最終話:一生冷めることのない愛。

その日、新しい会社に就職したお父さんから晩ご飯までには帰れそうに

ないからと連絡をもらったシャーベットは、お父さんの為に晩ご飯用の

愛情たっぷりのお弁当を作って会社まで届けた。


外食ばかりで手作り弁当なんか初めてだったお父さんは照れながら

嬉しそうにシャーベットが作った弁当を受け取った。


シャーベットは思った・・・ここまで来たんだし一度はミッチーの学校へ

行ってみようかなって。

たとえミッチーに会えなくても彼を感じることはできる。


長い距離を歩いてもロボットは疲れるということを知らない。

シャーベットが学校の校門まで来た時、ちょうど就業のチャイムが鳴った。


(ここで待っていれば未来ちゃんが出て来るかな・・・)


しばらく待つと、たくさんの生徒に混じって未知太郎が出てきた。


「ミッチー・・・」


シャーベットは未知太郎が気づくよう、大きく手を振った。


「あれ・・・シャーベト?・・・なに?僕を迎えにきてくれたの?」


すると未知太郎の友達連中がシャーベトを見て騒いだ。


「お〜超美人・・・未知太郎・・・この人誰?」

「おまえとどういう関係だよ・・・」


「この子僕の彼女・・・」


「ウソ〜まじで?・・・・ウソだろ・・・ウソだよね彼女」


「本当ですよ・・・私、シャーベットって言います、よろしくね、

ミッチーのお友達」


「未知太郎・・・おまえ・・・彼女ともうやったのか?」


「やったって・・・なに下世話なこと言ってんだよ・・・バ〜カ」


「未知太郎、こんな美人さんと一緒に生活してんのか?」

「めっちゃうらやましい・・・」


「彼女と、どこで知り合ったんだよ」


「ひ・み・つだよ・・・」


「ねえシャーベットさん、今度未知太郎の家にお邪魔してもいいですか?」


「いいですよ、いつでも大歓迎」


「おいおい、僕の許可もなく・・・」


「やった〜楽しみが一個増えたよ〜」


「ほんと未知太郎まじでこんな綺麗な人とどうやって知り合ったんだよ?

言えよ」


「ある日、空から舞い降りてきたんだよ・・・天使みたいに・・・」


「なんだよそれ・・・」


「じゃ〜僕はシャーベトと帰るから・・・みんなここでな・・・バイ」


「未知太郎うらやましいよな・・・彼女のお迎えなんてさ・・・」


未知太郎は友達から散々うらやましがられた。


「シャーベットさん・・・また会いましょうね」


「はいっ、またお会いましょうね」

「バイバイ・・・」


「バイ・・・」

「バイバイ、未知太郎・・・」


「じゃ〜な」


未知太郎の友達連中は手を振りながら賑やかに帰って行った。


「さ、私たちも帰ろミッチー」


「だけど、チョー優越感・・・」


「なにが?」


「シャーベットといると優越感に浸れるって言ってるんだよ・・・」


「そうなの?」

「そうだよ、自分で気づかない・・・注目されてるって」


「分かんない・・・」

「まあ、いいやシャーベットが、あざとい女じゃなくてよかった」

「あざといって?、なに?」

「そうだね・・・たとえば計算高い、ずる賢い、小悪魔的・・・そう言うの」


「あ〜私にだってそいう言うとこあるよ」


「もしあっても表に出さないだろ?」

「シャーベットは小悪魔ってイメージじゃなくて僕の中では天使だな」


「僕、あいつらには君が天から舞い降りて来たって言ったけど、

あの核ミサイルを破壊して帰ってきたシャーベットを見てまじ思ったんだ・・・」

「ああ、君は天使だって・・・」


「だからね・・・君は僕にとって天使のシャーベット」


「あの・・・ミッチーは私がロボットでもいいって言ってくれたよね」


「うん、君が誰でもそんなこと関係ないからね・・・」


「じゃ〜改めて私の愛はミッチーの中でまだちゃんと生きてる?」

「もちろん・・・」


「よかった・・・」


「愛してるよシャーベット、日本いち、世界いち、銀河いち、アンドロメダ

いち・・・ブラックホールの行き先まで、ビッグバンが始まる前まで遡って」


「あの・・・どこまで広がって行くの?」


「広すぎるよ・・・ミッチーの心の中だけで充分」

「でも、嬉しい・・・私何があってもミッチーを愛し続ける・・・」


「じゃ〜俺もシャーベットを愛し続けるから」


そう言って未知太郎はシャーベットをハグしに行った。

未知太郎はしっかり彼女を抱きしめた。


「うん・・・君に守られてるってより僕が守ってるって感じがいい」


ハグをしたら次はキスに決まっている・・・そういう流れだよね。

未知太郎はシャーベットに顔を近づけてクチビルにキスした。

アイドの柔らかくて暖かな唇・・・。


(シャーベットってロボットなのに暖かいんだ)


「あったかい・・・」


「あ〜もしかしてロボットって思ってる?」


「思ってない・・・冷たいなんて思ってないよ」


「思ってるんじゃん」


「あのねミッチーに対する愛情で私の回路がヒートアップしてるんだよ、

きっと・・・」


「ああ・・・そうなんだ、じゃ〜一生冷めることなさそうだね・・・」


「そうだね、一生冷めることのない愛だね」


END.


読んでくださってありがとうございました。

ハッピーエンドで終われてよかったです。


おこがましいですが武器として作られたシャーベトを通して人間では

ないロボットとしての彼女の苦悩と愛そして平和の大切さを書いて

みたかったのです。

皆さんにも未知太郎とシャーベットのように愛溢れるいっぱいの幸せに

満たされることを願ってます。( ´ ▽ ` )ノ


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ゼンマイ仕掛けのマリオネット。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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