第十話 主人公、裏ビジネスの闇を暴く、そして、世界中のクズをぶちのめす

 僕たち「アウトサイダーズ」が、ピグミーシャーク島にて、元「槍聖」沖水たち一行と、沖水たち率いるダーク・ジャスティス・カイザー海賊団を討伐したその日のこと。

 元「槍聖」たち一行の討伐を終えた僕たちは、サーファイ島の南側の港に泊めてある「海鴉号」へと戻り、遅い昼食をみんなで一緒に食べ、少し休憩をとった後、今回の沖水たち海賊団によるサーファイ連邦国占拠事件に関する事後処理を行うべく、ふたたび仕事に取りかかった。

 ラトナ公国、ペトウッド共和国、ズパート帝国、インゴット王国、四カ国に、僕たち「アウトサイダーズ」が元「槍聖」たち一行率いる海賊団を討伐、壊滅させた事実を伝えるとともに、各国から派遣してもらっていた討伐隊に引き返してもらっても問題ないことを伝えた。

 ついでに、海賊団を追い詰めた怪盗ゴーストの正体が、僕たち「アウトサイダーズ」であるという事実も伝えた。

 討伐作戦に協力してくれた四カ国への報告を終えると、僕はイヴと鵺、玉藻の三人とともに、ワイヒー・ライアーの屋敷へとふたたび向かった。

 元「槍聖」沖水たち一行は、インゴット王国にいた時から、ワイヒー・ライアーと協力して、違法ポルノのエロ写真を一緒に作っていた。

 サーファイ連邦国を沖水たちが占拠してからは、教会の孤児院から攫った女の子たちや、闇ギルドから購入した女性の奴隷たちを使って、違法ポルノのエロ写真を大量生産し、世界中に売り捌く裏ビジネスを行い、私腹を肥やそうとしていた。

 ワイヒー・ライアーがエロ写真を売る裏ビジネスを実質的に動かしていたことは、怪盗ゴースト作戦の時に調査済みだ。

 ワイヒー・ライアーのエロ写真売買の裏ビジネスの実態解明が、今回、ワイヒーの屋敷を訪れた目的だ。

 ワイヒーの屋敷の中へと入った僕たちは、ワイヒーの屋敷内を隈なく調査した。

 ワイヒーの執務室を調べていると、ワイヒーの執務室の机に僕たちはまず、注目した。

 ワイヒーの机の引き出しには鍵がかかっていたが、僕は霊能力を使って強引に引き出しを破壊した。

 引き出しを取り出すと、中から、ワイヒーが記録を付けていたと思われる、裏ビジネスの帳簿と、エロ写真の販売顧客リストが出てきた。

 帳簿を見ると、インゴット王国にいた時からサーファイ連邦国に拠点を移したこの四ヶ月間の間に、エロ写真売買の裏ビジネスで、総額2兆リリアもの収入を、ワイヒーは得ていたことが分かった。

 帳簿に書かれた金額の大きさに驚いた僕ではあったが、それ以上に興味を引いたのは、エロ写真の販売顧客リストである。

 エロ写真の販売顧客リストは3冊、一冊が500ページほどあり、エロ写真を購入した顧客たちの名前、職業、住所地、購入先の場所、購入金額、購入したエロ写真の内容が事細かに記載されていた。

 販売顧客リストに載っているエロ写真を購入した顧客たちは、貴族、役人、騎士、商人、冒険者、聖職者を問わず、様々な職業に就く大勢の男性ばかりであった。

 エロ写真をワイヒーから闇ギルド経由で購入した顧客の数は、ざっと1,000万人に上る。

 尚、販売顧客リストには、販売するエロ写真の価格表も付いていた。

 上からSSランク、Sランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランク、Fランクとある。

 SSランクが1億リリア以上、Sランクが1,000万リリア以上、Aランクが500万リリア以上、Bランクが100万リリア以上、Cランクが50万リリア以上、Dランクが10万リリア以上、Eランクが1万リリア以上、Fランクが5,000リリア以上、という価格設定であった。

 冒険者ギルドの依頼報酬の相場を参考にしているようであった。

 エロ写真のモデルに使う奴隷の女性の容姿や、女性たちを全裸にするか半裸にするか、好みのポージングをさせたり、コスプレをさせたりするなど、モデルの質やオプションを付けるかなどで、販売価格が変わるらしい。

 エロ写真の販売顧客リストに目を通しながら、僕は言った。

 「手書きでここまで詳細な顧客リストを付けているというのは、ある意味凄いな。エロ写真にかける、このワイヒーとか言う変態の熱意が伝わってくる。性犯罪者の犯罪に対する熱意や努力なんて、ほとんど評価する価値はないけど。しかし、地位や職業を問わず、これだけ大勢の、世界中の男たちがエロ写真を買っていたとは驚きだ。一人で億単位の金を使っている奴も大勢いるぞ。おや、この名前は・・・」

 販売顧客リストに目を通していると、僕はリストの中に、憎き復讐相手の一人であり、よく名前を知っている人物の名前を見つけて、思わぬ大収穫に笑みをこぼした。

 「おおい、玉藻、鵺、イヴ、三人ともこっちに来てくれ。面白いモノを発見したぞ。」

 僕が三人に呼びかけると、三人が僕の方に集まってきた。

 「面白いモノとは、何でございますか、丈様?」

 玉藻が僕に訊ねた。

 「僕が持っているこのエロ写真の販売顧客リストに載っている人物の名前をよーく見てくれ。」

 僕は左手で顧客リストを持って、ページを開きながら、顧客リストに載っているある人物の名前を、右手の人差し指で指さした。

 玉藻、鵺、イヴの三人が覗き込んで、その人物の名前を見るや、一瞬驚いた後、嫌悪感や呆れたといった感じの表情を浮かべた。

 僕が指さした、エロ写真の販売顧客リストに名前が載っていたとある人物とは、インゴット王国国王、アレクシア・ヴァン・インゴット13世であった。

 「違法ポルノや奴隷の売買、闇ギルドを取り締まる側の、一国を代表する王が、闇ギルドから違法ポルノのエロ写真を購入していたなど、恥知らずもいいところです。丈様を処刑したあの愚かな国王はやはり、即刻殺すべき、救いようのない悪党だと改めて実感いたしました。」

 「丈君の処刑に飽き足らず、闇ギルドの犯罪を見逃し、自身も違法なエロ写真を買って、犯罪に加担していた。インゴットの国王は即抹殺すべし。クソ以下の変態国王に生きる価値は全くない。」

 「世界一と呼ばれていた大国の国王が、違法なエロ写真の売買に関わるなど、言語道断だ。インゴット王国は元々、初代勇者パーティーとともに戦った有名な聖騎士が建国した国だ。リリアの信者も当然、多い。リリアに長年仕えてきた歴史ある王家の顔に泥を塗る行為だ。エロ写真を闇ギルドから買っていた事実が世間に公表されれば、女神リリアの教えを破った不潔極まりない罪人として、闇ギルドの犯罪に加担した悪党として、あの愚かなインゴットの国王は、世界中から非難されることになるだろう。」

 玉藻、鵺、イヴが、闇ギルドからエロ写真を買ったインゴット王国国王のことを強く非難した。

 「このリストによると、あのクソジジイの国王は三ヶ月前から、エロ写真の購入を始めたようだ。SSランク、1億リリア以上のエロ写真を50枚以上は購入している。女神リリアに似た最上級の女性奴隷をモデルに使った半裸のコスプレ写真に、金髪で巨乳巨尻の20代前半のスタイル抜群の女性奴隷をモデルに使った全裸のセクシーポーズ写真、などを購入したと書いてある。Sランクの写真も大量に購入しているようだ。購入総額は100億リリアとある。違法ポルノに100億リリアも出して購入するなんて、本当に救いようのない馬鹿だな、あのクソ国王は。次に購入するエロ写真の予約まで入れているぞ。それもつい最近だ。インゴット王国は今や財政破綻寸前で、王都も元勇者たちによって壊滅寸前の状態にされて復興途中だと言うのに、本当に何やってんだか、まったく。」

 僕はエロ写真の販売顧客リストを見ながら、インゴット国王の馬鹿さ加減に呆れた。

 「このエロ写真の販売顧客リストだが、いくつか心当たりがある名前が他にも出てきた。ペトウッド共和国を治める獣人の三派閥を代表する貴族の次期当主候補たちの名前がある。ユリウス・アポロ・ホーク、ガッツ・ロック・モンキー、ライブラ・マギ・フォックス、いずれも議長決定対抗戦で僕が戦った相手だ。玉藻、鵺、二人もあの三人の顔はよくおぼえているだろう?死んだ前ズパート帝国皇帝、サリム・ムハンマド・ズパートの名前もある。ズパート帝国の貴族や商人の名前もいくつかある。ラトナ公国にも、エロ写真を買ったという人間の名前がある。インゴット王国については、国王、宰相、大臣、貴族、騎士など、大勢の人間がエロ写真を大量に購入している。世界中に、ワイヒーと沖水たちが作ったエロ写真を闇ギルド経由で購入した、人間のクズどもがいることが分かった。すぐにこのエロ写真の販売顧客リストと、エロ写真販売ビジネスの帳簿を、世界中に公表しようと僕は考えている。たくさんの罪のない女性たちを傷つけて作られた悪しき産物である、違法なエロ写真を買った世界中のクズどもは、僕の復讐対象である異世界の悪党だ。連中全員、問答無用で破滅させてやる。」

 僕は、違法なエロ写真を買った、世界中の人間のクズどもへの復讐を決意した。

 「だけど、顧客リストも帳簿も原本のみだ。これらのコピーはどこにもない。世界中の政府やメディアにばらまきたいけど、この異世界にはプリンターなんてないからな。コピーできないのが少々、残念だな。」

 僕がエロ写真の販売顧客リストや帳簿をコピーできないことを残念に思っていると、イヴが僕に言った。

 「コピーの作成なら、妾に任せるがいい、婿殿。このエロ写真の販売顧客リストと帳簿のコピーを作ればよいのだろ?単純な数字や文字を羅列した本の複製品を作ることなど、妾には容易いことだ。何セットほど、コピーを作ればいい?」

 「そんなこともできるのかい、イヴ。さすがは闇の女神だよ。じゃあ、販売顧客リストと帳簿、計4冊のセットを、100セットほど作ってもらえることはできるかな?」

 「了解だ、婿殿。しばし、待っていろ。」

 イヴはそう言うと、千里眼の能力を使って、エロ写真の販売顧客リストと帳簿をじっと見つめ、解析を始めた。

 そして、2分後、解析を終えたイヴが、右手の指をパチンと鳴らした。

 その直後、紐で括られたエロ写真の販売顧客リストと帳簿のコピー、100セットが、一瞬で僕たちの目の前に現れた。

 イヴが複製した、エロ写真の販売顧客リストと帳簿のコピーを、原本の内容と見比べると、一目見ただけで原本と見た目も内容も遜色なく、完璧にコピーされていることが分かった。

 「ありがとう、イヴ。完璧なコピーだよ。後はこれを世界中にバラまけば、世界中のクズどもをぶちのめすことができる。本当にありがとう。」

 「この程度のこと、妾にとっては造作もない。複雑な構造を持つ物体や生物の複製は簡単にはできないが、単純な構造物の複製はすぐに可能だ。真の勇者である婿殿の妻として、闇の女神として、婿殿を常にフォローするのは当たり前のこと。これからも遠慮なく、この妾を頼るがいいぞ、婿殿。」

 「ハハっ、では、これからも遠慮なく頼りにさせてもらうよ、闇の女神様。」

 僕とイヴは笑い合った。

 「グヌヌヌっ、またしてもイヴさんの抜け駆け的アピールを許してしまいました。私ももっとお役に立てることを証明せねば。」

 「闇の女神の力と知識はやはり侮れない。イヴ、油断できない女。私ももっと丈君のために頑張る。」

 イヴの自慢気に主人公へのアピールを成功させた姿に悔しがる、玉藻と鵺であった。

 僕は、エロ写真の販売顧客リストと帳簿の原本、それとイヴが複製したエロ写真の販売顧客リストと帳簿のセットを、アイテムポーチへと収納した。

 それから、ワイヒーの屋敷内をさらに探索し、エロ写真の撮影用のスタジオがある部屋にて、ワイヒーや沖水たちがエロ写真の製作に使っていたダゲレオタイプカメラを回収した。イヴがカメラに興味があると言うので、渡すことにした。

 後、ワイヒーの屋敷内にあったエロ写真だが、全て木っ端微塵に破壊して処理した。

 ワイヒーの屋敷内の調査を終えると、僕たちは「海鴉号」へと戻った。

 「海鴉号」のメインキャビンでは、酒吞、エルザ、グレイ、マリアンヌ、メルの五人が、僕たち三人の帰りをソファーに座って待っていた。

 メインキャビンへと入ると、僕はみんなに声をかけた。

 「ただいま、みんな。ワイヒー・ライアーの屋敷の調査をしてきたよ。実は是非、みんなにも見てもらいたいものがある。特にマリアンヌ、エルザ、グレイの三人にだ。これから僕が見せる、あるモノをよく見てほしい。世界レベルのスキャンダルに発展する情報だ。」

 僕はそう言うと、エロ写真の販売顧客リストと帳簿のコピー4セットをアイテムポーチから取り出し、酒吞、エルザ、グレイ、マリアンヌの四人に渡した。

 「それは、死んだ元「槍聖」たちとワイヒー・ライアーが作ったエロ写真を販売する裏ビジネスの、ワイヒーが記録したエロ写真の販売顧客リストと帳簿の写しだ。特に、販売顧客リストをよく見てほしい。三人もよく知っている人間の名前が載っているぞ。」

 僕が渡した顧客リストと帳簿の写しをじっと読む四人であったが、自分たちのよく知っている人物の名前を発見した途端、驚きの表情へと変わった。

 特に、マリアンヌはひどいショックを受けた様子だ。

 「そ、そんな!?お父様がエロ写真を買っていたと!?闇ギルドから違法ポルノを大量に購入していたなんて!?こ、こんなこと、う、嘘です!?嘘ですよね、ジョー様!?」

 「残念だが、事実だ、マリアンヌ。疑うなら、原本の方も見せてやる。間違いなく、ワイヒー・ライアー本人の筆跡だと、詳しく調べればすぐに分かるはずだ。その顧客リストと帳簿の写しは、イヴが正確にコピーしたものだ。改竄は一切されていない、嘘偽りない、情報だ。お前のクソ親父の国王は、闇ギルドから大量のエロ写真を購入していた。100億リリアもの大金を使って、違法ポルノを購入していた。エロ写真のモデルは全て、闇ギルドで違法に売買される女性の奴隷たちだ。お前の親父は、国王でありながら、闇ギルドの違法な奴隷売買を黙認していただけでなく、加担していたことになる。お前のクソ親父だけでなく、インゴット王国の宰相や大臣、貴族、騎士、役人たちの名前も、その顧客リストに書かれていた。連中が払った金額も相当だが、連中が買ったエロ写真の内容も相当、悪趣味だ。お前が崇拝する女神リリアに似た女性をモデルにしたエロ写真なんて、最高価格で売買され、お前のクソ親父たちはこぞって買っていたようだぞ。マリアンヌ、ショックを受けているところ悪いが、お前は今すぐにでも国に帰って、お前のクソ親父の国王も含め、この顧客リストに載っている、エロ写真を買った連中を早急に粛清して、国の立て直しを行った方が良いんじゃないか?元勇者たちの討伐は僕たちに任せて、王国の腐敗を取り除くことの方が、お前にとっては大事なんじゃないか?このスキャンダルが明るみになれば、国王の辞任を巡って、大きな内乱だって起こりかねない。そうなったら、僕がお世話になったインゴット王国の人たちが内乱に巻き込まれることになりかねない。インゴット王国だけでなく、世界中でもこのエロ写真の顧客リストの情報が公開されることで、大波乱が起きる可能性がある。クソ親父やリリアとよく話し合った上で、この先、自分がどう進むか、決めるんだな。相談に乗って欲しければ、いつでも聞いてやる。辛口にはなるけど。」

 ショックを受けて、俯くマリアンヌに向かって、僕はそう言った。

 「すみません。少し、別室にて休ませていただきます。」

 マリアンヌは暗い表情を浮かべながら立ち上がると、船のステートルームへと歩いていった。

 一方、エロ写真の販売顧客リストと帳簿の写しを見たエルザとグレイも、その内容に驚きを隠せず、怒りを露わにした。

 「何と言うことだ!?我がペトウッド共和国にも、あの下劣な変態食人鬼どもの作ったエロ写真を購入する不届き者がおろうとは!?ユリウス・アポロ・ホーク、ガッツ・ロック・モンキー、ライブラ・マギ・フォックス、いずれも鷲獣人派、猿獣人派、狐獣人派を率いる筆頭貴族たちの次期当主候補、現議員のご子息だ。他にも、彼らと親しくしている者たちの名前まで書かれている。我が国の未来を担う人材と呼ばれる者たちが、闇ギルドから違法ポルノを大量に購入していたなど、大スキャンダルだ。我が国の将来をも揺るがす大不祥事だ。現ペトウッド共和国最高議会議長として、直ちに本国に連絡し、連中全員を逮捕させねば。闇ギルドに加担する悪党どもは全員、成敗してくれる。」

 「まさか、アイツらまでエロ写真を買っていたとは驚いたぜ!?ガッツの野郎は、巨乳の猿獣人の若い女、ライブラの野郎は、長髪の狐獣人の30代後半から40代前半の大人の女、のエロ写真を買ったとあるぜ。ユリウスの野郎に至っては、11歳から12歳の可愛い女の子のエロ写真を買ったとあるぜ。ユリウス、アイツ、ロリコンだったのかよ。どうりでイケメンでモテる癖に彼女がいないわけだ。アイツのファンだった女子たちはみんな、幻滅するだろうな。連中とつるんでいた奴らの名前も書いてあるぜ。あんなエロ写真に何千万も払ってるとか、マジでどうかしてるぜ。今すぐ国に帰って、アタシの槍で連中を全員、串刺しにして、地獄に送ってやりたい気分じゃんよ。どうせなら、去勢してから地獄に送るか?」

 「エルザ、グレイ、二人もショックだろうが、その顧客リストの情報は全て真実だ。元「槍聖」たちやワイヒー、闇ギルドの悪事に、ペトウッド共和国の人間で加担する者がいたことは事実だ。違法なエロ写真の製造のために、大勢の女性たちが傷つけられ、犠牲になった。二人も闇ギルドから奴隷を救出して、エロ写真売買の裏ビジネスのおぞましい闇の実態をその目でよく見たはずだ。エロ写真を買った人間のクズどもは世界中にたくさんいる。二人にも、世界中のクズどもを一掃するのに手を貸してほしい。」

 「承知したぞ、ジョー殿。直ちに本国にいる父上たちに連絡して、このリストに載っている連中を逮捕させる。」

 「アタシも親父に連絡して、エロ写真を買った変態のクズどもをすぐに捕まえるよう、頼むぜ。狼獣人派総出で、クズどもを捕まえてやるじゃんよ。」

 「ありがとう、二人とも。この後、イヴに頼んで、各国政府と各メディアに、このエロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しを送ってもらう予定だ。よろしく頼むよ。」

 僕はエルザとグレイにそう言うと、イヴに指示した。

 「イヴ、負担をかけてすまないが、各国政府と各メディアに、このエロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しのセットを、至急送るのに協力してくれ。世界中のクズどもを一掃して破滅させる大チャンスだ。そうだ。ついでに、このエロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しのセットの一つを、リリアの奴に送りつけることはできないか?自分の管轄するアダマスで、自分の加護を与えた人間たちが、元「槍聖」たちの作った違法ポルノのエロ写真を嬉々として買っていた、しかも、自分の姿を模した女性の裸のエロ写真を信者たちが大金を払って買っていたと知れば、きっと悶絶するに違いない。お前が適当に勇者を選んだり、適当に世界を管理したりしているから、お前のご自慢の世界も人間も堕落して腐敗したんだ、という皮肉を込めた最高の嫌がらせのメッセージにならないか?」

 僕がニヤリと笑みを浮かべると、イヴも口元にニヤリと笑みを浮かべ、笑った。

 「クックック、それはナイスアイディアだ、婿殿。自分の信者である人間たちが、元「槍聖」たちの作った違法ポルノを買い、おまけに自分によく似た奴隷の女たちをモデルに作られたエロ写真に大金を払って購入し、自分に見立てて性の捌け口に使っていたと知れば、怒りと羞恥のあまり、あの馬鹿女が悶絶すること間違いなしだ。さすがは妾の婿殿だ。あの馬鹿女のリリアへの情け容赦ない復讐心と、えげつなさは見事だ。せっかくならば、エロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しのセットを10,000セット追加で作って、神界中にバラまくのも良いな。神界の神たちがアレを見たら、馬鹿受け間違いなしだ。リリアは神界の神々から笑い者にされることだろう。」

 「いいねぇ。イヴ、是非、神界にもエロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しのセットをばらまいてくれ。1万でも10万でも、やりたい放題ばらまけばいいよ。リリアの奴に大恥をかかせられるなら、とことんやるに越したことはない。早速、頼むよ。」

 「了解だ、婿殿。クククっ、今から期待で笑いが止まらん。」

 僕とイヴは、リリアを追い詰めるため、破滅させるための計略を思いつき、共に笑みを浮かべるのであった。

 「クソ女神も、クソ国王も、他のクズどもも、丈を本気で怒らせて敵に回すなんて、本当に馬鹿だぜ。丈は他人の命や尊厳を弄ぶ、外道だけは絶対に許さない性分だ。正義と復讐のためなら、丈は連中の喉元に噛み付き、地獄の底まで引きずりこもうとする執念を持ってんだ。エロ写真なんぞのために破滅へと追い込まれるなんて、本当に救いようのない、ゴブリン以下の外道どもだぜ、まったく。」

 エロ写真の顧客リストを片手に持ち、僕とイヴが悪だくみをする姿を見ながら、酒吞が一人、呟いた。

 「エロ写真を買った世界中のクズどもめ、今にお前たちは全世界の敵、特に全世界の女性たちから目の敵にされることになる。沖水たちや闇ギルドの悪事に加担した、相応の報いだ。お前たち全員、社会的に抹殺してやるよ。後、リリア、お前もせいぜい、僕たちからのメッセージ付きのプレゼントを見て、苦しむがいい。お前への復讐はまだまだ続くから、期待して待ってろ。」

 僕は、エロ写真売買の顧客リストと帳簿の写しが世界中にバラまかれ、エロ写真を買ったクズどもが一掃される様を想像し、笑みを浮かべた。

 リリアが悶絶する姿も想像し、リリアへの復讐がまた一歩、前進することを喜ぶのであった。

 それから、僕はイヴに協力してもらって、世界各国の政府と各メディアに、エロ写真売買の裏ビジネスの顧客リストと帳簿の写しを送った。

 ラトナ公国のクリスと、ズパート帝国のナディア医師に連絡し、闇ギルドから違法なエロ写真を買った者たちを逮捕、粛清するよう、呼びかけた。

 僕が世界中にバラまいた、エロ写真の販売顧客リストと帳簿の写しが、世界中で大きな波紋を呼び、世界各国で大捕り物が行われる事態にまで発展することになったのであった。

 異世界の悪党全員に復讐する。

 僕の異世界への復讐に情けは一切ない。

 大勢の罪のない女性たちを傷つけ、犠牲にした、元「槍聖」たちの作った悪しき産物であるエロ写真を買った人間のクズどもは全員、ぶちのめす。

 異世界のクズどもよ、社会的抹殺という名の処刑をたっぷりとその身に味わうがいい。

 













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