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第十二話 【処刑サイド:インゴット王国国王】インゴット国王、違法ポルノを買っていたことが世間に暴露される、そして、王女から辞任を迫られる
第十二話 【処刑サイド:インゴット王国国王】インゴット国王、違法ポルノを買っていたことが世間に暴露される、そして、王女から辞任を迫られる
「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈と、主人公率いる「アウトサイダーズ」が元「槍聖」たち一行を討伐し、元「槍聖」たちの協力者であるワイヒー・ライアーの屋敷から、違法ポルノであるエロ写真を売買する裏ビジネスの証拠である、エロ写真の顧客リストと帳簿を入手し、そのコピーを各国政府と各メディアにバラまいた日の翌日。
主人公が各国政府と各メディアに裏ビジネスの証拠をバラまいたことで、世界中に衝撃が走り、闇ギルド経由で違法ポルノのエロ写真を買った人間たちを逮捕、粛清するため、世界各国で大捕り物が行われる事態となった。
世界各国の各メディアは、元「槍聖」たちとワイヒー・ライアーが作って販売していた違法ポルノのエロ写真を、各国政府の要人、貴族、役人、騎士たちが闇ギルドより多額の金を払って大量に購入していた事実を知って、各国政府を追及した。
新聞や雑誌等の報道で、政府の人間たちが、闇ギルドより、存在や売買を禁止されている女性の奴隷たちをモデルにした違法ポルノのエロ写真を、億単位の金を払って大量に購入していた事実を知り、各国の国民たちは怒り、各国政府の拠点の前で、政府に対し激しいデモを行った。
各国政府が対応に追われる中、メディアや国民から最も激しく非難されたのは、インゴッド王国政府であった。
インゴット王国で起きた謎の食人鬼連続殺人事件の犯人であり、サーファイ連邦国を海賊団を率いて不法に占拠したテロリストでもある、元「槍聖」たち一行が女性の奴隷たちを使って作り、闇ギルド経由で売買していた、違法ポルノのエロ写真を、本来、奴隷売買や違法ポルノ等の犯罪、闇ギルドを取り締まる側である国王自ら、購入していたという大スキャンダルにして大不祥事に、これまでの国王の数々の大失態も加わり、国民の怒りは大爆発した。
国王が、闇ギルドから違法ポルノのエロ写真を100億リリアもの大金を払って大量に購入していたこと、闇ギルドの奴隷売買を黙認し加担していたこと、国が財政破綻寸前にも関わらず、つい最近までエロ写真の購入予約をしていたこと、光の女神リリアを模した、女性の奴隷をモデルにしたエロ写真を買い、女神を冒涜するような代物を集めていたこと、光の女神リリアに仕えてきた歴史ある王家の顔に泥を塗る行為を行ったことに、国民は国王を、変態国王、背信者、全世界の女性の敵、女神の敵、歴代最悪最低の愚王など、激しく非難した。
国王だけでなく、宰相や大臣、貴族、役人、騎士たちなど、現在王国政府を動かす人物たちの多くが、違法なエロ写真を闇ギルドから買っていた事実も明るみになり、国民たちはそのことにも激しく怒った。
王城の前に押しかけた国民たちは遂に、包丁や斧、ナイフ、石、火炎瓶などを手に武装デモを行い、武装した国民たちと、王城を守る騎士団の騎士たちが激しく衝突、死傷者が出る事態まで起こった。
インゴット王国は、これまでに元勇者たちが世界中で起こした問題による損害賠償金などで14兆1,000億リリアという巨額の損失を抱え、さらに11兆リリアの財政援助のための支援金という借金まで抱え、世界各国から早期返済を求められ、支援金を5年以内に完済できない場合は各国に領土の10%を明け渡さなければならない、という非常に厳しい状況に追い込まれ、財政破綻寸前でもあった。
ズパート帝国からの制裁措置で、各鉱物資源をズパート帝国から輸入できなくなり、国の産業も経済も衰退、さらに、元「槍聖」たち一行がサーファイ連邦国を占拠して暴れ回ったため、サーファイ連邦国から多額の損害賠償金を請求されることはほぼ確実であった。人口の流出や、反国王派の貴族たちによる国内の分裂も止まらないでいる。
それから、先日鵺がインゴット王国王都に向けて進路を変えた超大型台風の直撃を受けて、インゴット王国は暴風や大雨による被害を全国各地で受け、その被害からの復興にも追われていた。特に、元勇者たちが起こした「ボナコン・ショック事件」で壊滅的被害を受け、復興の最中であった王都の被害が著しく、修復中の建物が倒壊するなど、王都の復興費用がさらにかかり、インゴット王国の財政にさらなる重い負担がかかる事態も起こっていた。
国王率いる現政権による数々の失策で王国が崩壊寸前の状況の中で、国王たちが闇ギルドから違法ポルノのエロ写真を購入していた大不祥事が明るみになったことは、国王たちの進退を揺るがす大打撃となった。
朝から王城の前では国民たちによる武装デモが起こり、各メディアからは追及、非難され、国王たちは予想外の不祥事発覚に頭を抱え、これまでのストレスも重なり、肉体と精神は限界寸前であった。
王城の前では怒号が飛び、国民たちの国王辞任を求める声が響いていた。
王城の窓ガラスは国民たちの投げた石で割られ、王城のあちこちが、国民の投げ入れた火炎瓶の炎で燃えている。
王城から一歩でも外に出ようものなら、暴徒と化した一部の国民に命を狙われかねない状況まで、国王たちは追い詰められてしまった。
インゴット王国国王、アレクシア・ヴァン・インゴット13世は、自身の執務室の机に座り、やつれた表情を浮かべながら、自身や部下たちの不祥事発覚と、武装デモまで行うようになった国民たちの激しく怒り狂う姿に、頭を抱えた。
「も、もう限界だ。このままでは、我がインゴット王国は間違いなく財政破綻する。私も部下たちも、闇ギルドからエロ写真を購入していた事実が世界中に露見してしまった。国民たちの一部は暴徒と化し、メディアはこれまで以上に追及してくる。全世界のリリア聖教の信者たちと、全世界の女性たちを敵に回してしまった。光の女神リリア様が、この私が闇ギルドから女神様を模したエロ写真を購入していた事実を知れば、私も、インゴット王家も、女神様から見放されることになりかねない。下手をしたら、元勇者たち同様、この私も処刑するよう、神託を下す可能性もある。くそっ、このままでは私もこの国も破滅してしまう。く、「黒の勇者」、あの男は確かに真の勇者だが、あの男がこの私への復讐心を抱いていることは間違いない。元勇者たちの暴走を止められるのはあの男だけだが、あの男も元勇者たち同様、あるいは奴ら以上に厄介な存在だ。女神さまが選んだ真の勇者ではあるが、あの男が行動するたびに、私はいつも煮え湯を飲まされている。まるで、女神さまへの反乱分子を炙り出すために現れたような・・・ま、まさか、女神さまは最初から「黒の勇者」を使って私たち人間の中に潜む反乱分子となる者を炙り出すために、あの男を召喚したのでは?「黒の勇者」の情報を私たちに秘匿していたのも、「黒の勇者」が規格外の能力を持つのも、女神の教えに背く者たちを次々に排除していくのも、女神様が魔族殲滅をいまだに実現できないのは、私たち人間の中に女神の教えに従わない者たちがいるから、そうお考えになって、「黒の勇者」を使って人類の選別を行い始めた?女神さまの教えや正義に反する者たちを粛正するために「黒の勇者」を動かしている?確かに私はこれまでにいくつもの犯罪に手を染めてきた。神聖なる聖武器のレプリカを作らせ、勇者たちに与えた。勇者たちを独占し、利用しようとした。勇者たちを使って世界の支配を目論んだ。女神さまは私のこれまでの罪を全て知って、元勇者たちを使って私を試し、そして、「黒の勇者」を派遣して粛清を開始した。だとしたら、私は女神様から失格者として排除されることになる。インゴッド王国も不要だと判断されることになりかねない。もし、女神さまが本当に人類の選別を開始したかもしれないのなら、何としても汚名を返上せねば、私もこの国も消されることになる。しかし、一体どうすれば、いいのだ?」
光の女神リリアが「黒の勇者」を使って人類の選別を開始した、自身が女神から粛清されるかもしれない、国王はそう考え、何とか女神から許しを得る方法がないか、必死に考えを巡らせていた。
焦る国王のいる執務室のドアをノックして、ドアを開けて、腹心のブラン宰相が、国王の前に現れた。
暗い表情のブラン宰相の手の上には、インゴッド王国王女、マリアンヌとの通信連絡用の水晶玉が載せられていた。
「陛下、マリアンヌ姫より緊急の通信連絡が来ました。要件は、昨日、世界中に公開された、エロ写真売買の裏ビジネスの顧客リストと帳簿の件について、とのことだそうです。」
「分かった。繋いでくれ。」
『おはようございます、お父様。昨日、「黒の勇者」様が元「槍聖」たち一行とともにエロ写真を作っていた、ワイヒー・ライアーという男の屋敷を捜索しました。その結果、ワイヒー・ライアーが付けた、エロ写真売買の裏ビジネスの顧客リストと帳簿が見つかりました。顧客リストと帳簿の写しは世界各国の政府とメディアに、すでにお渡し済みです。元「槍聖」たちの作ったエロ写真は、闇ギルドにて違法に売買される女性の奴隷たちをモデルに、無許可で製作された違法ポルノです。私もエロ写真売買の顧客リストと帳簿を全て閲覧しました。お父様にお訊ねします。顧客リストの中に、お父様の名前がありました。違法なエロ写真に100億リリアもの大金を支払い、大量に購入していた、これは事実なのでしょうか?正直にお答えください。』
マリアンヌの声は、明らかに怒りを孕んでいた。
国王は力なく答えた。
「す、すまない、マリアンヌ。確かに私はエロ写真を購入した。しかし、エロ写真の出処までは知らなかったのだ。まさか、闇ギルドで販売され、その上、エロ写真を製造していたのが元「槍聖」たちだったとは知らなかった。部下たちから最近、巷で流行している、とても精巧なポルノがあると聞き、部下に金を渡し、買いに行かせた。エロ写真のあまりの精巧さに虜になり、出処もよく知らず、部下に金を持たせて、夢中になって収集してしまった。違法ポルノであるとは知らなかったのだ。これだけは本当だ。知っていれば、絶対に買うことはなかった。女神さまに誓って、私の言葉は全て真実だ。本当にすまなかった。どうか、この愚かな父を信じてほしい。頼む。」
『例え出処を知らなかったとしても、お父様が部下に自分の金を持たせ、闇ギルドから大量の違法ポルノであるエロ写真を購入していた、この事実が覆ることはありません。国が財政破綻寸前の状況でありながら、エロ写真を100億リリアも払って購入するなど、国民から見れば非常識です。国王であるお父様が支払った100億リリアが、闇ギルドや元「槍聖」たちの悪事の資金源となったことも事実です。さらに問題なのは、光の女神リリア様を模した女性奴隷をモデルに使ったエロ写真を購入していたこと、これは明らかにリリア様を冒涜し、辱める行為に他なりません。今、お父様は世界中から、闇ギルドや元「槍聖」たち一行の悪事に加担した犯罪者であり、女神リリア様を冒涜する女神様の敵、というのが世間の評価です。光の女神リリア様に3,000年以上に渡って仕えてきた、歴史あるインゴット王家の顔に泥を塗ったも同然です。リリア様からまだ新たな神託は授かっておりませんが、リリア様がこの事実をお知りになれば、我がインゴット王家も、インゴット王国も女神様から見放されることになりかねません。お父様に申し上げます。ただちに、顧客リストに載っている人物たちの逮捕並びに粛清をお願いします。ブラン宰相、あなたもエロ写真を購入していたことは分かっています。宰相をクビになることは覚悟してください。それから、お父様、私は引き続き「黒の勇者」様とともに、元勇者たちの討伐の使命を遂行いたしますが、元勇者たちの討伐が終わり、私が本国に帰還した際は、お父様には国王を辞任していただきます。この私が女王となり、新体制の下、王国再建に本格的に着手いたします。お父様の辞任についてと、エロ写真を購入した者たちへの逮捕並びに粛清について、すぐに世界各国に正式に公表してください。光の女神リリア様からの信頼を取り戻し、国家再建を成功させるためには仕方のないことです。よろしいですね?』
「分かった。お前の言う通りにしよう。エロ写真を購入した者たちの逮捕並びに粛清は必ず行う。お前が元勇者たちの討伐を終えたら、私は国王を辞任し、お前が女王に就任することとする。それから、これらの方針をただちに世界各国に向けて正式に公表する。それから、リリア様が私やインゴット王国にお怒りの場合は、何とかお前の方でリリア様にお許しいただけないか、説得してほしい。」
『分かりました。リリア様とお話することがあれば、お父様がリリア様に謝罪の意を表明していたことは必ずお伝えいたします。今回の不祥事の後始末、よろしくお願いいたします、お父様。では、私は仕事がありますので、これにて失礼いたします。』
その言葉を最後に、マリアンヌとの通信は切れた。
マリアンヌとの通信を終えた国王の顔は暗かった。
それから、国王はブラン宰相に指示した。
「ブラン宰相、ただちにエロ写真を購入した者たちの逮捕並びに粛清を行う。該当する各大臣の後任の人事は、顧客リストに載っていない者たちの中から選別して行う。元勇者たちの討伐完了後、マリアンヌが帰国次第、私は国王を辞任し、王位をマリアンヌに譲り、マリアンヌを女王に就任させ、新体制の下、王国の再建をより本格的に着手させる。それと、これらの方針を政府が正式に決めたことをすぐに世界各国へ公表するのだ。後、ブラン宰相、お前には自慢の優秀な息子たちがいると言っていたな?お前の息子たちの中で特に優秀な人物を、お前の後任の宰相に据えることにする。お前が自慢するほどの人物なら、きっとこの国の再建の力になってくれるはずだ。私もお前も、どうやら新しい世代に引き継がなければならない時が来たようだ。これまで、私の我が儘に付き合わせて済まなかったな。愚かなこの私を支えてくれたこと、感謝する。」
国王は椅子から立ち上がると、ブラン宰相に向かって頭を下げた。
国王の態度に驚き、ブラン宰相は慌てて答えた。
「頭をお上げください、陛下。この私を宰相に取り立ててくださったのは、陛下です。私も決して優秀な宰相とは言えませんでした。我が国を財政破綻寸前に陥る状況を回避できなかった責任は私や、他の大臣たちも同じです。私も裏で手を汚し、闇ギルドの犯罪を黙認してきた一人です。闇ギルドを利用したこともあります。私もまた、女神リリア様の怒りを買った人間です。そんな私の息子たちの中から、後任の宰相を選んでいただけるとは、感謝しかありません。私の息子たちは全員、エロ写真を買ってはおりません。闇ギルドとの関係も持っておりません。まだ若いですが、宰相や新政府の要職をこなすだけの能力はあります。経験不足と言われても、いずれ時が解決するはずです。どうかご安心ください、陛下。」
「ありがとう、ブラン宰相。新しい世代への引継ぎまで、お互いに頑張ろう。」
国王とブラン宰相は、固い握手を交わした。
それから、すぐにエロ写真の顧客リストに載っている人物たちの逮捕並びに粛清が行われた。
違法ポルノであるエロ写真の購入及び所持の罪で、インゴット王国内の大臣、貴族、役人、騎士、商人、冒険者、聖職者など、地位や職業を問わず、大勢の逮捕者が出た。
逮捕者の数は、世界七カ国で最多の、600万人であった。
逮捕された貴族や役人、騎士たちの多くは、国王派に所属する者たちであった。
3年以下の懲役、又は300万リリアの罰金刑が逮捕者たちには科され、逮捕者たちの多くは罰金を支払うか、執行猶予付きとなって釈放となった。
しかし、逮捕者たちが、エロ写真を購入したことで、変態だの、女性の敵だの、性犯罪者だの、女神の敵だの、背信者だの、周囲から非難を浴びせられた。
家族や恋人、妻、娘、姉妹などから、逮捕者たちは絶縁されたり、離婚されたりするハメになった。
職場から左遷される者や、仕事をクビにされ、再就職先に困る者も多かった。
エロ写真を購入して逮捕された者たちは皆、社会的に抹殺されることとなった。
世界各国で見ると、約1,000万人の逮捕者が出て、彼らは皆、社会的抹殺と言う名の処刑を食らって、破滅したのであった。
逮捕者の中には、社会的に抹殺されたことから、その原因を作った元勇者たちやインゴット王国政府に恨みを抱く者もいれば、エロ写真売買の顧客リストの情報を全世界に公表した「黒の勇者」に恨みを抱く者もいた。
邪悪な女神リリアの企みがもたらした異世界の歪みが、異世界の人間たちの持つ悪意を引き出した結果、とも言えなくない。
「黒の勇者」こと、主人公、宮古野 丈が戦い、復讐する、新たな異世界の悪党たちが出現することとなった。
エロ写真を購入した者たちの逮捕並びに粛清が開始された日の翌日、インゴット王国より国内外に向けて、インゴット王国政府がエロ写真を購入した者たちの逮捕並びに粛清に取りかかったこと、インゴット王国国王からの全世界の人々への謝罪の表明、そして、元勇者たち全員の討伐が完了後、国王は辞任し、王女のマリアンヌが女王に就任し、新体制の下、王国再建に着手することなどが正式に発表された。
不祥事を起こした国王や宰相、大臣たちが、全員、辞任を表明したことで、国内はひとまず落ち着きを取り戻した。
しかし、国王たちとインゴット王国をさらなる不幸が待ち構えていた。
国王たちへの破滅と言う名の制裁はまだまだ続くのであった。
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