第6話新しい生活

「ほら、有人あると、お弁当忘れてるわよ」

 玄関で靴を履く、有人に美也子はお弁当を手渡す。


「いつもありがとう、母さん」

 有人はそれを笑顔で受けとる。お弁当をかばんにつめる。


「母さんも仕事頑張ってね」

 そう言い、有人は家を出た。


 異世界から帰ってきて、三年がたつ。有人は高校生となり、今年の春には卒業する。美也子と二人で暮らしている。日に日に成長していく有人に感慨深い気持ちに美也子はなっていた。



 登校し、同級生のオタク友だちと深夜アニメの話をしていると担任が教室に入ってきた。

 一人の女生徒を連れている。

 どうやら、転校生のようだ。

 三学期初めに転校生とはどういうことだろうか?

 クラス全員がざわつく。

 ガラガラと扉をあけた、一人の女子高生が教室に入ってきた。

 その転校生は息をのむような美少女だった。クラスの全員が我を忘れて、その女生徒を見ている。


「ミリア・アンネ・ファーリアです」

 その声は鈴をならしたような美しさであった。

 耳に心地よい声はこのことだ。


 その転校生はそう名乗るとくるくる巻き髪の金髪をゆらし、有人の前に立つ。


「ミリア、大きくなったな」

 ミリアの胸を見て、有人は言った。ミリアの胸はメロンのように成長していた。

ご自慢の胸の前でミリアは腕を組む。


「見つけましたわよ、お兄様」

 満面の笑みでミリアは言った。

「アルトお兄様、認識阻害までして隠れるとはいかがなものでしょうか。わたくし、かなり苦労いたしましたのよ」

 ミリアはそう付け足した。


 クラス全員が有人とミリアという金髪巨乳の美少女のやりとりを注目して見ている。

「ミリア、おまえは目立って仕方がない。くわしい話は放課後にしてくれないか」

 有人はミリアに頼む。

「わかりましたわ。つもる話もありますが、待ちますわ」

 はーとため息混じりに言い、ミリアは用意された自分の席についた。

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