【1ー11】そろそろポイント管理が面倒になってきた
『チュートリアルクリアーを確認しました』
【クリアー報酬――――10ヒロインポイント(え)】
遊戯神とのチャットを終えると、チュートリアルクリアーの音声が聞こえてきた。
やはり本物らしい。ギフトを取得した時点でチュートリアルはクリアーしていたはずなのに、アナウンスが出たのは奴とのチャット後だ。
システムに介入、弄る事なんて朝飯前か。そんな事ができる奴なんてこのシステムを作った奴だけだろ。
【ヒロイン一覧、クエスト一覧を確認してみよう!】
【クリアー報酬――――10ショップポイント】
やはりあったかショップポイント。恐らくショップポイントとは、ショップで何かを購入する時に使うポイントなのだろう。
だけどヒロインポイントとはなんだろう? ポイントを使用すればヒロインの好感度を上げられるのか?
なんかそれって卑怯というか、作られた感情みたいで微妙だな。
俺はそんな事を思いながらヒロイン一覧を表示させた。
【ここではヒロインポイント(以後HEp)を使用して、ヒロインとのイベントを発生させる事が出来ます】
【捕捉:基本的にHEpはヒロインとの交流で獲得する事が出来ます】
【捕捉:1日に一度、ヒロインとの会話中に会話イベントが発生します】
なんて事が表示された。好感度上昇に使うポイントではなく、イベント発生に使うポイントのようだ。
あくまで好感度は自分で上げろという事か。まぁ会話の選択肢なんていうチート補助があるから自分だけの力ではない気もするが。
一先ずヒロインリストあるエカテリーナを選択してみた。
【名前――――エカテリーナ・リドル・ファルエンド】
【年齢――――19歳】
【職業――――第二王女】
【好感度――――30】
【関係性――――他人】
【状態――――普通】
【一言――――お酒の件、お願いします】
するとさっき見た気がする彼女のステータス? が表示された。
ステータスと言って良いのか分からないが、ともかくヒロインリストに追加された時に表示された情報から変化はないようだ。
そしてその表示の下にあるリストがイベント内容なのだろう。
【HEp――――10】
【エカテリーナと街でお買い物――――150HEp】
【エカテリーナと世界の珍酒――――240HEp】
【エカテリーナとお家デート――――320HEp】
【エカテリーナと温泉旅行――――550HEp】
【隠しイベント――――条件未達成】
【捕捉:HEpはヒロイン別で管理されています】
【捕捉:他のヒロインと合同イベントとなる場合、参加ヒロインからHEpを平等に消費します】
「お、温泉旅行!? あの美女と!? いやしかし550て高すぎでしょ!?」
というか他の項目も基本的に沢山のポイントが必要な様だ。これはもしかしたら彼女が王女である事も関係しているのかもしれない。
街でお買い物するイベントが150ポイント。確かに王女を連れて街で買い物というのは中々にハードルが高そうである。
「……まぁ、目下目標は温泉旅行だな」
そんな旅行にいつ行けるのか分からないが。だってまだ他人って思われてんだぜ?
そんな奴が温泉旅行にまで行くような関係性になれるまで、一体どれほどの時間と好感度を稼がなければならないのか。
「エカテリーナは攻略難なヒロインか……」
まぁ王女様だし、社長令嬢みたいなものだろ? そんな人と知り合いになれて、かつ仲良くなれるチャンスを与えてくれているのだから文句などありはしないけど。
「さて次は……」
続いてクエスト一覧も開いてみたが、こちらはなんて事はなかった。
現在発生しているクエストが表示されており、クリアー条件や報酬などを再確認できるだけのようだ。
ゲームのように、次はアレをしろコレをしろって表示されているのかとも思ったが、流石に行動までは強制されいていないようだ。
『チュートリアルクリアーを確認しました』
【クリアー報酬――――10ショップポイント】
【ショップ一覧を開いてみよう!】
【クリアー報酬――――なし】
さてお次はショップか。いよいよショップの次はガチャなので、あまり苦痛ではなくなっている自分がいた。
早々にショップのチュートリアルを終えようと思ったのだが、ショップ一覧を開いてみて思った。ショップは少々面倒くさいシステムになっているようだ。
【ここではショップポイント(以後SHp)を使用して、アイテムなどを購入する事が出来ます】
【注:現金をSHpに変換する事はできますが、SHpを現金に変換する事は出来ません】
つまり一度、現金をショップポイントにしてしまうと元には戻せなくなると。
さらにクエストでショップポイントを得たとしても、現金に変える事は出来ないという事か。
ショップポイントはゲーム化で生み出されているのものだから、それを現金化するというのは犯罪臭がするしな。
【補足:インベントリのアイテム欄に収納できるのは、ショップ内で購入したアイテムのみとなります】
【補足:ショップ内で購入したアイテムなどは、ショップ内でしか売却する事が出来ず、ショップ外で購入したアイテムはショップ内で売却する事が出来ません】
【例:システム内でアイテムを購入→インベントリに収納可・システム内での売却可・システム外での売却不可】
【例:システム外でアイテムを購入→インベントリに収納不可・システム内での売却不可、システム外での売却可】
……つまり、なんだ? え~と。
街の道具屋とかで買ったアイテムはインベントリに収納できないと。収納できないからショップで売る事も出来ないって事だよな。
インベントリって、マジックバッグや四次元バックとかそんな感じだと思っていたのだが、システム内でしか使えないのか。
マジッグバックがなくても収納し放題チートって思っていたのに、よく出来てやがる。
【激注:ショップで購入したアイテムって、一部は具現化させる事が出来るけどぉ、それを街の店に売ろうとかしたら……】
「な、なんだ? 激しく注意……? おいこれ、遊戯神だろ!? 売ろうとしたらなんだ? 何するつもりだ!?」
【冗談じょーだん! そもそも売れないようになっているから】
「ど、どういうシステムなんだ?」
【ショップから購入したアイテムの全てに僕の力が込められている、あとは分かるね?】
「いや、分からん」
【察しが悪い子だねぇ。単純に店で売ろうとしたらアイテムを消失させるよ、そのくらいは出来るさ。なんていたって僕はこの世界の神の一柱だからねぇ】
遊びの神でも、神は神だというのか。
神様がこの世界にどれほど介入しているのかは分からないが、人知を超えた存在なのは確かだし、やろうと思えば何でも出来るのかも。
そういや俺以外のギフト保持者もレベルとかいう概念があったな。剣士Lv1とか、あれは絶対に遊戯神が作ったんだろう。
娯楽を司ってるとか、その程度の神だと思っていたが意外にも深く関わっていそうだな、遊戯神。
そんな事を思いつつショップ一覧をババっと見てみた。なるほど、確かに色々と売っているようだ。
「……回復材とか、ここで買うのと店で買うのとどっちが安いんだろうか?」
武器防具、回復材、ここら辺は具現化が可能なアイテムなのだろう。なんか星マークが付いてるし。
街の店でも売っていそうな物だけど、ショップから購入すれば具現化しても街の店では売れないと。
やはり一番のメリットは、インベントリに収納できるという事だろうな。
例えば野営とかに使うのであろうテントとかが売っているが、これをショップで買えばインベントリに収納できて荷物がなくなる。街の店で買えば荷物になると。
「ギフトポイントやステータスポイントも売ってんぞ……」
逆にこれらポイントや、成長材なんていうチート素材は具現化できない物だな、バツのマークがついている。
しかし膨大な量だな、一通り見るだけで日が暮れそう。後でゆっくり見ようと俺はショップ一覧を閉じた。
さぁ次はいよいよお待ちかね、ガチャのチュートリアルである。
初回のガチャ結果は固定なのかもしれないが、それでもワクワクせずにはいられない。ガチャ演出にも注目だな、虹色になったら叫ぶかもしれん。
『チュートリアルクリアーを確認しました』
【クリアー報酬――――なし】
ショップのチュートリアルが終了した。残る項目はガチャのみである。
俺は次のチュートリアル表示を待った。ガチャ画面を開いてガチャガチャしてみよう! なんて表示をジッと待った。
【魔物と戦ってみよう!】
【クリアー報酬――――なし】
「…………はぁ!? 魔物!? ガチャは!? 魔物とかふざけッ――――」
――――その時、森の奥から気持ちの悪い声が聞こえてきた。
グギャギャっと笑っているような、怒っているような得体のしれない声に体が震えあがる。
声のした方に目を向ける。薄暗い森の奥からゆっくりと姿を現したのは、体が緑色をした小学生くらいの背丈の化け物だった。
髪の毛はなく、異様に発達した歯。手には木を粗削りして作ったこん棒のような物。ギョロギョロと動く目に知性は感じられない。
【バトルシステムを選んで、ゴブリン(緑)を倒そうっ!】
「ゴ、ゴブリン? あの有名なゴブリンか!? 倒そうとか、軽く言うなよ!?」
戦ってみようとか倒そうとか、こちとら人を殴った事すらないってのに。だいたい俺、武器とかなんも持ってないぞ!?
というかバトルシステムってなんだ? そんなん選んでいる暇なんてあんのかよ!?
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