【3-7】クエストクリアーに向けて
【☆初心者応援ログインボーナス☆】
【5日目――――500成長馬車素材】
いやまだ開放してねぇよ。運営的には5日目で成長馬車を解放出来ると言う判断なのか……? なんて事を思った日。
俺はヒロイン達のクエストを達成するべく、朝も早くから方々を駆け回っていた。
汗を掻き走り回る俺の隣には、涼しい顔をしたクロエの姿もある。
従馬を召喚したい所だったが、まぁ目立つんだよ。この痴女エルフ、馬に乗ると人々の視線をまぁ集めるんだよ。
そんなクロエにこの前、滞在可能時間を尋ねた所、基本的には一日という回答が返ってきた。
そこは護衛召喚と同じなのか……と思ったのだが、護衛召喚とは少し仕組みが違うらしい。
「クロエにGPを注ぎ込めば、召喚を維持する事が可能です」
「注ぎ込むって……タイムリミットまでに存在を維持するようにGPを注ぐって事か? 再召喚と何が違うんだよ?」
「再召喚の場合、GPの消費量は変わりませんが、召喚維持の場合は必要なGPが3分の1となります」
「なるほど、エコだな。それなら基本は召喚維持にしようか」
「はい、時間切れ前に注いでください。GP以外のものを注がれる事もお待ちしております」
「はいはい……ったく、どこになにを注ぐってんだか」
「クロエのアソコにヨルヤの――――」
「――――はい18禁はやめてねぇ!?」
とりあえず、基本的には召喚維持を行う事となった。
もうクロエは人間と変わらないし、王城に頼んで身分証を発行してもった方がいいかもしれん。
まぁそんな話は置いておいて、俺は色々な所を回ったんだ。
冒険ギルドや傭兵ギルドに所属しているエルフ族に手当たり次第に声を掛け、商業ギルドにエルフ酒の情報を聞きに行ったりしたのだが。
「みんな微妙な情報しか持ってねぇ……」
違和感があるほどに誰も彼もが微妙な情報しか持っていなかった。
作っている場所や人、それらを特定する情報は一切なし。金を払えばもっと詳細に教えると言った奴が何人かいたが、怪しかったのでスルーした。
商業ギルドなんかは担当者不在とか……本当だろうか? なんかゲーム化の力が働いてしまっているような気がしてならない。
「はぁ……まずはヴェラの方からやるか」
もし本当にゲーム化ギフトの力が働いているのだとしたら、無暗に動き回っても無意味である。
だから先にヴェラクエストを行う事にした。
ヴェラのクエストはダンジョン攻略。俺が行うべき事は、彼女がダンジョン踏破する事を手助けする事である。
戦闘力はヴェラとクロエだけで事足りるだろう。俺がやる事は物資運搬、その他彼女の身の回りの世話……という所か。
「物資……水、食料、野営セット、回復材、魔石……って感じか?」
魔石以外はインベントリ内のショップで準備しよう。値段は店売りより高いが、荷物を持って運ぶ事に比べたら遥かにマシだ。
あとは魔石か。なぜか魔石はショップでは売っていないので、手持ちの魔石を消費しよう。
「魔石変換となれば……魔術ギルドだな!」
俺は軽やかな足取りで魔術ギルドへと向かった。
なぜ軽やかだって? それはもちろんあの人に会えるからである。
――――
「では少々お待ちください」
「はい……」
老年の魔女に魔石を提出し、変換処理を行ってもらう事になった。
なぜ老年かだって? そりゃラリーザちゃんが、お昼休憩に入ってしまっていたからだ。
昼休憩にはまだ早いと思ったのだが……誰かがお昼時間にも受付に座らなければならないので、早めに取る人や遅めに取る人はいるか。
「ゴノウエ様、お待たせいたしました」
「えっ!? はやっ!」
「年季が違いますので。若い者にはまだまだ負けません」
「す、すげぇ……」
まさにお待ち時間は少々だった。魔石を提出し、暇つぶしに占いコーナーで聞き耳を立てて数分、受付の魔女から声が掛かった。
受付業務に変換業務。まさしくベテラン魔女、やはり魔女はこうでなくてはな。
ただまぁ受付は若者に譲った方がいいと思う、その方が人が来る。俺も最初、引き返そうかと思ったもん、どっからどう見ても魔女で怖かったから。
さて変換処理も済んだ事なので、昼飯を食べながら他の物資を購入しよう。
そう思いながら、良さげなカフェでもないかなぁ~なんて店を探していた時だった。
「――――あっ! ヨルヤく~ん!」
「……? おぉ、魔女だ、魔女が飯食ってる」
声を掛けてきたのは大きな魔女帽子を被った魔女、ラリーザ・イシルスだった。
オシャレっぽいカフェテリアで弁当箱を広げた美しい魔女が、俺に向かって手を振っていた。
俺はまるで花の蜜に誘われるミツバチの様に、緩んだ顔のままラリーザへと近づいて行った。
「こんにちは。あ~……もしかしてデート中だったかな?」
「デート? あぁいや、こいつは俺の護衛だよ」
「護衛さんなのか。綺麗な人だね~」
「ラリーザさんも綺麗だと思うけど?」
ニッコリ微笑んだラリーザに促され、俺とクロエはラリーザ座っているテーブルに腰かけた。
丁度いいのでここで俺も昼飯にしよう。メニュー表を眺めて食べたい物を選ぶ。
「(……あれ? そういやクロエ、お前って飯は食うのか?)」
「(食べる事はできますが、必要とはしません。食欲も睡眠欲もありません。あるのは性欲だけです)」
「(なんでその欲だけあるんだよ。ちなみにだが、食べた物は……どうなるんだ? ちゃんと出てくるのか?)」
「(もしかしてヨルヤにはそういう性癖が? 残念ですが、食べた物は完全に分解されますので、クロエからは出てきません)」
「(そうか……なら言っちゃなんだが、食べるだけ無駄なんだな)」
「(はい。栄養も何もかもクロエには摂取されません。申し訳ございません、クロエが出している所を見たかったのですよね)」
「(いやないから、そんな性癖。まぁでも、一緒に食べた方が楽しいよな)」
そうして俺は、自分とクロエの分の料理を注文する。クロエの好みは分からないが……まぁ肉より魚だろう。
注文し終わった所でラリーザに視線を戻す。俺からの視線を感じたラリーザは、再びニッコリを微笑んだ。
「色々とありがとう、ヨルヤくん。ずっとお礼を言いたかったんだぁ」
「お礼……? お礼されるような事、あったっけ?」
「ダヴィドの事。世界警察と上手く交渉してくれたんでしょ? ジャッジのコンラードって人から聞いたよ?」
「あぁその件か……っていうか接触があったんだな」
あの事件後、コンラードが単身でラリーザの元を訪れたという。
色々と尋問のような事はされたが、最終的にはダヴィドが関わっていた皇女誘拐未遂事件への関りはなしと判断され、そのように処理してくれるそうだ。
匿ってしまっていた事についてラリーザが尋ねると、とある男と約束をしたので不問とする……なんて世界警察の人間らしからぬ事を言ったので驚いたそうな。
「その男の人って、ヨルヤくんの事だよね? 君しか思いつかないもん」
「そっか。コンラードの奴、上手くやってくれたんだな」
やはり今度、正式にお礼に行かないとダメだな。世界警察という組織の中で、コンラードが行った事は完全に私的な判断なのだろう。
悪は悪、罪は罪、事実は事実。そんな雰囲気がバシバシする組織だからな。
「だから、ありがとう」
「い、いいよ、大した事、してねぇし……」
なんだその笑顔、やべぇ。人から微笑みを向けられて、ここまで狼狽える事になるとは思わなかった。
エカテリーナやヴェラで慣れていたつもりだったが、ここまで完璧な笑顔を向けられたのは初めてだ。
「そのお陰で、こうして堂々とお店に入る事ができるよ」
「ギルドの裏手で飯を食ってたのは、そういう理由だったのか?」
「まぁ……ね。この帽子があるとは言っても、やっぱりちょっと怖かったから」
「認識阻害の帽子だったか……でも今も被ってるじゃん」
「あはは、だって可愛くない? 実は結構気に入っているんだよね」
「まぁ確かに、よく似合ってるよ」
その後、料理が到着し俺達も昼食を取った。
ラリーザが興味深そうにクロエに話しかけるため、クロエに対応するようにと指示を出し、俺はその間にショップで物資の購入を行っていく。
その後、ある程度ショップでの購入を終えたが、二人の会話はまだ続いていた。
クロエはあれだがラリーザが楽しそうにしていたため割って入る事はせず、俺は自分のステータスやヒロインリストを確認して時間を潰していた、その時だった。
『隠しヒロイン解放の条件が達成されました』
【シークレットヒロイン――――ラリーザ・イシルス】
『ヒロインリストにラリーザ・イシルスが追加されました』
ラリーザが隠しヒロイン……? どこら辺が隠されていたのか分からないが、ラリーザがヒロイン化するための条件を満たしたのか?
ストーリークリアーした時の報酬にあった、ヒロイン化という報酬。あの時は追加するかしないかを選択できた。
ヒロイン化の条件が分からない。エカテリーナはクエストクリアーで、ヴェラなんかは出会った瞬間に、そして報酬でのヒロイン化。
更には解放条件不明の隠しヒロインだと? ゴチャゴチャだな、作りが甘いんじゃないのか遊戯神。
まぁいいか。ヒロイン化とはいうが結局のところ、異性と出会って相手の事をいいな……と思えばそれはヒロインでヒーローだろう。
つまり深くは考えまい。この出会いをくれた神様に感謝を。
「ごめんラリーザ、追加されちゃったわ」
「うん? よく分からないけど……いいよ?」
「一応聞くけど、彼氏とか旦那さんっている?」
「い、いないよ! なんなの急にぃ……」
【名前――――ラリーザ・イシルス】
【年齢――――24歳】
【職業――――テトラ級魔術師】
【好感度――――65】
【関係性――――友人】
【状態――――普通】
【一言――――彼氏いるか聞くって……そういうことなのかな?】
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