカーは危険すぎる、やはり外壁や屋根は最優先だな。
そして次の項目。これらがまぁ凄かった。馬車がどういうものなのかという知識は乏しいが、これらを取得できれば目玉になる事は間違いない。
車両追加。文字通り車両を追加したり拡張したりできるようだ。車両を連結させた連結馬車、電車のような感じだろうか。
更には二階建てにした二階建て馬車など。技術的に可能なのか分からないが、そこはゲーム化ギフトの力でどうとでもなるのだろう。
特殊車両。これは想像が付かなかったが、見てみると理解はすぐにできた。
食堂車両に風呂車両、化粧車両とは……便所だな。そういった少し特殊な車両をここで追加できるようだ。
今は成長馬車素材が全然足りてないが、風呂とトイレは絶対に欲しい。
「ヨルヤ、ラブ車両はないのですか?」
「言いたい事は分かった。そんなのはない」
「では個室車両は?」
「それはあるけど! そういう事をするための車両ではない!」
「しかし個室車両を導入すれば、そういう事を行う男女も出てくるかと」
「ぐっ……そこは客の倫理観に訴えるしかない。そんな事をされた個室を清掃するとか、俺は嫌だからな」
だがその心配は次の項目で解消された。これらの項目だけ特殊で、これこそまさにゲームだといった感じの項目だった。
配置変更とは車両の配置の変更や座席位置の変更などが行える、馬車の着せ替えゲームみたいな感じだろうか。
損傷修理は文字通り、成長馬車素材を使用して損傷を修復できる。現実では壊れたものを即座に修復させるのは難しい。
そして完全洗浄。これらは馬車の外観や馬車内の汚れを全て洗ってくれる機能のようだ。客が客車を汚してもいちいち掃除する必要がない。
「くそ……俺達の洗車作業が無駄になったぞ」
「しかもクロエ達の洗車よりピカピカになります」
「というかそもそもなんで汚れていたんだよ……」
「中古車だからでしょう。この馬車、神の力を感じます」
「もしかしてこの馬車、神の世界を走っていたのか? じゃこれは神界の泥? なんか急に神々しく感じてきたな」
「いいえ、これはただの泥です」
意味が分からん。まぁ神の力が働いているのは間違いないが、まさか中古車とは思わなかった。
新品のつもりで通販サイトから購入したら中古が届いた。日本にいた俺からしたら考えられないが、いつだったか海外から購入した時にそんな事があったな。
なにはともあれ、これはもう俺の馬車だ。
これから成長馬車素材を集め、この馬車を立派に成長させていく。そして世界に類のない唯一の馬車となり、俺はその馬車を運転する御者となる。
「夢広がりんぐだな」
「はい。ではヨルヤ、プレイ車両から導入しましょう」
「ねぇよそんな車両! なにをプレイするってんだ!」
俺はそれから、所持している成長馬車素材で何が出来るのかを把握して、馬車を改造する。
馬車のレベルは走る事で上がってくれるようなので、これからは基本的に馬車に乗って移動することになりそうだ。
「ところで、なんか選択できない項目があるんだが……これはなんだ?」
【馬車魔改造ギフトを所持していません】
馬車……魔改造ギフト!? そんなのもあるのかよ!?
魔改造されるとどうなるんだ? 興味はあるが、まだまだ先の話だろうな。
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