第三話 主人公、三匹の妖怪たちと出会う、そして、復讐を誓う

 「~丈様、丈様、目を覚ましてください!」

 「おい、起きろ、丈!しっかりしろ!」

 「起きて、浄君!」

 僕を呼ぶ声が聞こえる。

 僕は処刑されて死んだはずじゃないのか?

 僕を呼ぶ声に反応し、僕はゆっくりと目を開けた。

 目を開けて、体を起こすと、目の前には草原が広がっていた。

 どうやら、インゴット王国の王城の傍ではないらしい。

 しかし、最も驚いたのは、目の前に三人の知らない女性たちがいて、僕を仕切りに呼んでいることだった。

 そして、三人の女性たちはどこか人間離れした容姿をしていた。

 「丈様、やっと目を覚まされたのですね!わたくし、このまま丈様が目を覚まさなければどうしたものかと心配で仕方ありませんでした。」

 「全く、いつまで寝ていやがるんだ!?俺たちがとり憑いているんだから死ぬわけがねえのに。本当に世話がかかる奴だぜ。」

 「浄君、目が覚めて良かった。ここは安全。私たちも傍にいる。だから、絶対大丈夫。」

 三人の女性たちが口々に僕に向かって話しかけてくる。

 「ちょっと待ってくれ。理解がまるで追いつかない。君たちは一体誰だ?どうして僕のことを知っているんだ?それに、僕は勇者たちに処刑されて城から落ちたのに、どうして生きているんだ?それから、ここは一体どこだ?頼むから、説明してくれ!」

 僕が三人の女性たちに向かって訊ねると、金色のロングストレートヘアーに、頭からは狐の耳を生やし、金色の瞳に、お尻から狐の尾を9本生やした、白い間着に、赤と金色の打掛を腰巻に着た、着物姿の20代前半ぐらいの女性が口を開いた。

 「丈様が混乱されているのはよく分かります。どうか、私たちの話を聞いてください。結論から申し上げますと、私たち三匹はあなた様にとり憑いている妖怪でございます。私は九尾の狐の妖怪、玉藻たまもと申します。以後、お見知りおきを。」

 玉藻と名乗る女性の言葉に、僕は思わず驚き、声を上げた。

 「僕にとり憑いている妖怪だって!?君たち三人がか?どうして僕なんかにとり憑いているんだ?それに、九尾の狐って言えば、日本でも超有名な妖怪じゃないか?はっきり言うけど、僕なんかにとり憑いていても何のメリットも無いと思うんだけど?」

 「それにつきましては、とある事情がございまして、私たち三匹はあなた様にとり憑き、今、こうしてお傍で仕えるため、参上した次第です。」

 「とある事情って何だい?それに僕に仕えるって、どうしてそんなことになるんだ?助けてもらったことは感謝しているけど。」

 僕が疑問を口にすると、身長2メートルくらいの長身に褐色の肌、燃えるような真っ赤な赤い長髪を、白い髪紐でポニテールにしてまとめ、ボディービルダーのように筋骨隆々で、腹筋は割れ、Gカップほどの巨乳に、虎柄のビキニアーマーを着た年齢18歳ぐらいの女性が、赤い瞳で僕の顔を見ながら話しかけてきた。

 「相変わらず細けえことを気にする奴だな!俺たちはお前の爺さんからお前を守るよう頼まれたんだよ。だから、お前にとり憑いてんだ。お前がガキの頃からな。俺の名は酒吞しゅてん。昔は「酒吞童子」なんて呼ばれてた鬼だ。まぁそういうわけだから、よろしく頼むわ。」

 「「酒呑童子」だって!?鬼の王と呼ばれた、日本の超有名な妖怪の一匹じゃないか?ええっと、僕の爺さんから頼まれたって、もしかして、亡くなった僕の祖父、宮古みやこ たけみちのことを言っているのか?」

 「ハアー、そうだよ。その丈道って爺さんからお前を守るよう頼まれて俺たちはお前にとり憑いたんだ。これで少しは信じる気になったか?」

 酒呑と名乗る女性は、亡くなった僕の祖父から僕を守るように頼まれ、僕にとり憑いていることを明かした。

 「酒呑、説明が雑過ぎ。それじゃあ、丈君は分からない。もっと丁寧に説明すべき。」

 そう言ったのは、銀髪のショートヘアに、右目は緑色、左目が黒色という瞳の色のオッドアイに、黒のジャケットに黒のパンツ、白いシャツを着たレディーススーツ姿で、年齢は20歳ぐらい、ギョロっとした目付きでどこか陰のある表情で、クールな印象を感じる女性だった。

 「丈君、私の名前はぬえ。丈君は気付いていなかったけど、丈君は霊能力を持ってる。丈君の霊能力は強すぎて、コントールできていなかった。だから、丈君の周りでは暴走した霊能力が邪気になって、丈君や丈君の周りでは不幸なことがよく起こった。だから、暴走した霊能力から丈君を守るために、丈君のお爺ちゃんから頼まれた。丈君のお爺ちゃんは私たちの恩人。その孫である丈君の身を守るのは私たちの当然の責務。例え異世界でも、私たちが、いや、私だけでも絶対に丈君を守る。だから、安心して。」

 「鵺だって!?確か、頭は猿で、胴は狸、尾は蛇で、手足は虎、声はトラツグミって言われる、伝説の怪鳥じゃないか?日本の超有名な妖怪じゃないか?それに、僕に霊能力があって、霊能力が暴走して僕や僕の周りを不幸にしていただって!?それに、丈道お爺ちゃんが君たちの恩人ってどういうことだ?全部初耳なんだけど?」

 「鵺、お前の説明だって分かりにくいじゃあねえか?肝心なところを省いているし、さらっと自分を売り込みに行ってんじゃねえ!」

 酒吞が鵺と名乗る女性にツッコんだ。

 「お二人とも、いい加減になさい!丈様がますます混乱するでしょうが!すみません、丈様。この二人、いえ、二匹が言ったことは全て事実です。丈様が霊能力の持ち主で、霊能力の暴走から丈様の身をお守りするため、私たち三匹は丈様にとり憑きました。丈様の亡くなったお爺様、宮古野 丈道様は丈様と同じ霊能力者で、ご自身が亡くなる直前、退治され封印されていた私たち三匹の妖怪を、封印を解くことと引き換えに、ご自身の孫であるあなた様を霊能力の暴走からお守りするよう、私たちと契約を交わされました。契約に則り、丈道様の死後、私たちはあなた様にとり憑き、今日まであなた様を霊能力の暴走からお守りしてきました。以上が、私たちがあなた様にとり憑いている経緯になります。ご理解いただけましたでしょうか?」

 玉藻から、彼女ら三匹の妖怪が、僕にとり憑いている理由について説明を受けた僕は、その場で考え込んだ。

 そして、改めて自己紹介をするとともに、彼女たちに質問をした。

 「大体の事情は分かったよ。僕に霊能力があるなんていまだに信じられないけど、君たちの言葉を信じることにするよ。改めまして、僕の名前は、宮古野 丈。これまで僕を守ってくれてありがとう。三人のおかげで僕は今も処刑から生き延びて、こうして五体満足でいられるわけだ。本当にありがとう。ところで、どうして今になって、僕の前に姿を現したんだ?もっと前にこうやって直接会って、話をすることもできたんじゃないのかな?」

 「それについては、私たちも以前から丈様と直接会って、お話ししたいと機会をうかがっておりました。しかし、丈様の霊能力はあまりに強く、霊能力の暴走を抑えることで精いっぱいで予断を許さぬ状態でありました。ですが、丈様がご立派に成長し、私たちと契約を交わすことが可能な頃合いが訪れました。私たちは近々、あなた様の前に現れることを相談していました。そんな時、偶然、あなた様が突如、この異世界へと召喚されました。そして、あなた様は愚鈍な王たちや冷酷な学友たちによって処刑されかねない危機に陥りました。今こそ、私たち三匹が、あなた様の前に現れ、契約を交わす時だと思いました。丈様、どうか私たち三匹と契約を交わしてください。そうすれば、あなた様の持つ強大な霊能力を自在にコントロールし、勇者たちと互角以上に戦えることでしょう。それだけではありません。私たち三匹の能力を使うことも可能になります。契約の対価として、私たちはあなた様から霊能力を分けていただきます。いかがでしょう、丈様?」

 玉藻が、彼女たち三匹の妖怪と僕が契約することを提案してきた。

 僕は今、異世界にいる。

 そして、女神からジョブもスキルも与えられなかった僕は無力も同然だ。

 勇者たちやモンスターたち、それに魔族たちに襲われれば、ひとたまりもない。

 彼女たちと契約すれば、僕は自分に宿る霊能力を使って戦うことができる。

 おまけに、伝説級の妖怪である彼女たち三人の力も使えるようになるらしい。

 彼女たちと契約する以外に、僕がこのくそったれな異世界で生き残る方法は無かった。

 僕は玉藻に向かって言った。

 「分かった。君たち三人と契約しよう。どうか僕に君たちの力を貸してくれ!」

 僕は深々と三人に向かって、お辞儀をした。

 「頭をお上げください。丈様は今日から正式に私たちの主でございます。どうぞ末永くよろしくお願いいたします。」

 「丈、お前と契約できる日を待ちわびていたぜ。今日から俺はお前の正式な従者だ。よろしく頼むぜ。」

 「丈君、私も丈君と契約できる日をずっと待っていた。これからはずっと一緒。何があっても離れない。よろしく。」

 玉藻、酒吞、鵺の三匹がそれぞれ嬉しそうな顔で、僕と契約することを喜んだ。

 妖怪だけど、三匹とも、いや、三人ともすごい美人だ。

 今まで陰キャぼっちで女性とは全く無縁だった僕にとって、三人の笑顔はとてもまぶしかった。

 これで、三人が人間で、従者でなく恋人だったらと思うと、少しむなしさもあった。

 「三人とも恋人だったら良かったのに。」

 僕は思わず思っていたことをポツリと呟いてしまった。

 僕の言葉を聞いて、彼女たちは皆、目を丸くして驚いた。

 「い、今、何とおっしゃいましたか、丈様!?私たちが丈様の恋人だったら良いと、そうおっしゃいませんでしたか?」

 「じょ、丈、お前、俺が恋人だったら良いって言ったよな!?絶対、そう言ったよな?」

 「丈君、私を恋人にしたいって確かに言った!?私の耳はどんなに小さな音も見逃さない!」

 「い、今のは、ただ三人みたいな美人が恋人だったら良いなっていう例えだよ!?三人を恋人にしたいって意味じゃない。大体、僕みたいな陰キャぼっちが君たちみたいな美人と付き合えるわけないだろう?高望みだとはよく分かっているよ。そんなに追求しないでくれよ。僕のハートはガラス並みに繊細なんだから。」

 僕は適当にごまかした。

 「少し、三匹だけでお話してもよろしいでしょうか?すぐに終わりますので。」

 玉藻が彼女たちだけで話がしたいと言ってきた。

 「ああっ、別に構わないよ。僕は別に急いでいないし。」

 「では、ちょっとだけ失礼します。」

 玉藻がそう言うと、玉藻、酒吞、鵺の三人は、少し僕から離れ、それから円陣を組んで、ひそひそと何かを話し始めた。

 きっと、僕との契約やら異世界での今後の動きやらについて相談しているのだろう。

 そんな僕の予想とは裏腹に、三人は先ほどの僕のうっかり発言について話していた。

 「先ほどの丈様の発言、丈様が私たちを異性として意識しているのは間違いありません。丈様と契約をし、一緒に異世界を旅する中で活躍をすれば、丈様の私たちへの好感度UPは間違いありません。そう思いませんか、お二方?」

 「ああっ、その通りだぜ、玉藻。俺たちがここでガツンと活躍すれば、丈は間違いなく俺たちを女として意識する。アイツは奥手だから、俺たちから積極的にアプローチすれば、絶対に落ちるぜ、アイツ。この異世界で丈を俺たちの虜にするんだ!」

 「二人に同意。私たちがこの異世界で丈君のために活躍すれば、丈君は間違いなく、私たちを恋人にしたいと思うはず。丈君が年上の美人に弱いのはすでにリサーチ済み。後はこちらからアタックすれば良い。私たちの魅力の前に、丈君はきっと骨抜きになる。今が絶好のチャンス。間違いない。」

 「では、この異世界での生活を存分に利用して、私たち三人は丈様と恋人に、ゆくゆくは夫婦の契りを結ぶ、そのためにお互い協力し合うことにしましょう。抜け駆けも独占も禁止、よろしいですわね、お二方。」

 「了解だぜ。」

 「分かった。」

 円陣を解いて、三人の話が終わった様子だった。

 話がまとまったようで何よりだ。

 「お待たせいたしました、丈様。それでは、改めて私たち三人と契約を結びましょう。これより、契約の儀を執り行います。お二方、よろしいですね。」

 玉藻が酒吞、鵺の二人に声をかけた。

 「いつでもいいぜ。」

 「準備万端。」

 「それでは丈様、お手を私たちの胸に当て、それから、私たちの名前と、契約という言葉を続けて唱えてください。これにより、契約の儀は完了いたします。」

 玉藻が契約の儀について説明してくれたが、彼女の言葉に耳を疑った。

 「ええっと、君たちの胸に手を当てなきゃいけないって、それって本当にやらなきゃダメ?省略とかできないのかな?」

 「ダメです!絶対に、私たちの胸に手を当ててください!そうしなければ、儀式は完了いたしません!」

 玉藻がものすごい剣幕で抗議してきた。

 「わ、分かったよ。君たちの胸に手を当てればいいんだろ?だけど、セクハラとか言って、僕を殴ったりはしないよね?本当に胸に手を当てて良いんだよね?」

 「大丈夫です!これは必要不可欠な行為なのです!ささっ、まずは私からお願いいたします。」

 玉藻にそう言われ、仕方なく彼女の胸に手を当てることにした。

 実は胸に手を当てることは本来、契約の儀には必要のないことだが、玉藻は丈に彼女たちを異性として意識させるため、より好意を持たせるために仕組んだ嘘であった。

 そんなことなど露知らず、僕は彼女の胸に手を当てた。

 「あっ💛」

 玉藻が上げた声に僕は驚いた。

 「えっと、大丈夫?もしかして、どこか変なところを触ったりした?だったら、本当にごめん。」

 「いえ、大丈夫です。それより、早く詠唱をお願いいたします。」

 「ああっ、分かったよ。それでは、玉藻、契約!」

 僕が契約の言葉を詠唱した途端、玉藻の体が光り輝いた。

 玉藻の体から発せられていた光が徐々に消えていった。

 「これにて、契約の儀は完了いたしました。これより、私、玉藻は正式に丈様の従者となりました。改めてよろしくお願いいたします。」

 「うん、よろしく、玉藻。」

 次に、酒吞と契約を結ぶことになった。

 「それじゃあ、行くよ、酒吞。」

 「おう、ばっち来い!」

 僕は酒吞の胸に手を当てた。

 「あん💛」

 色っぽい酒吞の声に、僕はまたしても驚いた。

 「酒吞、大丈夫か!?どこか、変なところを触ってはいないよな?」

 「お、おう、大丈夫だ。とっとと契約しやがれ!」

 「そ、そうか。では、行くぞ。酒吞、契約!」

 僕が契約の言葉を詠唱した途端、酒吞の体が光り輝いた。

 酒吞の体から発せられていた光が徐々に消えていった。

 「これで契約完了だ!今日から俺もお前の従者だ!よろしくな、丈!」

 「ああっ、よろしく、酒吞。」

 最後に、鵺と契約を結ぶことになった。

 「よし、それじゃあ、行くよ、鵺。」

 「いつでも大丈夫。丈君、ウエルカム。」

 僕は鵺の胸に手を当てた。

 「んんっ💛」

 体を震わせ、色っぽい声を上げる鵺の姿に、僕はまたまた驚かされた。

 「鵺、大丈夫!?どこか変なところを触ってはいないよね?無理なんかしてないよね?」

 「問題ない。丈君、今は契約を結ぶのが大事。」

 「わ、分かったよ。それじゃあ、行くよ、鵺、契約!」

 僕が契約の言葉を詠唱した途端、鵺の体が光り輝いた。

 鵺の体から発せられていた光が徐々に消えていった。

 「契約完了!私は今日から丈君の従者。丈君は私の主。二人は未来永劫、一緒。よろしく、丈君!」

 「頼りない主だけど、よろしく、鵺。」

 こうして、僕は玉藻、酒吞、鵺の彼女たち三人と、主従の契約を結んだ。

 「さてと、それじゃあ、とりあえずこれからどうしようか?こんな何もない草原にいたって無意味だし、僕たちはこの異世界、アダマスだっけ?この世界については全く何も知らない。知識も、食料も、お金も、ほとんど何も持っていない状態だ。戦闘能力はあっても、生活に必要なものが何も揃っていない。とりあえず、近くの町か村に行って、情報なり、食料なり、お金なりを確保しないと。さて、どの方角に進めば良いか、分からないな?」

 僕が異世界での今後の生活や方針等について考えていると、鵺が提案を言ってきた。

 「丈君、このまま北にまっすぐ進むと、小さな村がある。私、空を飛べる力がある。この草原へ丈君を運ぶとき、空から村が見えた。間違いない。」

 「お手柄だよ、鵺!そうか、君は怪鳥の妖怪だったね。空を飛べる君がいれば、コンパスが無くても方角が分かるし、空から偵察だってできる。それに、僕をこの草原まで運んだってことは、空を飛んで僕も移動できるわけだ。鵺が僕の従者になってくれて、本当に良かった。早速、君が見つけた村まで僕たちを連れてってくれないか?」

 「分かった。村まであっという間に着く。玉藻と酒吞は丈君の体にとり憑いて。私が直接丈君を運ぶ。二人とも準備ОK?」

 鵺が玉藻と酒吞に呼びかけた。

 「グヌヌヌ、まさか、異世界で活躍する先手を取ったのは鵺とは思いませんでした。ですが、私の活躍はこれからです。」

 「そうだ。俺の力だって、鵺には負けちゃいねえ。二番手に活躍するのはこの俺だ。」

 二人とも悔しそうな表情を浮かべながら、一旦、僕の体にとり憑くため、霊魂のようになって、僕の体の中へと入っていった。

 「それじゃあ、丈君。私にしっかり捕まって。」

 そう言うと、鵺は僕をお姫様だっこして抱えた。

 「ええっと、鵺、この体勢じゃないとないと本当にダメなの?人に見られたら、かなり恥ずかしいんだけど。」

 「ダメ。この体勢が一番運びやすい。振り落とされないように、しっかり私に捕まって。」

 僕は鵺にお姫様だっこされながら、鵺とともに空を飛び、目的地の村まで移動を始めた。

 僕を抱えながら、鵺は凄まじいスピードで空を飛んで行く。

 鵺に運ばれながら、僕は考えていた。

 鵺の飛行能力だけでも実に素晴らしい能力だ。しかも、能力はこれだけではないと言う。

 おそらく、残りの二人も、鵺に続き、きっと素晴らしい能力を持っていることだろう。

 それに、玉藻、酒吞、鵺と契約したことで、僕は自分に宿る霊能力を使えるようになった。

 さらに、三人の持つ能力も使えるようになると彼女らは言っていた。

 あれ、三匹ではなく、三人と呼んでいる自分がいる。

 だけど、出会ったばかりだが、僕には彼女たちが人間の女性以上に魅力的に感じる。

 いつか、この三人に頼られる主になりたい、そう思った。

 そして、忘れてはならない。

 僕は、僕を処刑した勇者たち、インゴット王国、光の女神リリア、そして、この異世界アダマスを決して許しはしない。

 待っていろ、くそったれ共。

 必ずお前たちに復讐してやる。

 僕は、異世界への復讐を固く決意したのであった。
































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