お代わり 大好き

それから、すぐに救急隊が到着し…


「意識なし!担架持ってきてくれ!」


レドは担架に乗せられ、救急車の中に。

事情説明のため、サヤも乗り込む。


「何があったのですか?」


「多分、いきなり襲われたんです。この前、ある事件を起こした連中に目の敵にされていて…」


「倒れていた方々ですね。警察に言っておきます。別の救急車に乗せますので、安心してください。」


受け入れ先が見つかった様で、救急車は出発した…



レドはあばらの骨を骨折していたが、命に別状はなく、目を覚ましたら退院ということに。


あれから三時間後…


「う…ん…?」


レドは病室で目を覚ました。


「レドさん、目を覚ましましたか!本当によかったです…」


「病院か…?」


「はい…あばらの骨が折れてたみたいで…」


目を覚ましたことに、サヤはホッとしている。

その顔を見て…


「…本当にすまない…サヤ…!」


レドは泣き出してしまった。これにはサヤも困惑。


「ちょっ…レドさん、どうしたんですか!?」


「だって…痣が…」


サヤの頬には、痛々しい殴られた痕が残っていた。

少し腫れていて、真っ青になっている。


「これですか?全然気にしないでください。見た目ほど痛くないんですよ!」


「愛する人も守れない…いつまでも弱い男なんだ…」


「レドさん、顔を上げて…」


そう嘆くレドの手を握り…


「次、そういうこと言ったら…退院までお預けですよ?」


そう言った後、キスをした。

レドはサヤの首に触れ、それを受け入れる。


「…ん…レドさん、それでもいいんですか?」


「駄目だ…耐えられないよ…」


サヤの胸元に、顔を埋める。


「ふふ…素直ですね。意外と甘えん坊だったり?」


レドの頭を撫でて、ぎゅっと抱きしめる。

そして、レドは決意した。サヤから離れ、瞳を見つめる。


「サヤ…言いたいことがある。」


「何ですか~?」


「信じられないと思うけど…俺、レベッカ・ドレイクなんだ。」


数秒後、サヤは目をまん丸くして、フリーズした。

愛する人が自分の大好きな小説家だったなんて…という表情。


「''レ''ベッカ・''ド''レイク…頭文字がレド!?」


「安直だよな。バレるかと思ったんだが…」


「普通は気づかないです!!それに、大好きな小説家さんなんですから!」


サヤがぷんぷんしているのをよそに、微笑むレド。

そしてもう一つ、心に決めていたことがあった…


「サヤ、結婚しよう。」


「けけけ結婚!?」


サヤは大混乱している。


「至って真面目だ。君と、永遠に添い遂げたい…」


今度は、レドから手を握り尋ねる。


「駄目かい…?」


「そんなこと…ないですけど!」


必死に目を反らすサヤの頬に手を当てて、目を合わさせる。


「付き合い始めて、日が浅いのはわかってる。それでも…愛してるんだ。」


この言葉を受け、サヤも言い返した。


「私だって、愛してます!今すぐ結婚したいぐらい…」


「え?それって…OKってことか?」


そう尋ねると、サヤはきょとんとした顔をして…


「NOなわけないですよ?だって、大好きなんですから!」


レドに抱きついて、笑顔でそう言った…



…………あれから二年後…


「レドさん、新作はできましたか?」


「ああ、できあがった。編集者に読んでもらう前段階だから、改稿は必要だが…いつも通り、お願いするよ。」


「はい、私が読みますね!」


二人は結婚し、二人三脚で小説を書いている。


レドは小説家に専業。

サヤはカフェの従業員として働きつつ、レドの小説を読んで読者目線の意見を提案する役目。


そして、幸せに暮らしている…

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たらしなあの子の恋愛事情 月島ノン @tukisimanon

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