【中間選考突破!!】異世界が嫌いな俺が異世界をブチ壊す ~ジョブもスキルもありませんが、最強の妖怪たちが憑いているので全く問題ありません~
第六話 【処刑サイド:インゴット国王】インゴット国王、勇者の召喚成功に浮かれる、しかし、それが捕らぬ狸の皮算用だと気付かない
第六話 【処刑サイド:インゴット国王】インゴット国王、勇者の召喚成功に浮かれる、しかし、それが捕らぬ狸の皮算用だと気付かない
主人公、宮古野 丈が、勇者たち、インゴット王国の国王たちによって処刑されてから一週間ほど経過した頃のこと。
インゴット王国の王都の中央にそびえ立つ、巨大な黄金の城のとある部屋で、インゴット王国現国王、アレクシア・ヴァン・インゴット13世は、真っ昼間にも関わらず、公務をサボり、一人優雅に酒を飲んでいた。
グラスに注がれた酒を見ながら、国王は赤い顔を浮かべ上機嫌で呟いた。
「ヒック。勇者たちの召喚に成功し、今や我が国は世界最高の軍事力をこの手に収めた。「七色の勇者」だけでなく、他に33人もの勇者を手にしたのだ。ククク、我が国が全世界を手中に収めるのももはや時間の問題だ。」
国王はそう言うと、グラスに注がれた酒に口をつけた。
「勇者たちは皆順調に育っていると聞く。軽く実践訓練でもさせた後、七つの聖武器の本物があるとされる各国のダンジョンを攻略させ、聖武器を全て回収させる。聖武器が揃えば、「七色の勇者」たちは真の力に覚醒し、忌まわしい魔族どもを殲滅してくれるだろう。魔族どもを殲滅した後は、勇者たちに適当に褒賞を与え、我が国の軍事力として働いてもらうとしよう。フハハハ、そうだな、手始めに汚らしい獣人どもの住む国を侵略でもするか。」
国王は傍に控えていた騎士の一人に命じた。
「おい、急いでブラン宰相を呼んで来い。」
数分後、騎士からの連絡を受け、ブラン宰相が国王の前にやってきた。
「お呼びでございますか、国王陛下。」
「うむ。ブラン宰相、そなたに頼みがある。勇者様たちは皆、順調に成長していると聞く。そこで、勇者様たちの実力がどれほどのものか、確認したい。時が来次第、適当に勇者様たちに実践訓練をしてもらうよう手配してもらいたい。今回は勇者が40人もおるため、大変だとは思うが、手配をよろしく頼むぞ。」
「かしこまりました、国王陛下。では、一ヶ月後に冒険者ギルドで勇者様たちに冒険者登録をしていただき、適当な依頼を受けさせることにいたしましょう。勇者様たちでしたら、すぐに歴代最強と呼ばれた過去の勇者パーティーと同じ、SS級冒険者になれることでしょう。何せ、この度は勇者が40人もいらっしゃるのですから。」
宰相は笑いながら国王に答えた。
「そうだな。勇者が40人もいるのだから、勇者様たちがSS級冒険者になるのも時間の問題だな。」
国王も笑いながら、宰相に答えた。
「しかしながら、本当ならば勇者は後もう一人得られたにもかかわらず、まさか、あのような能無しの悪魔憑きが混じってこようとは、少し残念です。おっと、私としたことがとんだ失言を。失礼いたしました、国王陛下。」
宰相の言葉に、国王は顔を歪めた。
「フン、全くだ。まさかあのような忌まわしい能無しの悪魔憑きが勇者様たちに紛れて召喚されるとは困ったものだ。あの悪魔憑きめ、余計な質問をしてくるは、この私を見下すような目で見てくるは、本当に忌まわしい小僧だ。インゴット王国国王のこの私を、くそじじいなどと侮辱しおって。思い出すだけで腹が立つ。だが、処刑された奴のことなどもうどうでもいい。それより宰相、各国に、我が国が勇者召喚に成功したことと、我が国への支援の取り付け、各国への遠征などについて、連絡は済ませただろうな?」
「はい、国王陛下。各国への連絡はすでに完了しております。」
「そうか、それは何よりだ。ククク、今に世界各国から勇者様たちの支援という名目で大量の金が我が国に入ってくる。勇者様たちのおかげで我が国は大儲けできるわけだ。各国のダンジョンの攻略はできるかぎり時間をかけさせろ。時間がかかればかかるほど、支援金を各国からもらうことができる。搾れるだけ搾り取ってやるのだ。そうだ、近いうちに、国を挙げて勇者様たちの召喚を祝う歓迎パレードでも開くぞ。さっそく、そちらの準備にとりかかれ、ブラン宰相。」
「はっ、かしこまりました、国王陛下。それでは、失礼させていただきます。」
宰相は国王の前から立ち去った。
「フハハハ、我が国の栄光ある未来に乾杯!」
国王は一人笑いながら、酒を飲むのだった。
国王は全く気が付いていなかった。
自身が口にしていたことが全て無に帰すことを。
所詮は捕らぬ狸の皮算用であることを。
処刑したはずの、能無しの悪魔憑きと呼んだ主人公によって、自身の目論見が早くも崩れ去ることを。
国王の破滅までのカウントダウンがすでに始まっていた。
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