【1ー10】リセマラには対応しておりません






「……こんなもんでいいのかな」



【LV――――12】

【HP――――⇦70】+38

【GP――――⇦50】+25

 

【STR――――⇦42】+27

【VIT――――⇦30】+18

【AGI――――⇦10】

【INT――――⇦12】

【LUK――――⇦10】+2



 110ポイントをとりあえず割り振ってみた。確定させるまでは数字を自由に変更できる所はゲームと同じようだ。


 HPは分かるがGPとはなんなのだろう? マジックポイントみたいなものだと考えてとりあえず増やしてみたのだが、合っているだろうか?


 ヘルプがほしい。細かい所が不親切なゲームだな。


 正直、残りの項目は適当だ。死ぬのは怖いからHPをたくさん上げて、後は馬を引くんだし、とりあえず力を上げときゃいいだろという考えでSTRを少し多めに増やした。


 あとは一桁数字が嫌だったのでLUKを少し。残ったポイントをVIT、AGI、INTの中から御者に必要そうなVITに注ぎ込んだ。


 というか、普通に特化型みたいになってしまったな。



「……まぁ、いいだろ。そもそも俺、戦闘に参加するつもりはないしな」


 御者だからね。冒険者になるとかならもっと真剣に考えるけど、御者だし。戦闘は護衛を雇うつもりだし。


 参加するとしても後衛だろうから、HPとVITを上げとけば生存率も上がるはず。


 そして俺はポイントの割り振りを完了させ、確定させた。



『チュートリアルクリアーを確認しました』


【クリアー報酬――――10ギフトポイント】



【ギフト画面を表示させてギフトレベルを上げてみよう!】

【クリアー報酬――――10ギフトポイント】



「はぁ……スキップして早くガチャ回してぇ」


 愚痴りつつもギフト画面を表示させる。一覧にあったのは二つのギフト。ゲーム化と御者だ。



【ここではギフトポイント(以後GIp)を使用して、ギフトLVアップ、ギフト取得が行えます】



【GIp――――75】


【ジョブギフト】

【御者・Lv1】


【スキルGIFT】

【なし】


【ユニークギフト】

【なし】


【オリジナルギフト】

【ゲーム化・LvMAX】



 ゲーム化ってレベルマックスだったのかよ。まぁ中途半端な状態でゲームをリリースしてませんよって事なのかな?


 中身がスッカスカの状態でリリースして、追加データで補完させるゲームはどうかなぁって思うし。


 ……という事は、御者のギフトレベルを上げるしかないのか? まだ御者じゃないのに? なんかそれって嫌だなぁ。


 しかしどうやらそれ以外の行動は許してくれなさそうだ。俺は仕方なく御者ギフトを選択して、ギフトレベルを上げるように念じる。



【GIp――――65】


【御者・Lv2】



 またまた”ティロリン”という音が脳内に響き、それと同時にレベルが上がったのを確認した。


 まだ御者じゃないのに御者レベルが上がってしまった。まぁ御者になれば生きるギフトなのだろうからいいけど、いつなれるかも未定なのに。


 というか馬車なんて一度も操縦した事ないのだが、こんな形でレベルが上がって大丈夫だろうか? 知識はあるけど経験がない、みたいな。


 いや知識もないんだけどさ。



『チュートリアルクリアーを確認しました』


【クリアー報酬――――10GIp】



【新しいギフトを取得してみよう!】

【クリアー報酬――――10ヒロインポイント(え)】



 新しいギフトを取得……なるほど、遊戯神が言っていたのはこの事か。


 本来この世界の人間は、二十歳を超えると新しいギフトを取得する事がほぼ無理になるらしい。


 しかし遊戯神は、ゲーム化のギフトがあれば二十歳を超えていても取得可能だと言っていた。


 神の恩恵をゲームシステム化して取得とは、なんか罰当たりな気がするけど。まぁ最近だとお賽銭もデジタル化しているらしいし、そんな感じなのかな?


 しかしまた別のポイントかよ、少し管理が面倒になってきたな。乱雑するポイントカードみたい。


 レベルにギフトにヒロイン、ガチャポイントってのもあったし、この様子だとショップポイントとかもありそう。


 てかなんだ? この(え)って。



【捕捉:スキルギフトを取得するには、該当のジョブギフトを取得している必要があります】

【捕捉:ユニークギフト及びオリジナルギフトを取得するには、特定の条件を満たす必要があります】



 要約すると、スキルギフトを取得するにはまずジョブギフトを取得しなきゃないと。


 今の俺の場合だと、御者のスキルギフトしか取得出来ないって事だよな。



「う~むどうしよう、鑑定とか定番だよなぁ。でも御者のギフトって何がある……ん? あれ?」



【カスタマーサポート――――10GIp】



「嘘だろ? これしか選択肢がないんだけど……なんだよカスタマーサポートって」


 強引に他のギフトに切り替えようと念じるも、“ブブッ”といったようなエラー音のような音がするだけで表示が切り変わらない。


 それどころか前の画面に戻る事も出来なくなった。このカスタマーサポートというギフトを取得するしかないらしい。



「くっ……無駄なギフトばかり増えていく」


 御者ギフトは無駄ではないのだが、今の時点では無意味なギフトである。更にはカスタマーサポートとかいう訳の分からないギフトを取得させられる始末。


 もっと現時点での実用的なギフトが欲しかったが、仕方なしにカスタマーサポートを取得した。



「……どう使うんだ? というか、ギフトって使用するものなのか?」


 ギフトは才能や才覚という話、それなら使用するという概念ではないだろう。まぁとりあえず確認してみるか。


 取得したギフトにカーソルをあてる。するとアイテムの時と同じような説明文が、外面下側に表示された。



【カスタマーサポート――――オリジナルギフト。サポートセンターに連絡を行う事ができる:消費GP0】



「サポートセンターに連絡……? この世界にサポートセンターがあるのか?」


 サポートセンターという言葉は元の世界ではたくさん聞いた言葉だが、こんなファンタジーな異世界にもサポートセンターがあるというのか?


 サポートセンターといえば、何かを問い合わせる時の窓口みたいな? ゲームでいうと運営への連絡窓口って感じかな?


 消費GPという事は使用するという概念なようだ。GPとはギフトを使用するためのポイントだったのか。



「(…………カスタマーサポート)」


 少し迷ったが、カスタマーサポートを使用してみる事に。次のチュートリアルは開始されないし、なぜかこのギフトから使用しろとの圧を感じる。


 しかし使用といってもな……とりあえず念じてみるか。


 サポートセンターを使用すると念じてみると、目の前にチャット画面のようなウィンドウが現れた。


 ユーザーネーム、件名、お問い合わせ内容……まんま運営へ連絡する時のメールフォームだった。


 どうやら念じれば文字が入力できるようだ。しかし問い合わせる事なんて何もない、まだチュートリアルだって終わってないのだから。



「なっまたかよ!? 消えないぞこのウィンドウ!」


 問い合わせる事なんて何もないので、ウィンドウを閉じようとしたら例のエラー音が出て閉じられない。


 問い合わせのチュートリアルとでもいのうだろうか? 運営への問い合わせなんてデータが吹っ飛んだ時くらいしかした事ないんだが。



「(……ヨルヤ・ゴノウエ。こんにちは。今後とも宜しくお願い致します)」


 とはいえ送信しなきゃ先に進めないしウィンドウも消えないのであれば従うしかない。内容は問い合わせではないけど、これでいいだろう。


 するとすぐに返信があった。目の前に運営からの返信であろう文字列が表示されたが、内容を見た俺は驚きを隠せなかった。



【こんにちは、ご連絡ありがとうございます。今後ヨルヤ様のサポートを担当させて頂きます、サポートセンターのユウギと申します】


「(ゆ、遊戯神か!?)」


【いいえ、遊戯神ではなくユウギです】


 いや絶対に遊戯神だろ、こんなふざけた事をする奴。そもそもゲーム化というギフトは遊戯神のギフトだし。


 絶対に遊んでやがる。そっちが運営を気取って俺の人生に介入すると言うのなら、精々役に立ってもらおうじゃないか。



「(ゲーム化ギフトについて教えてください)」


【様々な事をゲーム化できるオリジナルギフトです。人生ゲーム化、恋愛ゲーム化、バトルゲーム化など、ユーザーの皆様に楽しんで頂けるように開発されたギフトとなります】


「(このゲームはリセマラできますか?)」


【申し訳ございません。アカウントをガッチガチに紐づけておりますので対応しておりません】


「(何に紐づけてんですか?)」


【お答えできません】


「(今時そんなんある? ガチャ結果ではやる気なんて一気になくなんだけど? ならあれにしてよ、無限ガチャ。最初のガチャは何回も引き直し可能で、気に入った結果で確定させる事ができるやつ)」


【うっさいなぁ君クレーマーってやつ? そんなに知りたいなら教えたるよ。オメーの魂に紐付けてんだわ。リセットしてみるか? お? やってみっか? ガチャ引き直すために輪廻転生してみっか?】


「(…………)」


【ていうか普通リセマラ出来るかって運営に聞く? 自分で調べろよ。あんまりうるさいようなら君のガチャテーブルをドッカン設定にしちゃうぞぉ?】


「(申し訳ございません。今後とも宜しくお願い致します)」


【宜しくお願い致します。では何かございましたらサポートセンターまでご連絡ください。またシステムアップデートが入る際は事前にご連絡させて頂きます】


 くそ、運営に逆らっても良い事なんてない。垢BANされたらたまったもんじゃないしな。


 まぁ基本的にはあまり使う事はなさそうだ。バグを見つけた時とか、訳の分からないシステムについての質問をする時くらいか。



【現時点でお困りの事はありますか?】


「(いや別に……あぁそういえば、なんでスキルギフトだけGIFTって英字表記なの?)」


【申し訳ございません、こちらの不手際です。確認し修正を行いました】


「(不手際かッ! 詫び石よこせ! ガチャチケットよこせッ!)」


【乞食乙w表記ミスくらいで配るわけないでしょ~】


 言うに事欠いて乞食とは、なんて事をいう運営だ。これからミスを見つけたらネチネチと即座に報告してやろうと思う。


 重大なミスとか見つけた時は絶対に貰うからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る