幼く背伸びしたって

ねくしあ@カク甲/こえけん準備中!

… ――― …

 僕はなんだかこの世界が好きではない。


 それには特別な理由があるわけじゃない。

 人々が創造する世界は、明るく楽しいものだったり、暗くつらいものだったりする、胸躍るような世界だ。

 でもこの世界はそうじゃない。戦争だとか飢餓だとか、そんなものは身近じゃない。ただ僕らを囲むのは、何もない日常。空を見上げでもしないと色なんかない景色。


 描かれる世界と、この世界はあまりにも違いすぎる。


 ――あぁ、あんな風にかっこよく戦えたら。

 ――あぁ、あんな風に幸せに恋愛できたら。

 ――あぁ、あんな風に自分の道を進めたら。


 夢はいくらでも浮かぶのに、どうしてこんなに……学生という身分は活かせなければ宝の持ち腐れでしかない。青春なんて送れなければ惨めなだけだ。日々に満足できない。友達といくら喋ろうと、何かが足りない。

 憧憬の光景が脳裏によぎる。そんなもの描かれただけに過ぎなかった。現実味がなかった。味がしなかった。


 ――あぁ、神様、僕たちにもっといい世界をください。

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