別離




『主はもう。っていうか、最初からですね。俺なんかがいなくても全然大丈夫でしたね』




 傍にずっといたくせに。

 あいつは、気づいていない。

 私が前世のことを覚えているってまったく。

 あいつが私の幼馴染だって気づいていることをまったく。

 別にいい。

 気づかなくていい。

 気づいたところで、あいつはどうせ。




『あなたの元婚約者に、俺の身体能力を買われて、辺境の地の魔物狩りに一緒に行かないかと誘われました。俺、行ってきます。どうか、お元気で』




 どうせ、離れて行く。




『及ばずながら、ずっと、あなたの幸せを願っています』




 とんだ、戯言だ。

 幸せを願っているならどうして。




 思春期なんてくだらない。

 男だ女だくだらない。

 私はずっと一緒に、遊び続けたかっただけなのに。











(2024.1.19)



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