第14話 力試し
なんとか無事? ハプニングも切り抜けた四人。
時間丁度にブレジナも校庭へとやって来て、午後の授業が始まる。
「ふむ、揃っているようだな。では午前中に諸君がのたまった恥ずかしい目標のためにも、自身の適正を早い内に見極め、得物や戦闘のスタイルを確立して貰いたい。まずは……そうだな、そこに並んだ好きな得物を取るといい。もちろん自身で愛用する武器があるのならばそれでも構わん」
聞かれてもいないのに、リックスが宣言した。
「俺はやっぱ剣だな! 戦場の花形だろ! ガキの頃からチャンバラで鍛えてきたから、自信はあるぜ! まあ俺は成り上がれれば武器も魔法もなんでもやるつもりだけどな! ってことでこの大剣を借りるぜ!」
これにルーベンスが対抗心をあらわにする。
「美しき水の魔法と槍技を極め、我がシュヴァイツァー家に伝わるハルバートの使い手としてふさわしい騎士になりたいです!」
マルクトーも続いた。
「じゃあ僕はパパに買って貰ったこのお高い弓で、遠くの方から……」
そしてタリアも。
「私はスーパードラゴンフェニックスダークネスシャイニーナイトマジシャンを目指してるからこの杖で戦うよっ!」
「タリアは足し算しかできないのか?」
思わずそう突っ込むと、ライナライアが激怒する。
「貴様無礼だぞ!? たとえ思っていても言ってはいけないことがあるだろう!? そんなこともわからないのか!?」
これを聞いていたタリアが、氷のように冷たい視線をライナライアへ向けながら淡々とした口調で言った。
「へーララちゃんもそう思ってたんだね?」
面白いくらいにあたふたとするライナライアがなぜかこちらに責任転嫁する。
「――あっと、違って……ハルノ! 貴様謀ったな!?」
「何がだ?」
「おのれこの後に及んでしらを切る気か!? 卑怯だぞ!?」
「俺の知っている卑怯とライナライアの言っている卑怯は同じものではないようだな」
「無駄口はそこまでだ。この学園へ入学できたからには諸君もそれなりの実力を有しているかと思う。それを私にも示して貰おう。回復魔法でどうにかなる程度のダメージならば許容する……さあ、今一番近くにいる者と刃を交えたまえ!」
「えっ」
戸惑う生徒達。
だが有無を言わさず、無慈悲にも合図は出された。
「始めッ!」
ルーベンスはマルクトー。
タリアはライナライア。
リックスはたまたま近くに居た者と手合わせし、相手に怪我を負わせることなくねじ伏せ圧勝。
その確かな実力を存分に披露する。
だがほとんどの生徒は顔見知りと対戦することになったため、早々に決着することはほぼなく、睨み合いのまま動かないか、戦闘開始後も膠着状態が続いている者ばかりであった。
俺もその睨み合い組の一人。
そしてその相手は――。
「……まさか、ここでもお前とやり合うことになるとはな」
「私の胸を借りるつもりでお挑み下さいませ。それがお嫌でしたら、どうぞ本気を出されてみては?」
「ほざけっ!」
そう、アリネだった。
なんだかんだ形だけ刃を交え、大した怪我もなく続々対戦を終えていく生徒達。
その多くが観戦に回る中、唯一俺達だけが高い緊張感を保ったまま間合いの取り合いを続けている。
ライナライアとタリアもまだ戦いの最中であるというのに、こちらが気になって仕方がない様子だ。
「そんなに熱のこもった目で見つめ続けられては、私も恥ずかしくなってしまいます。お気持ちに答えるべきでしょうか?」
「減らず口を!」
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