作戦




 侍が先達を辺境の魔物狩りに誘う前日のことであった。

 音もなく町を歩く侍に一人の男性が近づいた。

 聖男だった。


 タッタッタッタッ。

 聖男は一定の速度を保ったまま侍に近づき、そして、一言二言、侍にしか聞こえぬように言葉を届けては通り過ぎ際、視線を数秒のみ絡ませてのち、侍から遠ざかって行った。


(抜かりはない)


 侍は遠ざかる聖男の足音に耳を傾けながら、うっすらと、不敵な笑みを浮かべたのであった。











(2024.1.19)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る