第17話:親愛なるシャーベット様。

それからしばらくの間は何事もおこらなかったが、ある日の午後、此先家に

花束が届いた。


お父さん花束を受け取ったが、宛名はシャーベットになっていた。


「誰からだ?」

「菊の花束なんて、お葬式じゃあるまいし、キミが悪いじゃないか?」

「なんかカードが挟んであるぞ」


そのカードを開くと何かメッセージらしきものが書いてあった。


そこに何かと思って台所から顔を出したシャーベット。


「なんですか?お父さん?」


「うん、シャーベット宛に花束が届いてる」

「なんかメッセージカードも入ってるよ」


そのカードの内容は・・・


「親愛なるシャーベット様」

「私は先日、お邪魔したバッドピープルの代表ジェームス・詐欺沼です」

「その際、あまり良いお返事をいただけなかったので我々も不本意ではありますが、

お宅の未知太郎君って息子さん誘拐させていただきました」


「もし、彼を返して欲しかったら港の第3倉庫まで、おひとりでお越し願いたい

と存じます」

「もし、本日のPM5時までにお越し願えない場合は、人質の命は保証いたし

かねますのでそのつもりで」

「あと、警察に届けても、人質の命はないものと思っていただれば・・・」

「では、よろしくお願いします」

「バッド・ピープル、カッコいいジェームス・詐欺沼より」


「どうやら未知太郎は人質に取られたみたいだな」


「人質って・・・?」


「ミッチーは学校へ行ってるはずじゃ?」


「そうだよね」


お父さんはそう言って未知太郎のスマホに連絡を入れてみた。

だが留守電になっていて未知太郎は出なかった。


「出ないな・・・」


「じゃあ、やっぱり誘拐されたんでしょうか?・・・」

「今、4時ですよね・・・指定された時間まで、まだ一時間があります」

「お父さんさん心配しないで、ミッチーとは絶対私が助けますから・・・」


「警察には知らせないほうがいいね」

「もし警察が動いたら余計めんどうなことになっちゃうからね・・・」

「これが公になっても未知太郎の命は危険にさらされるから誰にも言わない

ようにしておこう」


「もしミッチーほんとに誘拐されたのなら私が絶対、彼を救い出す」

「私の命に代えて・・・」


「私は大丈夫だから・・・未知太郎を頼む」


「任せてください」


「汚い連中だな・・・」


「私のせいです・・・私、ミッチーにもお父さんにも迷惑かけちゃって・・・」


「そんなことないって・・・悪いのはあの詐欺沼ってやつのほうだよ、シャーベット

はなにも悪くないんだから、気にしないでいいから」


「ありがとう、お父さん」

「ミッチー無事ならいいけど・・・」


「大丈夫だよ、相手も自分たちの目的を果たすまでは未知太郎には手を出さない

だろうから」


「こんな卑怯なことは許すわけにはいかない・・・ゴミは一掃してゴミ箱に

放り込んであげないと・・・」


「じゃあ、私ちょちょっと行ってミッチーを救い出してきますね」

「帰って来たらきっとお腹空いてるだろうから何か美味しいものでも作って

あげなきゃ」


「頼むねチャーベット」


「じゃ〜行って来ます、お父さん」


そう言ってシャーベットは玄関を出ると遠足にでもいくみたいにシュッ空を飛んで

港の第3倉庫に向かって行った。


とぅ〜び〜こんて乳。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る