【中間選考突破!!】異世界が嫌いな俺が異世界をブチ壊す ~ジョブもスキルもありませんが、最強の妖怪たちが憑いているので全く問題ありません~
第十七話 【処刑サイド:ゾイサイト聖教国聖教皇】女教皇、神託を利用し悪事を企む
第十七話 【処刑サイド:ゾイサイト聖教国聖教皇】女教皇、神託を利用し悪事を企む
「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈と、主人公率いる「アウトサイダーズ」が元「弓聖」たち一行を討伐するため、サーファイ連邦国からゾイサイト聖教国へ向けて出発し、そして、光の女神リリアからほとんど役に立たない神託を授かった日のこと。
ゾイサイト聖教国の首都にある、壁や柱などが白一色の、外見がバチカン宮殿によく似た、巨大な白い宮殿に、光の女神リリアを崇拝、信仰するリリア聖教会の本部が入っていた。
そして、宮殿の謁見の間にある玉座に、一人の女性が両目を閉じて、静かに座っていた。
身長170cmほどで、艶のある藍色のロングストレートヘアーに、藍色の瞳、白い肌の持ち主である。Fカップはある胸を持ち、抜群のプロポーションを服の下に隠している。
頭には、黄金ででき、七色の宝石が装飾として散りばめられた、金色の教皇冠を被っている。
白い生地に、藍色の十字架の模様が三つ施されたパリウムを、肩や首に巻いて身に着けている。
藍色のマントを羽織り、下に白いキャソックス、白い法衣を着ている。
左手には、金色の十字架状の装飾が施された、金色の権杖を持っている。
足にはヒールの高い、白い靴を履いている。
一見、20代前半にも見える、玉座に座るその女性の名前は、カテリーナ・イーディス・ゾイサイト。年齢は39歳。美魔女とも言える美しさと、どこか荘厳な雰囲気を醸し出している。
ゾイサイト聖教国を治める国家元首であり、リリア聖教会の頂点に君臨する聖教皇でもある。
さらに、光の女神リリアから神託を授かることができる、もう一人の「巫女」でもある。
「聖女王」というあだ名で世間からは呼ばれ、世界中のリリア聖教の信者たちを束ね、女神リリアの使徒を自負する人物でもある。
光の女神リリアの狂信的信者であり、リリアの「巫女」である彼女の頭の中に、突如、光の女神リリアから神託が下りた。
『我が巫女にしてゾイサイト聖教国の聖教皇カテリーナよ、私は光の女神リリア。あなたに神託を授けるため、声をかけました。よく私の話を聞きなさい。』
崇拝する光の女神リリアから神託が下りたことへの喜びに打ち震え、両目を見開き、歓喜しながら、カテリーナは返事をした。
「はい、リリア様!いつも
『今回、あなたに新たな神託を授けます。今、世界は暴走を始めた元勇者たちによって破滅の危機を迎えております。そして、元勇者たちによって、世界に大いなる災いがもたらせようとしています。元「弓聖」とその仲間たちが、かつて私や過去の勇者たちを裏切り、反逆し、世界中の人間たちを滅ぼそうとした悪しき存在、堕天使と呼ばれる存在の封印を解き、堕天使たちを地上に復活させました。さらに、元「弓聖」たちは堕天使たちと融合し、人類を滅ぼすべく、あなたの治めるゾイサイト聖教国にて暗躍し、行動を起こそうとしています。堕天使たちと結託した元「弓聖」たち一行を倒し、復活した堕天使たちを封印できるのは、この私が選んだ真の勇者である「黒の勇者」、ただ一人だけです。現在、「黒の勇者」が元「弓聖」たち一行を討伐するため、そちらに向かっています。「黒の勇者」と協力して、ともに元「弓聖」たち一行を討伐する使命を授けます。あなたが率いるゾイサイト聖教国の聖騎士団にも協力させ、必ず元「弓聖」たち一行を討伐するのです。もう一人の「巫女」であるインゴット王国の王女、マリアンヌも「黒の勇者」に同行し、元勇者たちの討伐に参加しています。マリアンヌとも連携し、討伐に当たりなさい。元「弓聖」たち一行を討伐できねば、人類も世界も滅びることになりかねません。世界の平和を守るため、「黒の勇者」に全面的に協力するよう、あなたとゾイサイト聖教国の国民たち、そして、私の全信者たちに命じます。人類で一致団結して、悪しき元勇者たちと堕天使たちを討伐するのです。分かりましたね、我が巫女、カテリーナ?』
「かしこまりました、リリア様。「黒の勇者」様と協力し、元「弓聖」たち一行を必ず討伐して御覧に入れます。我がゾイサイト聖教国が誇る聖騎士団を総動員し、元「弓聖」たち一行の討伐に当たらせます。我が国の最強の聖騎士たち、「白光聖騎士団」も討伐に派遣いたします。リリア様からお声がかかる時に備え、最高にして最強の戦力を用意してお待ちしておりました。「黒の勇者」様へのサポートは万事、私どもにお任せください。それから、僭越ながら、私よりリリア様にお願い、ご提案したいことがございます。」
『この私に提案したいこととは、一体、何ですか、カテリーナ?』
「今回、無事、「黒の勇者」様とともに元「弓聖」たち一行の討伐に成功した暁には、インゴット王家から今後、私と同じ「巫女」のジョブとスキルを持つ者が生まれないよう、リリア様にお願い申し上げます。この度、インゴッド王家並びにインゴット王国は、リリア様から神託を授かり、勇者たちをお預かりしながら、勇者たちを独占し、勇者たちの教育と管理に失敗した挙句、勇者たちが犯罪者となり、世界中で混乱を招く数々の大失態を犯しました。おまけに、インゴット王国王女で「巫女」であるマリアンヌ王女は、真の勇者である「黒の勇者」様にあらぬ疑いをかけ、元勇者たちに命じ、「黒の勇者」様を処刑しようとする愚行を犯しました。付け加えて、インゴット王国は現在、財政破綻寸前な上、国内では一部、内乱まで起こり、崩壊寸前とも言える最悪の状態です。インゴット王国に「黒の勇者」様や、今後、新たに派遣される未来の勇者たちを支える力はないと思われます。リリア様の長年の悲願であり、私たち人類の目標でもある、魔族殲滅を達成するためには、インゴット王家より勇者に関連する権限や力を剥奪する必要があると、私たちゾイサイト聖教国政府、リリア聖教会の首脳陣たちは考えました。ゾイサイト家の「巫女」は、決してリリア様の御意思や神託を蔑ろにし、勇者たちを暴走させるような杜撰な教育と管理は決して行いません。ゾイサイト聖教国は常に勇者様たちとリリア様をお支えできる用意ができております。インゴット王家とインゴット王国には長きに渡って、友好関係を結び、共に魔族殲滅のため、世界の平和のため、リリア様のために働いてまいりましたが、最早、彼らに、リリア様の御意思を遂行できる能力は完全に失くなったと思われます。何卒、インゴット王家からの「巫女」の誕生が起らぬよう、ご処置をお願いいたします。」
『あなたやゾイサイト聖教国首脳陣たちの考えは理解しました。あなたたちの主張にも一理あります。では、「黒の勇者」とともに無事、元「弓聖」たち一行を討伐することに成功した暁には、その報酬として、インゴット王家より今後、新たな「巫女」が生まれぬよう、措置を施すことを約束しましょう。インゴット王家とインゴット王国は今回、私の神託を無視し、杜撰な仕事を行い、その結果、元勇者たちが世界中で暴走する、史上最悪の大失態を犯したことは事実です。ですが、もし、元「弓聖」たち一行の討伐に失敗した場合、あなたたちからの提案は却下いたします。元「弓聖」たち一行の討伐後、ゾイサイト家やゾイサイト聖教国が、インゴット王家とインゴット王国同様の失態を犯すことがあった場合、ゾイサイト家からも「巫女」が生まれないよう、制裁措置を下します。あなたの国にも、先日、この私のエロ写真を買った不届き者がいたことは知っています。元勇者たち全員の討伐が完了した場合、世界中の私の信者たちを使い、世界中にいるエロ写真を買った不届き者たちを一人残らず、処刑しなさい。決してこの私の期待を裏切ることのないようにお願いします。よろしいですね、カテリーナ?』
「はい、かしこまりました、リリア様。エロ写真を買った者たちの粛清も私どもにお任せください。」
『それから、あなたに一つ忠告しておきます。よく聞きなさい。今回、私が元「弓聖」たち一行の討伐のために派遣する「黒の勇者」は、この私が選んだ、対勇者に特化した力を持つ、この私の切り札であり、現時点において史上最強最高の、真の勇者です。現在、アダマスにいる確かな実力のある勇者は彼、一人だけです。「黒の勇者」はこれまでの「養殖もの」の勇者たちと違い、育成過程が異なり、ほぼ独力で成長を果たした、野生の勇者です。正義感も強いですが、やや反抗的な性格も持ち合わせています。彼は横暴な人間や悪人を激しく嫌う性格の持ち主なのです。決して、「黒の勇者」の機嫌を損ねないよう、細心の注意を払ってください。あなたの部下たちにもこのことを徹底させなさい。そして、「黒の勇者」とともに確実に使命を遂行するのです。分かりましたね、カテリーナ?』
「かしこまりました、リリア様。決して、「黒の勇者」様に粗相の無いよう、徹底いたします。どうか、ご安心ください。」
『よろしく頼みましたよ、我が巫女、カテリーナ。あなたが無事、使命を果たすことを心から願っています。』
リリアはカテリーナに神託を授け、カテリーナとの交信を終えた。
リリアから神託を授かり、さらに、元「弓聖」たち一行の討伐が完了した見返りに、インゴット王家より新たな「巫女」が生まれないよう、措置を施す約束をリリアから取り付け、カテリーナは玉座に座りながら、ニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「リリア様からようやく、新たな神託を授かることができました。聖戦の準備を進めるよう言われ、この二年間、準備を推し進めてきました。元勇者たちを討伐するために、これまで準備したモノを使うことになるとは予想外でしたが、対魔族との戦いに向けた良きデモンストレーションになるはずです。元「弓聖」たち一行を討伐する準備は万全です。後は、「黒の勇者」様を無事、お出迎えし、元「弓聖」たち一行をともに討伐することができれば、私の計画は全て完了します。インゴット王家とインゴット王国に最早、利用価値はありません。女神リリア様の御意思を無視し、国を腐敗させ、真の勇者を処刑し、勇者たちを犯罪者にして世界中で暴走させる混乱を招いた体たらく、リリア様の信者を名乗る資格すらありません。そもそも、リリア様の神託を授かることのできる「巫女」は二人もいりません。この私、ゾイサイト聖教国聖教皇、カテリーナ・イーディス・ゾイサイト、一人で十分です。マリアンヌ、あの出来損ないの「巫女」の面汚しが、真の勇者である「黒の勇者」様を補佐していること自体、間違いなのです。リリア様にはマリアンヌとも協力するようにと言われましたが、あの小娘はただの足手纏いにしかならないでしょう。あの小娘には今回の元「弓聖」たち一行の討伐からは外れてもらい、私と聖騎士団で「黒の勇者」様をサポートさえすれば、討伐はよりスムーズに成功することでしょう。討伐が成功すれば、インゴット王家から二度と「巫女」は生まれなくなります。後、「黒の勇者」様を我が国の専属勇者としてお迎えすることにいたしましょう。成り上がりのラトナ公国にはもったいない逸材です。我が国を治め、リリア聖教会のNo.2である、大枢機卿の地位と権力、富を与え、我が国が今後、あらゆる面で「黒の勇者」様をバックアップすることをお約束すれば、きっと、我が国専属の勇者になることを承諾してくれるでしょう。「黒の勇者」様とこの私が結婚、子供を授かれば、強大な力を持った「聖騎士」、あるいは「巫女」が生まれることも間違いありません。これほどの大チャンスが巡って来るとは、私は実に幸運に恵まれた、いえ、女神さまに愛された女でしょうか。」
カテリーナはリリアからの神託を利用し、インゴット王家の排除や、「黒の勇者」を手に入れることを思いついた。
カテリーナはすぐに、部下の大枢機卿たちと、聖騎士団の精鋭部隊、「白光聖騎士団」を集め、光の女神リリアから神託を授かったことと、神託の内容を伝え、「黒の勇者」とともに、ゾイサイト聖教国内にいる元「弓聖」たち一行を討伐するよう、命じた。
ただし、カテリーナはリリアからの神託の内容を一部、捻じ曲げた形で伝えた。
インゴット王国王女で、もう一人の「巫女」、マリアンヌは今回の元「弓聖」たち一行の討伐から外すよう、リリアから指示を受け、カテリーナと聖騎士団が「黒の勇者」をサポートするよう指示も受けたという、偽りの神託を教えたのであった。
そして、「黒の勇者」をゾイサイト聖教国専属の勇者としてスカウトするため、「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈に、ゾイサイト聖教国首脳陣にして、リリア聖教会のNo.2の役職である大枢機卿の地位を与えることを条件に、「黒の勇者」と交渉する方針を示した。
「黒の勇者」に大枢機卿の地位を与えることに、一部不満を覚え、反発する者たちもいたが、カテリーナは聖教皇の地位と権力で、反発する者たちを黙らせた。
ゾイサイト聖教国聖教皇、カテリーナは自身の野望を叶えるための計画を開始したのであった。
一方その頃、カテリーナに神託を授けたリリアは、神界にある自分の神殿の中で、椅子に座りながら、考え込んでいた。
「カテリーナやゾイサイト聖教国の者たちは本当に大丈夫でしょうか?あの者たちは、魔族との戦いなど、有事の際には役立つ優秀な手駒ではありますが、少々行き過ぎた行動をとることがあります。昔、ゾイサイト聖教国で勇者召喚を行った際、ゾイサイト聖教国の者たちが洗脳染みた教育を勇者たちに行い、リリア聖教の、この私の狂信的信者へと勇者たちを変え、過激な弾圧運動を行ったことがありました。一部の勇者を扇動して、反教皇派と呼ばれる者たちや、犯罪者たちを「悪魔狩り」と称して、弾圧する事件を起こし、私が止めに入った記憶があります。この私への信仰心があることは評価しますが、行き過ぎた信仰心というモノは有難迷惑です。行き過ぎた信仰心のために暴走され、この私の管理する世界や、女神であるこの私の評判、他の信者たちの信仰心が傷つくことがあってはいけません。故に、聖騎士が建国したインゴット王国に、インゴット王家に後から「巫女」のジョブを持つ者を誕生させたのです。インゴット王家やインゴット王国が腐敗し、衰退したのも事実ですが、ゾイサイト聖教国だけに「巫女」を設け、神託の実現や勇者の育成、サポートなどを任せることはやはり、不安です。いざとなれば、他の五カ国の中から、新たなもう一人の巫女を誕生させましょう。「黒の勇者」の存在にいち早く注目した、ラトナ公国などがいいかもしれませんね。とにかく、カテリーナたちが「黒の勇者」とともに無事、元「弓聖」たち一行を討伐してくれることを待つとしましょう。今回の討伐は大きなトラブルもなく、必ず成功することでしょう。」
カテリーナやゾイサイト聖教国の信者たちが問題を起こさないか、不安をおぼえたリリアではあったが、きちんと忠告をしたので、きっと討伐は大きなトラブルもなく、上手くいくだろう、そう思っていた。
だがしかし、リリアの懸念は的中し、さらにその懸念を上回る問題を、カテリーナとゾイサイト聖教国の信者たちは引き起こそうとしていた。
カテリーナの悪だくみが、リリアにさらなる破滅をもたらす原因の一つになるのだが、リリアはまだ、気が付いてはいない。
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