SM大好きおっさんが戦国時代に転生したら最高過ぎるんじゃが??

@hiroxx3

第1話

目の前にいる与兵衛に向かって伝兵衛は恍惚の表情で言い放った。

「わしは!!背中から襲われて切り刻まれたいんじゃ!!」

「・・・・・ん?」

「後ろから槍でぶっ刺されるのもいいのう。矢も捨てがたいんじゃがあれは一撃が軽くていかん」

「・・・・・は?・・・・おぬし、馬鹿か?」

「なんじゃと!?馬鹿はおぬしじゃ!あの後ろから襲われる快楽!斬られることの痛み・・・・ああ、思い出してきたあああ・・ああああ・・・ふえええええええええ!!へへえ!!」

(「・・・・・・・・・・駄目じゃこいつ・・・・・」)


聞き間違いだと強く願いながら与兵衛は聞き返すことにした。

「えーっと・・・・もう一度申してくれぬか?この戦に参加して何をしたいと?」

「撤退じゃ!!」

「・・・・それは、戦わずにすぐに逃げたい、ということか?」

「何を言うとる??そんな訳ないじゃろうが!」

「・・・・ではどうしたいと?」

「わしは!おぬしらの軍に入っておぬしらを敗北させて!撤退するときに一番後ろにいたいんじゃ!」

与左衛門は絶句した。足軽募兵の受付を待っている後ろの足軽たちも同様だった。斬られても全くおかしくないことを陣中で余りにも堂々と言い放つので、呆気に取られて逆に刀に手を付けることが出来なかった。


撤退中にて・・・・


「ちぇりゃあああああ!!」

一人の足軽が打刀を思い切り振りかぶって伝兵衛の背中に切りつけた。骨まで達するほど深い傷がびしゃ、という血しぶきの水音ともに刻まれた。

「ぐわあああああ!!」

「どうじゃ!これでお前も終わ、」

「何やっとんじゃああああああ!?」

伝兵衛が急に振り返って、斬りつけた足軽に向き直った。

鬼の形相で怒っている。

「お、おお!?な、なんじゃ!まだやる気か!」

斬った側のはずなのに伝兵衛の形相に思わず驚き、うろたえてしまった。しかしその次に放たれた言葉にさらに驚かされた。

「なんでもっと深く斬らんのじゃ!?なんでそこで更に槍で突かんのじゃ!?わしがここに何しに来てると思っとる!!背中を切り刻まれて絶頂したいから来とんじゃ、こら!!もっとやる気ださんかいワレ!!」

「・・・・・・ん?」

たった今まで殺気満点だったはずの若武者から一気に闘志が消えた。代わりにぽかん、と何とも言えない表情でただ伝兵衛を見つめる。周囲で首の手柄を取られまいと争っていた足軽たちも同様に、伝兵衛の余りの異常さに思わず手を止めていた。

「おい!!何しとんじゃ!!さっさと刺さんかい!!斬らんかい!!それでもおぬしら侍かあ!!」

「・・・・えーっと・・・・」

若武者が周囲の仲間の顔をきょろきょろと見回す。戦場で刀を握って生死の狭間にいることなどすっかり忘れてしまった童の如くであった。

「なーにしとんじゃ!?こうするんじゃ!見ておれ!ほい!!」

「あ!?」

痺れを切らした伝兵衛が大きく手元の刀を振り上げた。長さ三尺(約90センチ)はあろうかという大太刀だった。その大太刀が若武者に向けて今にも振り下ろされた、ように見えた。しかし・・・・・・。

ぴしゃん!!

「あへえええええええええ!!」

伝兵衛がまた大きな奇声を上げた。彼は振り上げた刀を刃ではなく反りの部分で自分の背中に強く叩きつけた。

「な、何してんじゃこいつは!?」

「ほんとに頭がおかしいぞ!?」

「き、気持ちいいいいのおおおおお、んほう!、んほうう!!」


毘沙門天との会話

「なんで我が貴様などの面倒を見なければならんのだ・・・・」

「なんじゃあ、まーだそんなことぶつくさ言うとんのか。天照大御神様の言葉にはおぬしでも逆らえんて自分で言うとったじゃろうが。おぬしは外来の神じゃから土着の神には敵わんて、あいた!!石を踏んだわ!!あひいいいんん!気持ちいいいいいいいいい!!」

「悪夢のようじゃ・・・・・・それにそういうことを言っとるんじゃないわ。なぜ貴様のような人でなしの手助けをする羽目になったのか、わしの運命を呪っておるんじゃ」

「おもろいのう。神でも運命を呪うんじゃのう。おぬしらの仕事は人様の呪いを叶えてやることばかりだと思っておったぞ」

「それは他のわしがやっとるわい・・・・」

「他の?わし??どういうことじゃ?」

「わしら仏教の神は数多の社だの像だの掛け軸だのが作られて祭られとる。その一つ一つすべてに神がおって祈りをささげる者のそばにおるんじゃ。それで日々の運気を上げたりしとるんじゃ」

「ほー!ますますおもろいのう!てことは・・・ん?」

「ん?どうした?何か神のことで気付きおったのか?」

「いやあ、そういえばそろそろ尻に刺す木像を自分で彫らにゃあならん頃じゃと思うてのう。さきに使ってたのはもう擦り切れてしもうたでな。おぬしの像を彫ってもよいか?」

「・・・・・彫ったら貴様を地獄に落とす」

「おぬしにはそんな力無いじゃろう?それは別の神の力じゃて」

「ならその神に頼み込んで貴様を地獄に落としてもらう!!」

「そりゃあ怖いのう・・・・ん?待てよ?地獄は獄卒の責め苦が待っておるんじゃろう?なんじゃあそりゃあ!!わしにとっちゃあ極楽浄土じゃ!!よし!!早速おぬしの像を作って尻に刺すとしようかの!」

「待て!待て!!待て待て待て!!後生じゃ!!堪忍じゃ!!それだけは辞めてくれ!!黙っておってもおぬしはどうせ地獄行きじゃ!!もし作ったらわしが神に頼み込んで貴様を何の面白みもない極楽浄土に行くように説得するぞ!!それでも良いのか!?」

「なんじゃあ!さっきまで地獄に落とすっちゅうとったじゃろうが・・・・うーん、確かにそれはつまらなそうじゃなあ・・・・・まあやめておくか」

(「・・・・・普通浄土に行けることに喜ぶじゃろうが・・・・・ふう、寿命が縮まるわい・・・・」)

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