二十五杯目 激闘

「レドさん…どこに行っちゃったのかな…」


サヤが、レドを探しに来てしまったのだ。


(ここら辺は人通りが少ない…サヤ、来ないでくれ…!)


「…この前の女じゃね?」


声の主がサヤだと気づかれてしまった。

すると、五人組は狙いを変え…


「ラッキー!じゃ、お前用済みだから大人しくしといてや。」


「彼女に手を出…」


「うるせぇんだよ!!」


リーダーの男が、レドの顔を蹴りあげる。


その衝撃でレドは脳震盪を起こし、意識を失った…


「レドさーん!どこに…」


レドを探すサヤに近づいて…


「よぉ、この前のくそ女…!」


「!?」


手首を塀に押し付けた。


「痛…!」


強打した痛みに、サヤは顔を歪ませる。


「この前の借りを返しに来たぜ?」


「何で…離してください!!」


「そう言われて離す奴がいると思うか?」


グリッ…


サヤの手首を捻った。


「あぁぁ!?」


「どうだ、痛いだろ…」


「く…私は絶対、あなたたちに屈しません!」


痛みを堪えて、抵抗していると…


「その手を…離せ…!」


「!! レドさん!」


レドがふらふらと歩いてきた。

それを五人組は嘲笑う。すると…


「レドさんを馬鹿にしないでください!」


サヤが思い切り頭突きをくらわした。


「このくそ女!」


一人が、サヤの頬を殴りつける。


そして、レドの怒りは再び頂点に達した。


「俺の女に触るな!!」


サヤを殴った男に、全力でキックをかます。

頭痛、目眩、体が限界を訴えている。


だが、そんなこと気にしなかった。


愛する人を守るために。


押さえつけていた男も手を離し、レドに殴りかかった。


腕で衝撃を受け流し、腹に蹴り。

続いて、この前足をへし折った男にとどめ。


「手は使えなくても、足があるんだよ!」


そう言い、手の骨を折った男は、蹴りをいれてきた。レドは避けられず、横っ腹に受ける。


「まずは一発…だ?」


「えいっ!!」


サヤが男の急所を蹴りあげた。

男は倒れる。


「サヤ…すまない…!」


レドは立ち上がり、残り二人に標的を切り替えた。


「相手は満身創痍だ!いけるに決まってる!」


二人で一気に間合いを詰めてきたが…


その拳は空を斬り、レドのアッパーが二人の顎に炸裂。


そのまま倒れてしまった。


「レドさん!」


「サヤ…」


駆け寄るサヤに倒れ込んだ。

意識がもうろうとする。


「どこが痛いですか!?ああ、救急車呼ばないと!」


「サヤ…すまなかった…」


「謝らないでください…今呼びます…!」


119に電話をして、助けを求めた。

五分ほどで来てくれるそうで、サヤは必死に声をかけ続ける。


「大丈夫ですよ。私が居ますから…」


「ふふ…君のキック、強烈だったな…」


「私だって、やるときはやります!大事な人を守るためなら…」


少し自慢気に言うサヤを見て、レドは微笑んだ。


「ふふ…ありが…とう…」


そして、レドは気を失った…

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