【中間選考突破!!】異世界が嫌いな俺が異世界をブチ壊す ~ジョブもスキルもありませんが、最強の妖怪たちが憑いているので全く問題ありません~
第十六話 【処刑サイド:光の女神リリア】光の女神リリア、元「弓聖」たち一行が堕天使たちを復活させたと知り慌てる、そして、役に立たない神託を下す
第十六話 【処刑サイド:光の女神リリア】光の女神リリア、元「弓聖」たち一行が堕天使たちを復活させたと知り慌てる、そして、役に立たない神託を下す
「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈と、主人公率いる「アウトサイダーズ」が元「弓聖」たち一行を討伐するため、サーファイ連邦国からゾイサイト聖教国へ向けて出発した日のこと。
それと、主人公が、元「槍聖」たちの協力者であるワイヒー・ライアーの屋敷から、違法ポルノであるエロ写真を売買する裏ビジネスの証拠である、エロ写真の顧客リストと帳簿を入手し、そのコピーを各国政府と各メディアにバラまいた日から四日後のこと。
様々な世界の神々が住まう、雲の上の楽園のような場所、神界。
その神界の一角にある白いギリシャ神話風の神殿の建物から、光の女神リリアは、いつも自身が管轄する異世界アダマスの様子をそっと観察していた。
しかし、昨日、自身の天敵である闇の女神イヴによって、自身が選んだ勇者たちが暴走し、違法ポルノであるエロ写真を作り、世界中にバラまいていたことや、異世界アダマスを自身が適当に管理する杜撰な仕事をしていること、「黒の勇者」に何の加護も与えず、放置し、挙句の果てに、元勇者たちの討伐の仕事を押し付ける無責任で恥知らずな態度をとっていることを、他の神々や天使たちにバラされ、リリアは大恥をかいたのであった。
また、イヴが神界中にバラまいた、エロ写真売買の裏ビジネスの証拠である、顧客リストと帳簿の写しを見られ、自身を模した女性の奴隷のエロ写真を、自身の信者たちの人間が大金を払い、大量に購入している事実も明かされ、他の神々や天使たちからポルノスターと笑い者にされたのであった。
セクト、ベスティア、ティーズの他の三人の女神たちとのお茶会を終え、イヴによって自身が神界中の笑い者にされた事実を知ったリリアの下に、イヴから配達を頼まれた天使によって、手紙付きで、エロ写真の顧客リストと帳簿の写しが遅れて届けられた。
イヴはリリアを笑い者にする報復を行うため、リリア以外の神界に住む他の神々や天使たちに、先にエロ写真の顧客リストと帳簿の写しのセットを送った後、何も知らないリリアへと、わざと三日遅れで同様のセットが届くよう、手配していたのだった。
イヴによって神界中の笑い者にされたリリアは、一晩中、怒り狂った。
イヴへの復讐を誓った彼女は、一晩かけて冷静さを取り戻すと、改めて自身の管轄する異世界アダマスの様子を観察した。
神界中の笑い者にされた汚名を注ぐため、リリアは暴走する元勇者たちを早期に討伐するべく、残りの元勇者たちの動向を探った。
そして、残りの元勇者たちの動向を探った結果、彼女は驚愕の事実を目撃することになった。
「な、何という愚かなことをしているのです!?あの忌まわしい存在を、堕天使たちの封印を解くとは!?しかも、堕天使たちと結託し、自らと合体するとは、何と愚かでおぞましい行いをするのです、あの出来損ないの勇者たちめ!あれは確か、「弓聖」のジョブを与えた人間でしたね!賢さと冷酷さを併せ持った人材だと思い、力を与えましたが、まさか、堕天使と手を組むほど愚かで醜悪だったとは!?若さと冷酷さを基準に勇者を選んだことがこうも裏目に出るとは、全くもって最悪です!41人もいながら、そのほとんど、40人全員が犯罪者へと堕ち、この私の世界を崩壊させようとするとは、本当に忌々しい連中です!ですが、今はそんなことを言っている場合ではありません!女神であるこの私の唯一の汚点であり、歴史から抹消し、封印していた、あの凶悪で厄介な堕天使たちを復活させるとは、これは緊急事態です!直ちに神託を下し、堕天使たちと元「弓聖」たち一行を総力を挙げて討伐せねばいけません!「黒の勇者」に急ぎ、討伐をするよう、神託を下しましょう!ゾイサイト聖教国にも神託を下し、「黒の勇者」とともに、元「弓聖」たちを討伐するよう、命じることにしましょう!この私を本気で怒らせた、あの出来損ないの勇者どもを堕天使共々、地獄に送ってやります!」
午前10時過ぎ。
マリアンヌが「海鴉号」に乗って、主人公とともにゾイサイト聖教国まで海を渡っている中、突如、光の女神リリアより、「海鴉号」のメインキャビンのステートルームにいたマリアンヌ姫に神託が下りた。
『我が巫女にしてインゴット王国の王女マリアンヌよ、私は光の女神リリア。あなたに神託を授けるため、声をかけました。よく私の話を聞きなさい。』
元「弓聖」たち一行の討伐に向かうことを決め、リリアから元「弓聖」たち一行の動向に関する情報を聞き出すことを考えていたマリアンヌの下に、突如、頭の中に女神から神託が下りたため、マリアンヌ姫はすぐに答えた。
「はい、リリア様。いつも私たち迷える人間をお導きいただき、感謝いたします。神託を授けていただき、誠にありがとうございます。ぜひ、神託を私にお聞かせください。」
『今回、あなたに新たな神託を授けます。今、世界は暴走を始めた元勇者たちによって破滅の危機を迎えております。そして、元勇者たちによって、世界に大いなる災いがもたらせようとしています。元「弓聖」とその仲間たちが、かつて私や勇者たちを裏切り、反逆し、世界中の人間たちを滅ぼそうとした悪しき存在、堕天使と呼ばれる存在の封印を解き、堕天使たちを地上に復活させました。さらに、元「弓聖」たちは堕天使たちと融合し、人類を滅ぼすべく、ゾイサイト聖教国にて暗躍し、行動を起こそうとしています。堕天使たちと結託した元「弓聖」たち一行を倒せるのは、この私が選んだ真の勇者である「黒の勇者」、ただ一人だけです。遺憾ではありますが、闇の女神、イヴもあなたたちの傍に付いています。彼女の力も借りて、ただちに堕天使たちと元「弓聖」たち一行を討伐するのです。元「弓聖」たち一行を討伐できねば、人類も世界も滅びることになりかねません。ゾイサイト聖教国にも神託を下し、あなたたちの討伐に全面的に協力するよう、命じます。人類で一致団結して、悪しき元勇者たちと堕天使たちを討伐するのです。それから、堕天使たちは不滅の魂を持っています。彼らを再封印する術式も授けます。私が教えた封印の術式を「黒の勇者」に必ず伝えるのです。分かりましたね?』
マリアンヌはノートとペンを用意し、ペンでノートのページに、リリアからの神託の内容を事細かにメモしていく。
「かしこまりました、リリア様。私からリリア様にいくつかお訊ねしたいことがございます。実は、「黒の勇者」様が、元「弓聖」たち一行が「フェイスキラー連続殺人事件」なる連続殺人事件を起こし、別人になりすまして、ゾイサイト聖教国内に潜伏している可能性があるとの推測を仰り、一時間ほど前にゾイサイト聖教国へ向けてちょうど出発したところでした。リリア様にお訊ねします。元「弓聖」たち一行の顔、あるいは容姿は全く別人に変わってはおりませんでしょうか?それから、復活した堕天使たちが一体、どのような能力を持っているのか、元「弓聖」たち一行が具体的に、ゾイサイト聖教国のどこで、どのような犯罪計画を企てているのか、お教えいただけますでしょうか?「黒の勇者」様は、元「弓聖」のタカオ氏が犯罪に関する知識を豊富に持ち、頭も切れる、最も厄介で危険な敵だと、危惧しておられます。元「弓聖」たち一行の討伐を確実に遂行するため、是非、元「弓聖」たち一行に関する詳細な情報を私たちにお教えください。」
マリアンヌから元「弓聖」たち一行や堕天使たちに関する詳細な情報を求められたリリアであったが、実はリリアは堕天使たちの名前や能力などは細かく憶えていなかった。元「弓聖」たち一行の顔もうろ覚えで、何となく堕天使と合体して、容姿が変化していることが分かる程度であった。
返答に困ったリリアは、とりあえず今、自分が分かる情報を伝えることにした。
『さ、さすがは「黒の勇者」です。すでに元「弓聖」たち一行の情報を掴み、討伐に向けて動き出していたとは。コホン。何分、堕天使たちははるか遠い昔に封印した存在のため、私も正確な情報を全て伝えきれるかは分かりませんが、教えましょう。まず、元「弓聖」たち一行は堕天使たちと融合したため、容姿が変わっています。緑色の髪に、金色や赤色、青色、ディープグリーン、オレンジ色、紫色、藍色などのメッシュがそれぞれ入った姿をしています。堕天使たちは7名いますが、内一人は元「弓聖」たち一行とは融合もせず、別行動をとっているようです。それと、全員が共通して緑色の瞳に変化しています。それから、背中に黒い鳥のような翼を全員、生やしています。顔の変化は分かりづらいですが、かなり特徴的な見た目ですので、すぐに元「弓聖」たち一行だと分かるはずです。今、元「弓聖」たち一行は、ゾイサイト聖教国の南にある廃遺跡に潜伏しているようです。堕天使たちの能力ですが、彼ら全員がSS級モンスター2体から5体に匹敵する力を持ち、そのどれもが、対人間や対魔族に効果を発揮する能力です。洗脳や魅了など、凶悪で多種多様な能力を有しています。勇者たちのジョブとスキルも限界値のレベルを超え、大幅に強化されています。今回、討伐をお願いする勇者たちの名前ですが、
リリアから、堕天使たちと元「弓聖」たち一行に関する情報をもらったマリアンヌであったが、どこか細かいようで肝心な部分が抜けているような情報の内容に、少し首を傾げながらも、リリアに返事をした。
「は、はい、リリア様。情報をありがとうございます。いただいた情報は必ず、「黒の勇者」様にお伝えし、元「弓聖」たち一行の討伐に使わせていただきます。本当にありがとうございます。」
それから、堕天使たちを再封印するための術式をマリアンヌに教えると、リリアはマリアンヌとの交信を終えた。
リリアからの神託の内容をノートに書き留めたマリアンヌは、急いでノートを持って、主人公のいる、「海鴉号」の操縦席へと向かった。
酒吞に操縦を交代してもらい、他のパーティーメンバーたちとともに、リリアからの神託の内容に目を通した主人公、宮古野 丈であったが、顔を顰め、それから神託の内容を酷評した。
「ゾイサイト聖教国に元「弓聖」たち一行がいることが分かった。堕天使なんて言う危険な存在を復活させて、堕天使たちと融合してパワーアップしたことも分かった。だけど、僕たちが知りたい肝心の情報が抜けている。まず、連中の顔だ。容姿が変化したのは分かるが、連中は何度も顔を替えている可能性が高い。連中が全く別人の顔に変わっていて、おまけに、リリアが伝えてきた特徴を隠したり、自由に変化させたりすることができたら、僕たちは連中に全く気付くことができず、連中から不意打ちを食らったり、連中の逃亡を許したりする可能性がある。次に、元「弓聖」たち一行の動向だ。元「弓聖」たち一行はゾイサイト聖教国の南にある廃遺跡にいる、と言うが、具体的に何という名前の遺跡にいるのか、それから、具体的にどのような犯罪計画を企てているのか、もらった情報だけじゃ全く分からないぞ。南にある廃遺跡とやらがいくつあるかもこっちは知らないってのに。最後に、堕天使たちの能力だ。凶悪で多種多様な能力を持っているとあるが、一体どういう能力を連中が持っているのか、ほとんど分からないぞ。ただの洗脳と魅了ではないはずだ。SSランクモンスター複数体に相当する能力と言うからには、危険な相手であることには間違いないが、これじゃあ敵の能力分析には至らない。情報を寄越してきたわりに、肝心なポイントが抜け落ちていて、ほとんど役に立っていないぞ。まぁ、堕天使たちを再封印する術式を教えてきただけでも、まだマシな方か?」
リリアからの神託を酷評する僕に、マリアンヌのノートのメモを見ながら、イヴが顔を顰めながら僕に言った。
「婿殿、リリアが教えてきた、この堕天使たちを封印する術式だが、この術式は使用者の寿命の半分を対価に堕天使たちをアダマスに固定するよう、封印する仕組みになっている。これははっきり言って、妾やリリアたちより高位の神々でさえ苦労する相手に使う、いわば、最終手段の術式だ。婿殿の能力と堕天使たちの能力を比較しても、こんな最終手段の術式より、もっとローコストで封印する術式があるぞ。リリアの教えてきた術式を使っていたら、婿殿は堕天使たちを封印するためだけに、命を失う恐れがある。堕天使ごときの封印に寿命を削り、命を失う必要は全くない。堕天使たちをより効率よく、安全に封印できる術式を妾が教えよう。あの馬鹿女め、婿殿にこんな危ない術式を教えて寄越すとは、婿殿を今回の元「弓聖」たち一行の討伐に乗じて、殺すことでも思いついたのか?」
イヴから、リリアが僕の命を代償に堕天使たちを封印する危険な術式を教えてきたと聞き、イヴを除く他のパーティーメンバーたちと僕は驚き、同時に怒りをおぼえた。
マリアンヌに至っては困惑を隠せないでいる。
「そ、そんな!?リリア様がジョー様の命を犠牲にするような、危険な封印の術式を授けられたと!?な、何故、そのようなことをする必要が!?ジョー様がいなくなったら、一体、誰が他の元勇者たちや魔族たちを倒せると言うのです!?リリア様は何を考えておられるのです!?」
「そんなの決まっている。どうせ、闇の女神であるイヴと親しくしている僕のことが気に食わなくて、この機に乗じて何も知らない僕に封印の術式を使わせて、目障りな僕を排除しようとしたか、あるいは、他にまともな堕天使を封印する術式を知らなくて、こんな危険な術式を適当に寄越してきた、っていうところだろうなぁ。役に立たないどころか、この僕を殺そうとしてくるとは、良い度胸だ。向こうから宣戦布告してきたなら、受けて立とうじゃないか。元「弓聖」たち一行の討伐を終えたら、10,000倍にしてお返してやるよ。邪神リリアめ、この僕を本気で怒らせたらどういうハメになるのか、たっぷりと教えてやる。お前に地獄を味わわせてやる。」
主人公は適当な神託と、自分の命を奪いかねない危険な封印の術式を教えてきた光の女神リリアに対する、より徹底的な復讐を決意し、リリアへの憎悪と怒りの激しい炎を心に燃やすのだった。
一方、マリアンヌに神託を授け終えた女神リリアは、主人公がすでに元「弓聖」たち一行の討伐に向け、ゾイサイト聖教国に向けて出発していたことや、マリアンヌから堕天使や元「弓聖」たち一行に関する詳細を訊ねられたことに驚いていた。
「まさか、「黒の勇者」やマリアンヌがすでに元「弓聖」たち一行の行方を掴み、討伐に向けて動き出していたとは、驚きました。「黒の勇者」の情報収集能力や分析力は相当なものだと言えます。マリアンヌも「黒の勇者」に感化され、勇者を支える「巫女」として大きく成長したことを感じました。封印の術式も無事、授けましたし、規格外の戦闘能力を持つ「黒の勇者」なら、問題なく元「弓聖」たち一行を討伐し、堕天使たちを再封印してくれることでしょう。しかし、元「弓聖」たち一行が連続殺人事件を起こしていたとは、全くもって迷惑な話です。「フェイスキラー連続殺人事件」と言いましたか、他人の顔を奪うために次々と殺人を行っていたとは、何と卑劣で残忍極まりない連中でしょうか?イヴがまた、元「弓聖」たち一行がおぞましい連続殺人事件を起こしたことを他の神々に言いふらしたりすれば、私の女神としての評判がますます傷つくことになりかねません。元「弓聖」はインゴット王国王城からの脱獄事件の主犯だったはずです。暴走する元勇者たちの中で最も凶悪な人間で、超一級の犯罪者でこの私も手を焼いた最低最悪の勇者だった、と周りには説明しておけば、何とか体裁を保てることでしょう。とにかく、あの目障りな元「弓聖」たち一行を早急に始末せねば。後はゾイサイト聖教国の者たちにも神託を授け、「黒の勇者」とともに協力して元「弓聖」たち一行を討伐するよう、神託を授ければ、事態は概ね解決するはずです。こういう緊急事態の時こそ、ゾイサイト聖教国の信者たちは役に立つ存在です。異世界アダマスを管理する真の女神であるこの私の仕事にミスなど絶対に起こりえないのです。」
女神リリアは、元「弓聖」たち一行の討伐に関する自分の采配に自信満々の笑みを浮かべていた。
異世界アダマスを管理する、光の女神である自分の仕事にミスはない、今回は大きなダメージを受けることもなく、問題は解決する、そう考えていた。
しかし、そんなリリアの考えは甘かった。
勘違いも甚だしいところだった。
光の女神リリアの予想をはるかに上回る大事件を、元「弓聖」たち一行は引き起こそうとしていた。
「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈は自身の授けた神託を役に立たないと酷評し、命を奪いかねない危険な封印の術式を授けたリリアに対して、激しい怒りを抱き、容赦ない報復を決意していた。
リリアが後に神託を授け、元「弓聖」たち一行の討伐に協力を求めるゾイサイト聖教国の信者たち、リリア聖教会の者たちが、自身の思惑を越えた問題を起こすことになるのであった。
主人公によって、光の女神リリアは破滅へとさらに追い込まれていくことになるのだが、リリア本人はまだ、そのことを知らない。
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