【中間選考突破!!】異世界が嫌いな俺が異世界をブチ壊す ~ジョブもスキルもありませんが、最強の妖怪たちが憑いているので全く問題ありません~
第八話 【処刑サイド:光の女神リリア】光の女神、勇者の召喚成功に喜ぶ、しかし、自身の計画の歯車が狂ったことに気付かない
第八話 【処刑サイド:光の女神リリア】光の女神、勇者の召喚成功に喜ぶ、しかし、自身の計画の歯車が狂ったことに気付かない
主人公、宮古野 丈が、勇者たち、インゴット王国の国王たちによって処刑されてから一週間ほど経過した頃のこと。
主人公がいた地球とも、現在主人公がいる異世界アダマスとも異なる世界。
様々な世界の神々が住まう、雲の上の楽園のような場所、神界。
その神界の一角にある白いギリシャ神話風の神殿の建物に、とある一人の女神が、静かに目を閉じ、自身が管轄する異世界アダマスの様子をそっと観察していた。
プラチナブロンドの長い髪に透き通るような白い肌、ギリシャ神話に出てくるような白いドレスを身に纏った、20代前半ぐらいの美しい女性が、ゆっくりと目を開けた。
彼女の名はリリア。「光の女神リリア」と呼ばれ、異世界アダマスの人間たちから信仰される唯一神にして、創造神である。彼女を神と崇める「リリア教」があり、また、異世界アダムスの通貨の単位にも名前が使われていたりする。
女神リリアは目を開けると、一人呟いた。
「異世界から無事勇者たちの召喚には成功しました。勇者たちは皆順調に育っているようです。今回は「七色の勇者」以外にも、多くの人間を勇者として召喚させました。勇者として彼らには最大限のジョブとスキルを渡しました。これで、忌まわしい魔族たちを彼らが殲滅してくれることでしょう。私の管轄する世界に、あのような醜い不純物が存在することはあってはならないのです。歴代最強と呼ばれていた先代魔王が亡くなり、代替わりをした今こそ、あの害虫たちを駆除する絶好の機会と言えるでしょう。これで私の世界はより美しく、より完璧なものへとまた一歩近づく。」
女神リリアは薄ら笑いを浮かべながらそう言った。
「しかし、あれは一体何だったのか?私は確かに異世界から41人の異世界人たちが勇者として召喚されるのを確認しました。全員にジョブとスキルを間違いなく与えたはずです。それなのに、なぜ、ジョブとスキルを持たない者が召喚されたのか?不可解な話です。処刑されたあの者には、たしか回復術士のジョブとスキルを与えたはず。いかにもひ弱で覇気に乏しいので、簡単には死なないようにと思って与えたはずでした。召喚してスキルとジョブを与えていた際、あの者から何か違和感を感じましたが、それが原因でしょうか?ですが、回復術士が一人いない程度、何の問題もありません。あの者には気の毒ですが、私の思い描く計画を遂行するための人柱になっていただいた、そう思いましょう。」
女神リリアは、腰かけていた椅子から立ち上がると、天を仰ぎながら言った。
「すでに魔族殲滅計画は動き始めました。今度こそ、この私の世界から忌まわしい魔族たちを排除するという私の長年の願いが叶います。「七色の勇者」は勇者たちの中でも特に残忍で冷酷な者を選びました。私の計画の遂行を邪魔する者たち、そして、魔族たちを情け容赦なく始末してくれることでしょう。ああっ、何という完璧な計画でしょうか。」
光の女神リリアは自分に酔うに言った。
光の女神リリアの計画は順調にスタートを切ったように見えるが、実は計画がすでに破綻し始めていたことに、彼女は気が付いていなかった。
先ほど彼女が言っていた、なぜか勇者のジョブとスキルを与えることができなかった者。
自身の計画の人柱と呼んで処刑された異世界人。
そう、主人公、宮古野 丈が実は生きていて、彼女の思い描く計画をことごとく破壊していくことになることを、彼女はまだ知らない。
光の女神リリアの計画の歯車はすでに狂い始めていた。
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