第十七話 【????サイド】謎の存在、主人公の活躍に喜ぶ
主人公が「大魔導士」姫城たち一行を倒し、「ユグドラシル襲撃事件」を解決してから四日後のこと。
インゴット国王の下に、「ユグドラシル襲撃事件」のニュースと、世界各国からの多額の損害賠償金の請求が伝えられ、インゴット王国の財政破綻が確実なものとなったその日。
異世界アダマスのとある真っ暗な闇の広がる空間に、一人の存在がいた。
真っ暗な闇の中、その存在は自身が見守り続けてきた主人公、宮古野 丈の活躍を知り、喜んだ。
『フフフ、さすがは妾が見込んだだけの男である。ユグドラシルを悪しき勇者たちの魔の手から守り抜き、ついでに邪魔な勇者たちを始末してくれたようだ。聖杖も破壊されたそうだし、実に素晴らしい成果だ。リリアの奴め、自身が選んだ勇者たちが犯罪者になった上に、「世界樹」を枯らそうという大罪まで犯したわけだから、今頃頭を抱えているに違いない。あの馬鹿女への人間たちの信仰心にも揺らぎが生じていることだろう。しかし、世界の要である「世界樹」を枯らそうなど、とても正気の沙汰とは思えぬ。今回の勇者たちの暴走ははるかに度を越えている。このままでは、本当にあの勇者たちのせいで世界が滅ぼされることになるかもしれん。さすがのリリアも今回の一件を受けて、何かしら手を打ってくるやもしれんな。最悪なのは、「黒の勇者」をあの馬鹿女が利用しようと、「黒の勇者」にちょっかいをかけてくることだ。だがしかし、あの少年は妾のものだ。妾の選んだ勇者なのだ。リリアの馬鹿に渡しはせん。まぁ、「黒の勇者」がリリアに協力する可能性はゼロだがな。自身が「黒の勇者」に殺したいほど憎まれているなど、あの馬鹿女は考えてすらいないだろうな、きっと。』
謎の存在はケラケラと笑った。
『あの少年はもうじき妾の前に現れる。妾と出会い、真実を知った時、あの少年はきっと驚くことだろう。そして、妾がどれだけあの少年に目をかけ、深い愛情を注いできたかを理解し、妾のことを好きになるに違いない。それから、あの少年と妾で勇者たちとインゴット国王、そして、リリアを破滅に追い込むのだ。ああっ、あの馬鹿女の絶望で嘆き悲しむ姿が、もだえ苦しむ姿が目に浮かぶ。もうすくだ。もうすぐあの少年と会える。妾たちの出会いが、世界を変えるのだ。早く会いたいぞ、「黒の勇者」よ。』
真っ暗な闇の中、謎の存在は妖しく瞳を光らせ、恍惚とした笑みを浮かべながら、主人公と出会える日を待ち望むのであった。
謎の存在と、主人公との出会いの時は迫っていた。
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