第十二話 主人公、凱旋する、そして、異世界の真実を知る
僕たち「アウトサイダーズ」が新皇帝を倒し、そして、「土の迷宮」を攻略し、さらに「聖女」たち一行を倒した日のこと。
無事、ほとんどの仕事を完了した僕たちは、新しい仲間、闇の女神イヴとともに、「土の迷宮」前から移動用の魔法陣を使い、ズパート帝国帝都の帝城へと戻った。
魔法陣のある帝城の地下の部屋から階段を上がり、僕たちは一度、王の間へと向かった。
ナディア医師より、王の間にある初代皇帝の肖像画を回収するよう依頼を受けていたからだ。
僕たちが帝城の宮殿の一番中央にある王の間へ向かうと、ナディア医師にオネスト宰相、それに皇女派の貴族たち数人が、王の間へと先に来ていた。
僕はナディア医師に声をかけた。
「お疲れ様です、ナディア先生。ご依頼通り、帝城は制圧し、皇帝も倒しました。それから、「土の迷宮」攻略に向かっていた「聖女」たち一行も全員、始末しました。もう、この国の平和を脅かす暴君もテロリストもいません。どうか、安心してください。」
「お疲れ様、ジョーさん。こちらも帝都にいた皇帝派の貴族たちを全員捕縛して、ついさっき城に着いたところよ。皇帝派の連中は、私たちがクーデターを起こして、おまけにあなたたちの奇襲で帝城が破壊されていくのを知って、全員戦いもせずに逃げ出そうとしていた有り様で、あっさりと捕まったわ。まぁ、城が破壊されて、城から騎士たちの悲鳴が大音量で聞こえていたから、連中がすぐに逃げ出すのも分からなくはないけど。それはそれとして、ジョーさん、私、言いましたよね!帝城は一応、私の実家だって!極力壊さないようにとお願いしていたのに、どうして城が崩壊寸前なのよ!?中央の宮殿以外、城はほぼ滅茶苦茶よ!あなたたちだけに城攻めを依頼した私たちにも非はあるけれど、物事にも限度って言うものがあるでしょうが!こんなボロボロにされたら、政府機関としてしばらく使い物にはならないわ!やり過ぎという言葉を知らないの、あなたたちは!?」
ナディア医師に労いの言葉と同時に、帝城を崩壊寸前の状態まで破壊してしまったことを怒られてしまった。
「す、すみません、ナディア先生。僕たちも敵を倒すのに必死だったもので、わざとではないんです。それに、回収を依頼されていた初代皇帝の肖像画があるこの中央の宮殿だけは破壊しないよう、細心の注意を払いました。宮殿も肖像画も傷ひとつ付けていません。どうか、許していただけないでしょうか?」
「皇女様、ラトナ子爵殿を許して差し上げてください。子爵殿たちがいなければ、いずれ我が国はサリム殿下の暴政によって滅んでいたかもしれないのです。城が壊れた程度で国の平和を取り戻せたのなら、むしろ安いものと言えます。それに、皇女様も本気で子爵殿にお怒りではないのでしょう。ずっと我々とともに子爵殿が無事、ダンジョンから帰還されるのを心配して待っておいでではありませんでしたか。子爵殿を叱るのはそれくらいでお止めください。」
「それくらい、私も分かっています、オネスト宰相。コホン。ジョーさん、城を壊したことには目を瞑ります。あなたやあなたのお仲間の活躍がなければ、クーデターは成功しなかったはずですしね。ただ、やり過ぎないよう、今後注意はしてください。」
「ありがとうございます、ナディア先生。おっと、初代皇帝の肖像画ですが、今持ってきますので、ちょっと待っていてください。」
オネスト宰相にフォローしてもらい、ナディア医師の怒りを鎮めることに成功した僕は、王の間の一番奥、玉座の後ろにある初代皇帝の肖像画を壁から外して、ナディア医師たちの下へと持っていった。
「回収のご依頼のありました、初代皇帝の肖像画です。どうぞ、お受け取りください。」
僕は肖像画をナディア医師へと渡した。
「ところで、先々代皇帝がナディア先生に、自分に万が一のことがあった時はこの肖像画を見るように、生前そう仰っていたそうですが、一体、この絵にどんな秘密が隠されているのか、気になりますね。」
「そうね。見たところ、普通の絵にしか見えないわね。父が何かしらこの絵に私宛てのメッセージか何かを残しているはずなんだけど、見た目には分からないわね。」
「絵の裏側に何か書いてあったりしませんか?もしくは、額を外してみるのはどうでしょうか?額の中に何か入っているかもしれません。」
ナディア医師は額に入った肖像画をひっくり返した。
額の裏側には何も書かれていなかった。
次に、肖像画から額を外してみた。
すると、絵と額の間に、赤い蝋で封がされた白い封筒がでてきた。
中には一通の手紙が入っていた。
手紙を読みながら、ナディア医師は涙を流し始めた。
手紙には次のような内容が記載されていた。
「遺言状
我が愛する家族、我が祖国の愛する民たちへ
私、アフマド・ムハンマド・ズパートが死亡した場合、ズパート帝国の皇帝の地位は我が娘、ナディア・ムハンマド・ズパートに継承させることとする。
皇家の所有する財産の9割を、我が娘ナディアに相続させる。
尚、長兄である我が息子、サリム・ムハンマド・ズパートの王位継承権は永久に剥奪し、代わりに帝国北部にある皇家の領地と屋敷を与え、領地経営に励むよう厳命する。
我が娘、ナディアとともに、ズパート帝国の発展と平和に尽くしてもらうよう、我が愛する民たちにお願いする。
最後に、我が愛しき娘ナディアよ。
お前は私の人生において唯一無二の誇りであり、宝である。
もし、お前が皇帝ではなく医師としての道を歩むことを望む場合、皇帝の地位はお前が選んだ人間に継承させることを許す。
お前が幸せであることを父として私はいつまでも願っている。
アフマド・ムハンマド・ズパートより」
手紙は先々代皇帝からの遺言状であり、自分の死後、ナディア医師に皇帝の地位を継承させること、前皇帝であったサリム・ムハンマド・ズパートから王位継承権は永久に剥奪すること、ナディア医師やズパート帝国の国民への思いなどがつづられていた。
手紙の内容を知って、僕たちはしばし沈黙した。
ナディア医師や皇女派の貴族たちは、手紙の内容を知って皆、涙を流していた。
もし、「聖女」たち一行がズパート帝国に来て死の呪いをばらまかなければ、前皇帝サリムが暴走しなければ、先々代皇帝からの遺言状がすぐに発見されていれば、「聖女」たち一行と前皇帝サリムによる悪事も、500万人もの大勢の人間が殺される悲劇も未然に防げていたかもしれない。
あくまで一つの可能性の可能性に過ぎないけれど。
ナディア医師が落ち着き始めたタイミングで、僕は声をかけた。
「ナディア先生、お辛いとは思いますが、どうか元気を出してください。先々代皇帝は、先生のお父さんはあなたや国民のこと、国のことをとても大事に思っている、素敵な方だったんだなと、僕は思いました。これから色々と大変でしょうが、ナディア先生と一緒にこのズパート帝国を守っていきたい、そう思っている人たちはたくさんいます。先生なら、きっと帝国を立て直すことができると、僕は信じています。」
「ぐすん。ありがとう、ジョーさん。私、頑張るわ。きっと、この国を建て直して見せる。父の愛したこの国を守りぬいてみせるわ。」
「頑張ってください。それでは、僕たちはこれにて失礼させていただきます。次の目的地が決まるまで、当分の間、この国に滞在する予定です。僕たちで何かお手伝いできることがあったら、いつでも声をかけてください。では、失礼します。」
僕たちはナディア医師たちと別れ、帝城を後にした。
冒険者ギルドへと戻ると、イヴ以外のメンバーには僕の部屋へと先に向かってもらい、僕はイヴの冒険者登録と、イヴの宿泊する部屋をとる手続きを行うことにした。
「イヴ、君の冒険者登録をしたいと思うんだけど、君が闇の女神だとバレる可能性もある。冒険者登録をしない方がいいなら、登録はしないけど、どうする?」
「冒険者登録か。別に構わんぞ。ステータス鑑定をごまかすことなど、妾には容易いことだ。まぁ、見ているがいい。」
イヴは僕に小声でそう言うと、ギルドの受付嬢に向かって言った。
「受付嬢、妾の冒険者登録を頼む。」
「かしこまりました。では、こちらのステータス鑑定用の水晶玉に手をかざしていただけますでしょうか?」
受付嬢に言われ、イヴは水晶玉に手をかざした。
ステータスの鑑定結果を見て、受付嬢は驚きの声を上げた。
「ええっ!?ジョブとスキルがない!?「アウトサイダーズ」の皆さんの多くがジョブとスキルが分からない特異体質であることは存じておりますが、またもこのような方が現れるなんて!?困りましたね。ジョブとスキル、レベル等が分からないとなると、Fランクからのスタートという形になりますが、よろしいでしょうか?」
「妾は別に構わん。登録さえできればそれでいい。それと、妾も婿殿と同じ「アウトサイダーズ」のパーティーメンバーとなる。パーティーへの登録、よろしく頼むぞ。」
「かしこまりました。登録とギルドカードの発行をいたしますので、少々お待ちください。」
「すみません。ついでに彼女の宿泊する部屋もとりたいのですが、よろしいでしょうか?一人部屋が空いていたらお願いします。」
「なぜ、妾が婿殿と別々の部屋で寝泊まりせんといかんのだ?婿殿と同じ部屋に妾は泊まる。妾の部屋は不要だ、受付嬢よ。」
「文句を言わない。僕も他の皆も一人部屋だ。君と同室で寝泊まりする気はないし、他の皆が、まだ信用しきれていない君と僕が同室で寝泊まりすることに絶対、反対する。ともかく、君と同室は却下だ。すみません、受付嬢さん。一人部屋を追加でもう一部屋お願いします。」
「かしこまりました。」
こうして、イヴの冒険者登録と、彼女の寝泊まりする部屋をとる手続きが終わった。
イヴのギルドカードを確認すると、次のように記載されていた。
ネーム:イヴ
パーティーネーム:アウトサイダーズ
ランク:F
ジョブ:なし
スキル:なし
「僕と同じ、ジョブもスキルもなし、か。ステータス鑑定をごまかせるなんて、本当にすごいな。」
「女神である妾にとって、ジョブとスキルの鑑定をごまかすことは造作もないこと。なぜ、ステータス鑑定をごまかせるのか、婿殿は気になってしょうがないだろうが、それはこれから妾の話を聞けばすぐに分かることだ。ひとまず、婿殿の部屋へ案内してくれ。」
僕はイヴを連れて、ギルドの二階の宿泊所の、自分の宿泊している部屋へと向かった。
ドアを開けると、玉藻たち五人が僕とイヴが来るのを待っていた。
「お待たせ、みんな。それじゃあ、夕食前にこの世界の真実について、イヴから話を聞くとしよう。イヴ、椅子でもベッドでも好きなところに腰かけてくれ。」
イヴが窓側の空いている椅子へと腰かけた。
僕はベッドに座ると、他の五人同様、イヴが話し出すのを待った。
「では、婿殿たちにこの世界、アダマスの真実を話すとしよう。全ては20万年前から始まった。」
イヴは僕たちに話を始めた。
「まず、妾とリリアの関係について説明しておこう。妾とリリアは、実の姉妹なのだ。妾が姉で、リリアが妹だ。妾たち姉妹は神界と呼ばれる別世界に住む、不老不死の肉体と不滅の魂を持ち、全知全能と呼ばれるほどの力を持った神と呼ばれる種族だ。妾たち姉妹は20万年前、後にアダマスと呼ばれるこの世界、この惑星を育むことを目的に来訪したのだ。」
イヴと光の女神リリアが実の姉妹、そう聞いて僕たちの間に緊張が走った。
「そう怖い顔をするでない。リリアの奴とは実の姉妹ではあるが、とっくの昔に縁は切れている。あの馬鹿女と姉妹だと言われるだけで虫唾が走る。ともかく、最後まで妾の話を聞くがいい。神界に住む神々の中には、別世界に存在する惑星の生命を育むこと、自分たち以外の知的生命体の誕生や進化に興味を抱く者たちがいた。ちなみに、婿殿がいたチキュウと呼ばれる惑星は、妾たち神が最初に知的生命体を育むことに取り組んだテストケースでもある。話を戻すと、妾とリリアの二人は他の神々に倣い、20万年前、まだ知的生命体が誕生していないこの惑星へと訪れた。そして、アダマスと名付けたこの惑星を二人で育んでいくことを決めた。」
イヴは一拍置くと、話を続けた。
「この惑星には他の惑星にはない、魔力と呼ばれるエネルギーが惑星の核から溢れ、循環していた。この魔力の存在が、アダマスの生命の進化へとつながった。後に「世界樹」と呼ばれるユグドラシルが誕生し、ユグドラシルによって生命の生存や進化に欠かせない、新鮮な大気と、より高純度の魔力が惑星全体に供給され、生命の進化を加速させることとなった。そして、五万年前、ついにヒトと呼ばれる知的生命体が誕生した。ヒトと呼ばれる知的生命体は、人間、獣人、魔族の三つに分かれ、それぞれ繁殖を始めた。神である妾が特に注目した知的生命体が現在、魔族と呼ばれる種族だ。魔族は、人間や獣人よりも肉体が発達し、最も頭が良かった。内蔵する魔力量も多く、何より争いを好まない、高い理性を宿した、妾にとっても理想的とも言える、正に優れた知的生命体であった。妾は魔族こそ、アダマスをけん引する真のヒトと呼べる知的生命体であると考えた。だが、リリアの奴は違った。リリアは魔族の容姿を醜い、悪魔に似ているなどと言って、魔族を嫌っていた。婿殿は魔族がどんな容姿をしているか、知っているか?」
「いや、全く知らない。インゴット王国の国王たちは魔族のことを、人間の絶滅を企む恐ろしい怪物のように言っていたが、僕にはどうも国王たちの話が胡散臭く聞こえてさ。大して人間とは変わらない、そんなに恐ろしい存在じゃないとは思っていたけど、魔族の容姿については特に気にしたことはなかったよ。」
「婿殿の思っている通り、魔族は人間と大差ない容姿をしている。違いと言えば、皆、黒い肌をしていることと、頭から山羊に似た二本の角を生やしているぐらいだ。それ以外は、見た目は全く人間と同じだ。それなのに、リリアの奴は魔族を容姿だけで差別するような発言を言い始めた。妾は当然怒り、リリアへ何度も注意を行った。リリアが魔族を差別するような発言を言い始めた時点で、アダマスの育成から遠ざけるべきだったと、妾は今も後悔している。魔族に対し期待を抱いた妾は、魔族の知的生命体としての進化を促進させるため、魔族にジョブとスキルを与える術式を開発し、女神として魔族の前に降臨し、魔族にジョブとスキルを与えた。結果、魔族は妾が与えたジョブとスキルを使いこなし、知的生命体としてさらなる進化を遂げた。戦争もせず、文明を発展させていく平和主義の魔族を見て、妾はとにかく嬉しかった。魔族と交流を持つことで、人間や獣人たちも知的生命体として徐々に進化していくようになった。妾の思い描いたとおりに、アダマスというこの惑星と、そこに住むヒトたちは順調に育っていった。すまんが、水を一杯もらえるか?」
イヴに言われ、僕は水の入ったコップを渡した。
水を飲むと、イヴはさらに話を続けた。
「しかし、リリアの奴はそれを面白く思ってはいなかった。アヤツは妾に、魔族だけにジョブとスキルを与えるのは不公平だと、妾が人間と獣人を差別していると、非難し始めた。人間と獣人は魔族に比べ、数は多いが、魔族ほど高い知性と理性を持っておらず、好戦的な性格を持っていたため、妾は人間と獣人にジョブとスキルを与えることに懸念があった。人間と獣人が魔族と遜色ないほどの進化を遂げた段階でジョブとスキルを与えても遅くはないと言ったが、リリアの奴は断固として妾の意見に反対した。妾は仕方なく、リリアの奴に、人間と獣人にジョブとスキルを与える術式を教えた。リリアは人間と獣人の前に女神として降臨し、妾から教わった術式を使って、ジョブとスキルを与えた。確かに、リリアからジョブとスキルを与えられ、人間と獣人はさらに進化した。けれども、リリアは、ジョブとスキルを与える術式を完全には再現しきれず、そのため、人間と獣人は魔族のモノより数段性能が劣る、中途半端な性能のジョブとスキルを持つこととなった。その影響もあって、人間と獣人の中には能力で勝る魔族に対し、次第に嫉妬心を抱く者が現れた。リリアの与えたジョブとスキルを使って、人間同士で争うようになった。リリアは不完全で劣悪な模倣品とも言えるジョブとスキルをばらまいて、この惑星の知的生命体の進化をかえって邪魔したことになる。妾の懸念通りの事態になったわけだ。リリアはその事実が受け入れられず、妾と距離をとるようになった。リリアはやがて、妾と魔族の存在を目障りに思うようになった。そして、妾と魔族を排除し、リリア自身を唯一神とし、自身が加護を与えた人間と獣人だけが神に選ばれた完璧な知的生命体としてこの惑星に君臨する、という考えを抱くようになった。それから、己の狂った願望を実現するため、リリアは秘かに行動を始めた。」
イヴは水を一口飲むと、話を再開した。
「リリアは妾に、魔族と人間が戦争になった場合、人間が絶滅しないよう、人間を守るための人間専用の武器を作ってほしいと、妾に頼んできた。妾が魔族に与えた「魔王」を始めとする、魔族の持つジョブとスキルは、人間と獣人が持つモノよりはるかに性能を上回り、魔族の方が人間と獣人より圧倒的に戦力が上であった。妾は魔族を大事に思っているが、人間と獣人のことも大事に思っている。人間たちの絶滅は妾も望んではいなかった。妾は基本的な戦闘職系のジョブに合わせ、それらのジョブとスキルを強化し、活かすことができる武器を七つ、開発した。それらが、各ダンジョンに眠り、「七色の勇者」専用と呼ばれている武器、聖武器なのだ。聖武器を開発したのも実は妾なのだ。リリアは後から聖武器にちょこちょこ改良を施しただけで、アヤツ自身は聖武器を作る知識も腕もない。それと、聖武器は別に勇者専用ではない。対応するジョブとスキルを持ってさえいれば、誰にでも扱うことができるし、あくまで使用者のパワーアップを促進する機能を実装した武器の試作品に過ぎんのだ。まさか、「七色の勇者」などというくだらんジョブとスキルを作り、勇者を名乗る人間たちに聖武器などと言って、妾の作った試作品の武器を渡すことをあの馬鹿女が考えていようとは、思ってもいなかった。」
イヴの話は中々、衝撃的な内容であった。
ジョブとスキルを開発したのも、聖武器を開発したのもイヴであって、光の女神リリアは、不良品のジョブとスキルを人間と獣人に与え失敗した挙句、自分の失敗を認めず、自分の失敗を無かったことにするため、イヴと魔族を排除することを考え、そのためにイヴに試作品の武器である聖武器を作らせ、勇者とともに自身の計画に利用しようとしたとは、全くもって身勝手なキチガイのクズである。
「聖武器って、勇者以外でも使えたんだな。というか、ジョブとスキルを作ったのも、聖武器を作ったのもイヴだったとは驚いたよ。ステータス鑑定をごまかせた理由が分かったよ。開発者本人だから、ジョブとスキルをごまかせて当然だ。話を聞く限り、リリアの奴はイヴの真似をして失敗した挙句、聖武器や勇者を使って、自分の失敗をごまかして、自分にとって都合の良い世界を作ろうとした、最低のクズ野郎にしか聞こえないな。何が光の女神だ、自称女神の詐欺師だろうが。本当に碌でもない奴だ。」
僕はイヴから話を聞いて、光の女神リリアへの怒りを口にした。
「婿殿の言う通り、リリアは碌でもない女なのだ。妾はある日、ズパート帝国の初代皇帝のピラミッドに、ズパート帝国の画家が描いた、妾とリリアを称える面白い壁画があるので、共に見に行こうと、リリアに誘われた。喧嘩をすることも多かったが、妾はリリアのことを妹として愛していた。少しでも離れがちだった距離を縮められるならと、リリアの誘いに乗った。妾はリリアとともに、妾たち姉妹の壁画があるという、ズパート帝国のピラミッドへと向かった。そのピラミッドこそ、婿殿が攻略した「土の迷宮」だ。そして、妾はリリアに連れられ、壁画を見に行った。妾が壁画に見入っている時、リリアが秘かに壁画へと施した、封印の術式を作動させた。まさか、壁画に妾を封印する術式が施されているとは思わなかった。リリアの施した封印の術式は、妾の存在と妾の力を封じ込める強力なモノであった。リリアにあれほどの封印の術式を作れるとも思っていなかった。まぁ、もしかすれば、他の神に教えてもらったモノかもしれんが。妾はそれから3,000年以上の長きに渡って、リリアに騙され、封印されるハメになった。その間に、リリアの奴は妾が魔族と結託し、人間たちを滅ぼそうとしていたなどというデマを流し、人間たちに魔族殲滅を呼びかけ、人間と魔族が争うよう仕向けた。異世界から召喚した勇者たちと聖武器を使い、魔族殲滅を本格化させた。外部から完全に遮断された妾にはどうすることもできなかった。だが、そんな妾にもチャンスが訪れた。50年ほど前から、徐々に封印に綻びが生じ始めたのだ。妾はほんの少しずつだが、外部に干渉できるようになった。千里眼を使い、妾が封印されている間に起こった出来事を調べ上げた。リリアの奴は碌に封印の整備に来ない上、時間は大いにあった。おかげで、リリアが魔族殲滅という己の狂った計画を実行するため、人間や獣人たち、異世界から呼んだ勇者たちを使って、魔族と長きに渡って戦争を行わせていること、魔族がいまだ滅んでおらず、健在であることを知った。それから、ついに妾にリリアへの反撃の時が来たのだ。そう、婿殿、そなたが異世界から召喚されてきたことだ。」
「僕が勇者召喚でこの世界に来たことが反撃のチャンスだった?でも、僕はあの時、まだ霊能力が覚醒していなかったし、リリアからジョブとスキルも与えられていなかったんだぞ?君の反撃のチャンスを作るのに協力できるような力はなかったはずなのに、どうして君は僕に目を付けたんだ、イヴ?」
「妾はリリアが大規模な勇者召喚を計画していることを察知した。そこで、妾は召喚される勇者たちの中に、妾の協力者となる人物が現れることを期待した。妾にとっても半分以上は賭けであった。妾の協力者となるからには、高い潜在能力と、善悪を正しく判断できる心の持ち主が必要であった。続々と異世界から異世界人が召喚されてくる中、婿殿だけが違った。婿殿の内側の奥深くには、とてつもない力が眠っていることは妾にはすぐに分かった。リリアの奴は全く分かっていないようだったが。精神も、どの異世界人よりも澄んだ心を持っていることが分かった。妾はすぐに婿殿を自分の協力者とすべく、精一杯の力を振り絞り、リリアの妨害を行った。婿殿には迷惑をかけたが、婿殿がリリアからジョブとスキルを与えられなかったのは、妾が妨害したためだ。だが、代わりに妾の与えられる加護を目一杯与えた。そして、婿殿を見守り続けたのだ。」
イヴからのさらなる衝撃発言を聞いて、僕は言葉を失った。
イヴの言葉を聞いて、玉藻、酒吞、鵺の三人は殺気立った。
「どういうことです、イヴさん!?女神リリアから丈様が加護を受けないよう、妨害したことは分かります!ですが、なら、どうしてあなたは丈様にジョブとスキルを与えなかったのですか!?あなたのせいで、丈様は処刑されることになったのですよ!?
「イヴ、テメエ、なぜ、丈にジョブとスキルをやらなかった!?丈に適当なジョブとスキルを与えて、機会を見て接触だってできたはずだ!どうして、ジョブとスキルをやらなかった!?答えろ!」
「イヴ、あなたは丈君に加護を与えたと言った!だけど、丈君はジョブとスキルをもらえなかった!そのせいで丈君は能無しの悪魔憑きと侮辱され、処刑され死にかけた!なぜ、ジョブとスキルを与えなかったのか、納得のいく説明を求める!もし、納得できない理由だったら、あなたを殺す!」
怒る玉藻たち三人と、言葉を失った僕に対して、イヴは申し訳なさそうな表情を浮かべながら、僕たちに説明した。
「妾も婿殿にジョブとスキルを与えられるのであれば、すぐにでも与えたかった。だが、ジョブとスキルは女神がヒトに与えることのできる最大にして最高の加護なのだ。もし、妾が婿殿にジョブとスキルを与えれば、すぐにリリアに気が付かれたことだろう。例え人間の目は欺けても、妾の力が色濃くジョブとスキルに反映されるため、リリアの奴が気づいて婿殿をすぐに殺そうとしたに違いない。付け加えて、ジョブとスキルを与えられた人間は女神の管理下に置かれ、女神は自身の加護、ジョブとスキルを与えた人間の位置を正確に把握できる仕組みにもなっている。妾が仮に婿殿に剣士のジョブとスキルを与えたとしよう。妾の与えるジョブとスキルはオリジナル故、模造品のリリアのジョブとスキルより、成長過程によっては、リリアの管理下にないただの「剣士」が、「勇者」や「剣聖」を超える力を身に着ける可能性もある。違和感を抱いたリリアによって、途中で婿殿が妾の加護を与えられた人間であることを見抜かれ、暗殺される恐れもあった。それに、婿殿はレイノウリョクと呼ばれる強大な潜在能力を内に秘めていた。ならば、ジョブとスキルは与えず、婿殿自身の内に秘める力が覚醒、成長する方が良いと考えた。故に、妾は婿殿にジョブとスキルを与えなかったのだ。けれども、その代わりにいくつかの加護を与えた。異世界の言語を学習なしに理解できる加護、能力の成長を補正する加護、そして、肉体を失っても魂は妾の下に自動的に送られる加護だ。最後の加護さえあれば、婿殿は例え肉体が滅びても、魂さえ残っていれば、妾が新しい肉体を作り与えることで何度でも復活可能になるのだ。リリアに気付かれることなく、そして、異世界で生き残るために必要な加護を妾は封印されている身で、精一杯の力を振り絞って与えたのだ。婿殿は結果的に、妾にリリアから加護を受けるのを邪魔され処刑されたかもしれんが、まさか、悪魔憑きなどという世迷い言をインゴット王国の馬鹿な国王たちが信じ、愚かな勇者たちを使って召喚直後の婿殿を処刑しようとは妾も思ってもいなかった。だが、婿殿の潜在能力と、妾が与えた復活の加護さえあれば問題ないと判断した。玉藻、酒吞、鵺、お前たち三人が婿殿の体にとり憑いて、こちらの世界に渡ってきたことは想定外であった。しかし、婿殿に与えた異世界の言語を理解する加護はお前たちにも共有されている。妾の加護を得たことで、お前たちも異世界での生活が大分楽だったはずだ。妾がリリアの妨害をし、ジョブとスキルを与えなかったことが、婿殿をリリアの支配下に入ることを防ぎ、潜在能力を覚醒させ、「黒の勇者」と呼ばれるほどの実力者になることにつながったのだ。妾が婿殿をいかに大事に思っているか、妾の婿殿への愛の深さがよく分かったであろう。」
そう言って、イヴは僕にジョブとスキルを与えなかった理由を説明した。
イヴの説明を聞いて、玉藻、酒吞、鵺の三人は渋々、納得した様子ではある。
僕もイヴの説明を聞いて、ある程度納得がいった。
もし、イヴが、僕が光の女神リリアから勇者の加護を与えられるのを妨害してくれなかったら、僕は勇者たち同様、一生、クソ女神のリリアに支配される史上最悪、最低の異世界生活を送るハメになっていたかもしれない。
まぁ、玉藻たち三人はいたし、元々霊能力もあったから、折を見て反逆できた可能性もあるが。
しかし、リリアから勇者のジョブとスキルを与えられたら、常にリリアから監視されることになったわけだし、ジョブとスキルを与えられなくて本当に良かったと思った。
後、イヴが僕に、死んでも魂が無事なら、イヴの手に僕の魂が渡って、イヴが新しい肉体を作ってくれることで、何度でも復活できる加護までくれていたらしい。
つまり、僕は魂さえ無事ならば、何度でもイヴが復活させてくれるため、実質不死身らしい。
だけど、僕の魂を勝手に自分の所有物にできる加護はいかがなものだろうかと、少々複雑な思いがしてくるのであった。
自分の魂がいつの間にか他人の所有物にされている、というのは何というか、正直言って怖い。
僕は苦笑しながらも、頭の中に浮かんだ疑問をイヴにぶつけた。
「イヴ、君が僕をリリアから守ってくれたことには感謝する。本当にありがとう。ところで、いくつか質問をさせてもらいんだけど、いいかな?」
「何だ、婿殿?」
「どうして、リリアは自分だけで魔族を滅ぼそうとしないんだ?君に劣るとしても、一応女神なんだろ?女神の力を使えば、リリア一人でも魔族を滅ぼせるんじゃないか?なぜ、わざわざ異世界から異世界人を召喚させて、勇者の力を与えて魔族と戦わせる、そんな手間のかかることをするんだ?勇者だって、アダマスの人間から選んで現地調達した方が効率良さそうに思えるんだが?」
「婿殿の指摘は最もだ。これらはあくまで妾の推測だが、リリアが単に面倒くさがりな性格だからではないかと思う。人間と魔族の争いが始まった当初は、魔族は世界中に散らばっていた。そして、現在でも魔族は秘かに世界中で人間に気付かれることなく、活動している。「魔王」という強大な力を持つ守護者も魔族たちにはついている。自分だけで魔族を殲滅するのは女神と言えど、非常に手間がかかる。あの馬鹿女のことだ。魔族の血で自分の手を汚したくない、なんてことを考えているかもしれん。魔族は滅ぼしたいが自分でやるのは面倒臭い、だから、人間に勇者の力を与えて、自分の代わりに滅ぼさせようと考えついたのではないかと思っている。」
イヴはコップから水を一口飲むと、話を続けた。
「なぜ、リリアが異世界から異世界人を召喚させ、異世界人に勇者の力を与えるのか、それは己に対する人間たちの信仰心を守るためではないかと、妾は考えている。アダマスの人間、現地人に勇者のジョブとスキルを与え、万が一、現地人が勇者として魔族を滅ぼす活躍を示した場合、人間たちの信仰は一気に、魔族を倒した現地人の勇者へと集まる。人間たちの中には、リリアより現地人の勇者を信仰する者が現れる可能性がある。現地人の勇者と、その者の血統を信仰する動きが人間社会に現れ、リリアの女神としての価値が下がることになりかねない。自分が加護を与えた人間が、女神である自分よりチヤホヤされることを、あの心の狭いリリアが許すわけがない。そこで、異世界人の登場だ。異世界人はアダマスの人間たちにとっては、別世界の未知の存在。別世界の、得体のしれない未知の存在である異世界人は畏怖の対象だ。だが、リリアが魔族殲滅のために天から遣わした女神の使者として、勇者の力を与えた異世界人を派遣すれば、異世界人は女神の代行者にして別世界からやってきた恐れ多い存在、となる。異世界人たちも、自分たちを勇者と言う、女神に選ばれた特別な存在だと思い込み、リリアの忠実な操り人形へと化す。例え、異世界人たちが魔族を滅ぼしても、異世界人たちは女神リリアの加護と導きがあったおかげだと答え、リリアの奴を褒め称える。現地人の力ではなく、異世界人の力と女神の加護があったからこそ、魔族殲滅は成功した、そういう筋書きが出来上がる。光の女神リリアの存在失くして平和は訪れなかったと、人間たちは考える。リリアの人間たちへの信仰心は決して揺らぐことはなくなる。リリアの奴にとって、所詮アダマスの人間は自身をチヤホヤしてくれる、愛玩動物程度の認識でしかない。現地人が神である自分の脅威になることをリリアは許せない、その歪んだエゴが勇者召喚の儀式を生み出した、と妾は考えている。」
「現地人の自分に対する信仰心を守るためだぁ!?そんなくだらない理由で僕たち異世界人を無理やりこの世界に召喚して、勇者として利用しようとしただと!?ふざけやがって!誘拐した上に、広告塔や兵隊として僕をこき使おうなんて、舐めた真似をしてくれるじゃないか!イヴ、僕を今すぐリリアのいる場所に連れて行ってくれないか?今すぐこの手でリリアの息の根を止めてやる!」
リリアへの怒りを露わにする僕に、イヴは宥めるように言った。
「落ち着け、婿殿。婿殿の怒りはよく分かる。妾もすぐにでもリリアを殺してやりたい思いだが、あんな狂った馬鹿女でも一応、女神だ。妾同様、リリアも不老不死の肉体に不滅の魂、神の力を持った女神なのだ。妾と婿殿の力を合わせても、あの女を殺すことはできん。今は、の話だがな。それに、リリアは神界にいる。神界は、神以外の存在は決して入ることを許されていない。迂闊に婿殿が神界へ入れば、神聖な神の領域を犯した犯罪者として、他の神々に命を狙われることになる。妾やリリア以上の恐ろしい力を持った神に殺されることになりかねん。おまけに、妾の封印が解けて妾が脱走したことをリリアが気付けば、リリアは神界の自身の神殿に立てこもって、簡単には姿を現さなくなるはずだ。今頃、神殿の周りに外敵の侵入を防ぐ結界や、迎撃用の武器を設置して、守りを固めていることだろう。リリアへの復讐の時はいずれ訪れる。今は力を蓄え、準備を進めるのだ。婿殿がリリアを破滅へと導く時は必ず来る。妾を信じてここは我慢してくれ、婿殿。」
「分かったよ、イヴ。君の言葉を信じる。さすがは諸悪の根源。悪知恵の働くクソ女神だ。だが、必ず復讐してやる。例え神界にいようが、不滅の魂を持っていようが、僕は必ずお前に復讐してやる。お前を絶望のどん底に叩き落として破滅させてやる。待っていろ、リリア。」
「フフフ。その意気だ、婿殿。例えリリアがどんな小細工をしようが、妾と婿殿が力を合わされば、そんな小細工など無意味だ。必ず二人でリリアを破滅させてやろうではないか。」
僕とイヴの二人は共に、光の女神リリアへの復讐を誓った。
「私たちのこともお忘れなく。光の女神リリアへの復讐は私たちも一緒に行います。イヴさんだけには任せませんので。」
「俺たちも丈と一緒にクソ女神に復讐する。イヴ、お前だけに丈の前で良い恰好はさせないからな。」
「私たちは常に丈君と一心同体。女神リリアへの復讐には私たちも当然参加する。イヴ、あなたの出番はほとんどない。」
「我らもジョー殿の復讐に加勢する。神殺しか。それも、光の女神リリアを殺そうとは、大仕事になるな。最悪、父上たちを敵に回しても我はジョー殿に加勢するぞ。イヴ殿、そなただけに活躍はさせんからな。」
「アタシも当然、手を貸すぜ。女神を殺そうなんて、やっぱりジョーの考えることはぶっ飛んでるぜ。でも、それでこそ「黒の勇者」じゃん。闇の女神に選ばれた人間の勇者か、マジで半端ないぜ。勇者どもも光の女神もアタシらでぶっ殺してやるぜ。イヴ、アタシの力をお前に見せつけてやるじゃんよ。」
玉藻 酒吞、鵺、グレイ、エルザも、イヴへの対抗心も見せながら、僕とともに光の女神リリアへ復讐することを表明した。
「ありがとう、みんな。一緒に女神リリアへ復讐しよう。僕たち全員の力を合わせれば、きっとリリアを倒すことができる。これからもよろしく頼むよ。」
僕たちは笑い合った。
イヴから異世界アダマスに関する真実について、話を聞いた後、僕たちはギルドの食堂で一緒に夕食を食べた。
思い返せば、謎の奇病の流行騒ぎのせいで、ズパート帝国のギルドの食堂で食事をとったのは、これが初めてであった。
花繰たちが帝都の井戸水に死の呪いをばらまいたせいで、迂闊にギルドで飲み食いができず、本当にいい迷惑であった。
今回のクーデターやダンジョン攻略のため、冒険者ギルドに所属する大勢の冒険者たちが命を落とした。
死んだ冒険者たちの中には、僕たち「アウトサイダーズ」によって殺された冒険者たちも大勢いることだろう。
だが、どんな事情があれ、前皇帝や「聖女」花繰たち一行の悪事に直接的、間接的に関わった連中を殺したことに、僕は罪悪感をおぼえてはいない。
異世界の悪党へは情け容赦なく復讐する。
僕の信念は変わることはない。
気がかりなのは、今回のクーデターとダンジョン攻略のせいで国の騎士たちと冒険者たちが大勢死んだため、ズパート帝国の治安に影響が出ることだ。
ズパート帝国の侵略を狙う輩が現れないとも限らない。
減った騎士たちの補充については、ナディア医師たちがどうにかするだろう。
問題は、冒険者の減少だ。
冒険者の減少で、モンスターたちへの対処に影響が出る可能性は大だ。
クーデターと冒険者不足で、ハズレ依頼がどっと増えることにならないといいが。
とにかく、次の目的地が決まるまで、冒険者として協力できることは協力しよう。
そんなことを考えながら、僕の長い一日は終わった。
無事、ダンジョンから帝都に帰還し、最後の依頼も完了した。
異世界アダマスと、僕の勇者召喚に関する衝撃的な真実をイヴから聞いた僕であったが、イヴの話は僕がこれから異世界を旅していく上で、大変参考になった。
僕をくだらない目的のために異世界召喚に巻き込んだ、諸悪の根源、女神の皮を被った詐欺師、自称光の女神リリアを僕は絶対に許さない。
絶対にこの手で復讐して殺してやる。
クソ女神リリア、僕はお前を必ず破滅させてやる。
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